5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

自殺防止にもグーグル

2010-11-12 23:03:21 | PC・インターネット
インターネットの動画中継は、自分の自殺シーンを中継する異常行動までも誘発する魔力があるらしい。

事件が起こったのは9日の早朝。前夜から自殺予告を続けていた24歳の若い男が、「最後の瞬間」まで生中継をしてしまった為、5000人に近い視聴者が「死の現場」を見るというスキャンダラスでショッキングな経験をしたのだという。「狂言自殺」だと思った視聴者の一部からは、非難やけしかける書き込みもあったというが、こうして自殺を誘導してしまった者の寝覚めは極めて悪かろう。これが呼び水になって、同様の自殺中継が連続して起こらぬようにと思う。

2009年の日本の自殺者は32845人。日本人の死因の6番目で、年間の死者の2.8%が自殺によるという。自殺の動機は自分の健康がほぼ半数、失業など経済問題が4分の1にのぼるが、はたして自殺中継の若者は何が動機で自らの命を絶ったのだろうか。

今日のBBCニュースの「情報コラム」には、「グーグル、サマリタンとリンク」というニュースが掲載されている。「サマリタン」とは、自殺を悩む人に電話でカウンセリング・アドバイスをする英国のボランティア団体だ。

英グーグルのサーチボックスに「自殺」とか「自殺する」とかの関連ワードを入力すると、検索結果のリンクのトップに、赤色の大きな電話マークと「サマリタン」のヘルプ電話番号が現れて注意を促す仕組みで、「サマリタン」のWEBリンクも検索上位に表示される。

アメリカのグーグルでは、今年4月から、同様の「注意表示」を掲載しているから、英グーグルはこれに倣ったわけだ。近頃は、自殺を考えるひとたちが「支援やアドバイス」を求めてまず探すのは、電話帳よりもWEBサーチだから、赤い電話マークひとつでも大きな効果が期待出来るというのだろうか。

BBCの記事も指摘するが、自分でトライしてみて感じるのは、赤電話マークをポップアップさせる関連ワードの数が非常に少ないということ。「自殺」とか「自殺する」とかはあまりにダイレクト。自殺を本当に悩む人が迷いながら入力するキーワードは他にもたくさんありそうではないか。

グーグル側は、関連キーワードの追加は、人々がこのシステムに慣れるてからだと条件をつけているが、「サマリタン」側は、グーグルのサービスをそれでも「前向きの一歩」として評価しているという。

オーストラリアのグーグルは、「自殺」のほかに、「毒物」ホットラインとのリンクをセットアップして、グーグル利用者の利便を図っている。検索表示の仕方は、英グーグルと同じで、「毒物」とタイプインして検索すると、検索結果と一緒に、「毒物インフォーメーションセンター」の赤電話マークと24時間ホットラインの電話番号が、一般の広告表示よりも大きいフォントで表示されることになっている。

日本のグーグルで「自殺」と入力しても赤電話は現れてこない。サービスはこれからというのだろう。しかし、2009年の交通事故死(4914人)のほぼ7倍の人数が、何らかの理由で自死し、さらにその10倍以上が未遂だというのだから、ことは極めて深刻である。

「いのちの電話」が設置されている地域では、自殺率が低減するというのだから、この「いのちの電話」に誘導できるWEBと携帯電話をグーグルの様な検索パスによって結ぶことができれば、自殺抑止の効果は大きそうだと思う。政府(厚労省?)の発想転換と行政的指導力を期待したいところである。




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