5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

シボレーとアップルパイ

2009-05-31 23:20:50 |  経済・政治・国際
「アメリカらしさ」を現す米語に《as Mom, Apple pie and Chevorlet》という慣用的表現がある。日本語でいう「巨人、大鵬、玉子焼き」というのともちょっと違うようだが、シボレーという大衆車が出てくるのも世界の自動車王国らしい。

近頃のアメリカ人の気持の中には、ひょっとするとこの経済危機の中で、昔馴染みのシボレーが消えてしまうかもしれないという不安心理が強くなっているようだ。

今日の新聞速報(WEB)では「GM破産法申請6月1日発表へ 債務削減交渉が終了」とあって、月曜日にも米連邦破産法11条の適用申請が行われるとしている。ヘンダーソン会長が記者会見、受け皿を提供するオバマ大統領も声明発表と、忙しい週明けになりそうだ。

アメリカらしくない「自動車会社の国有化」をしてでもGMを救済せざるを得なくなったオバマ大統領のNBCインタビューを聴いた。痛し痒しだが、政府の介入はやむを得ないのだという。

アメリカ政府としては、巨大自動車会社がそのまま倒産することで予想される経済・社会的な悪影響を極力抑えたいのが本意。それこそアメリカ人がアメリカ的な《シボレー》を買わなくなることが怖いわけである。

破産法申請前に、あらかじめUAWや債権者に対する債務削減合意を取り付けるStructured Bankruptcy(事前調整型破産)という政治指導で臨もうとしているわけで、労働協約の改定をUAWとの間で合意したし、債務の株式化に反対した債権者も、市場の流れを見てGM提案を受け入れざるを得ない状態になっているようだ。新生GMは米政府が70%強の株式を保有する見通し、ワシントンの細かい監視の下で経営再建を図ることになる。

地球温暖化やクリーンエネルギー活用に力を入れるオバマ政府の直接介入で、今後のアメリカ自動車産業は大きな方向転換を求められる。GM100年の歴史の中で出来上がった構造的な組織の壁も、アメリカ国民の税金を使った経営再建という名目のもとでは、崩さざるを得ないだろう。ガス・ガズラーという別名の大型自動車は、スマートなコンセプトカーに取って代わるかもしれない。しかも、かなり早いスピードで。

ワシントンよりも半日早い時計の東京。明日の兜町はどういった反応を示すのだろう。

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