風は見た 風は見た 山で見た
狭い小さな学校に
山の子供がみんなで10人集まって
小鳥といっしょに朝のうた
歌っているのを 里で見た
今朝のNHKFMで聴取者からのリクエストといって流れ出たのはこんな歌詞の合唱曲だ。懐かしかった。
題名を聞いただけで「ああ、あれだ」とすぐ分かった。「風は見た」は今も続くNHK全国学校音楽コンクール第25回、昭和33年(1958年)度の小学校の部の課題曲である。宮沢章二作詞、佐野量洋作曲、冨田勲編曲とWEB資料にはある。二番の歌詞はこうだ。
風は見た 風は見た 町でみた
広い大きな学校に
町の子どもがみんなで1000人集まって
光といっしょに朝のうた
体操するのを 空で見た
戦後も15年近くが経過して、神武景気から岩戸景気へ日本経済が大きく伸びていった時期にあたる。暗さや惨めさがまったくない明るい歌詞だから、聞いていても楽しい。
どうしてこの歌をしっかり記憶しているのだろう。
考えてみて思い当たった。当時の自分は中学2年生になっていた。わが中学もNHK音コンの県予選に出たのである。名古屋のCKは3年前に今の東桜に移転したばかりスタジオが未だ新しかった。
中学校の課題曲は「燈台」、竹中郁作詞、上元芳男作曲。
「燈台は無言のうちに呼んでいる」と歌い始めるこの課題曲を一生懸命に練習して予選に臨んだはずだ。しかし結果は選外だった。残念だとは思ったが帰りにはすっかり忘れて、皆ではしゃぎまわった。だからこの曲の印象が薄いのだろうか。
それなのに「風は見た」を今でもしっかり覚えているのは、予選当日に順番待ちで緊張しながら、小学生たちが明るい声で歌うこの課題曲をなんども聴いた所為なのかもしれない。
三番の歌詞は、子供たちよ世界に伸びよ!という賛歌になっている。
風は見た 山で見た 町でみた
伸びる若葉のいきおいで
数えきれないみんなの笑顔が揺れながら
明るく呼び合う朝の国
世界へ広がる海を見た
84回目になった去年の課題曲「願いごとの持ち腐れ」がよく流れるが、これは良くも悪くもとても今風だ。作詞が秋元康というのもやらせっぽく感じてしまう。
50年前の「風は見た」の明るさがなにやらとても新鮮に響いてきた。
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