夏休みになると、戦争についてのドラマとかドキュメンタリーとかテレビでやりますよね。
そういうの見るたびに、戦争の恐ろしさと浅はかさを思い知らされます。
子供にも戦争の怖さを伝えなくてはいけません。
3年生のティガーが
「音読の宿題があるんだー。聞いててねー。」
私は家事の片手間にティガーの音読を聞くことにしました。
あまんきみこ作
「ちいちゃんのかげおくり」
ティガーはいかにも面倒くさそうに読み始めました。
ちいちゃんのお父さんは戦争へ行き、お母さんとお兄ちゃんと暮らしています。
ある日の激しい空襲で逃げ惑う中、ちいちゃんは転んでお母さんとお兄ちゃんとはぐれてしまいます。
『たくさんの人に追いぬかれたり、ぶつかったり―、 ちいちゃんはお母さんとはぐれました。
「お母ちゃん、お母ちゃん。」 ちいちゃんはさけびました。』
この辺りまで読んで突然ティガーの声が聞こえなくなりました。
あまりにもちいちゃんがかわいそうで、あまりにも怖くて、涙があふれ出していたのでした。
と言って泣き崩れてしまいました。
私はびっくりしてティガーの元に駆け寄り、泣き続けるティガーにかわって、私が続きを読んであげることにしました。
ちいちゃんは焼け落ちた家でお母さんとお兄ちゃんが来るのを1人で待ちます。
そうして、とうとう迎えに来てくれました。
天国からお父さんとお母さんとお兄ちゃんが…。
『一面の空の色。ちいちゃんは、空色の花畑の中に立っていました。見回しても、見まわしても、花畑。
「きっと、ここ、空の上よ。」 と、ちいちゃんは思いました。
「ああ、あたし、おなかがすいて軽くなったから、ういたのね。」
そのとき、向こうから、お父さんとお母さんとお兄ちゃんが、わらいながら歩いてくるのが見えました。
「なあんだ。みんな、こんな所にいたから、来なかったのね。」
ちいちゃんは、きらきらわらいだしました。わらいながら、花畑の中を走りだしました。
夏のはじめのある朝、こうして、小さな女の子の命が、空に消えました。』
もう、私まで一緒に号泣です。
3年生の教科書に載っているお話ですから、簡単で分かりやすい文章です。
だからこそ、子どもの心に響いたのでしょう。
「戦争はこわい」
どう怖いかなんて、今の子供に分かるわけがないんです。
お母さんとはぐれてしまう。 一人でお母さんを待つ。 一人で死んでしまう。
難しいことを言わなくても、それだけで戦争の恐さを肌で感じることができるのでしょう。
もちろん私だって、「戦争は恐ろしくて悲しいだけ」って漠然と感じているだけです。
でも、もっと簡単に「お母さんが子供を守ってあげられないのが戦争なのかもしれない。」
って思ったら、もっと胸に迫りますよね。
親子で戦争の恐怖を共感できた出来事でした。
「ちいちゃんのかげおくりで号泣」から一年たち、これは絶対にティガーに見せなくては。
また号泣確実間違いなし。
さあ、戦争の中でけなげに生きる兄妹の姿を通して、戦争の恐さを感じてちょうだい!
←ティガー、こうやって泣きたかったんだけど…
ごめん…
私が先に泣き過ぎました。
嗚咽して泣く私の姿に、ティガーすっかり冷静になってしまいました…。
映画館でもいるよね。
1人号泣して周りを白けさせてしまう人。
そうよ、私、ドロップの缶を見るだけで泣けてくるのよ。