森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

日本沈没と田舎暮らし

2006-08-15 17:45:16 | 田舎・田舎暮らし

盆休み……といっても、普段と何ら変わりのない生活なのだが、暑さに喘ぎながら「日本沈没第二部」を読んでいる。

 

「日本沈没」(小松左京・著)は、30年前のベストセラーで今夏はリメイク版映画も公開されているが、この小説の真意は、日本という国土がなくなったら、日本人はどうなる?という点だった。だから第1部であった「日本沈没」は、イントロにすぎなかった。
ようやく出た第2部は、小松左京も原案づくりに参加しているものの、執筆は谷甲州。だから別物ではあるが、今のところ(前半部)はパプアニューギニアなどに移り住んだ日本難民の姿が活写されている。

 

私もニューギニアは行ったことがあるのだが、なかなか難しい国だ。が、何百万人もの難民が移り住む地域としては可能性がある気がした。
が、それよりも先進国だった日本人が、発展途上国に移り住む様子は、大袈裟に言えば都会落ちした田舎暮らしに近いかも(^^;)。その国の事情に遠慮しつつ、日本人たるアイデンティティを守るために苦心する。地域の発展を手助けしようと思っても空回り。さらに外野の国の市民団体やマスコミなどが環境問題を振りかざしていちゃもん付けてくる……。
さて、人は生まれ育った都会を捨てて、田舎で生きていけるか?

 

ただ、国土を失った日本難民に帰るところはない。田舎暮らしに破れて都会にもどるようなことはできないのだ。さて、いかに日本人は日本を取り戻すか。後半を楽しむとしよう。

 


シラカバ材をかつらむき

2006-08-14 17:29:30 | 幻の写真・図

写真は、シラカバの丸太をかつらむきのように薄いベニヤ板(単板)を取る機械。かなり古いものだが、現在のロータリーレース機械と原理は同じだ。

 

シラカバ材を薄くして何を作るか?

 

普通なら、割り箸? と思うだろう。そう、大量生産されている割り箸は、シラカバやアスペンの材をかつらむきして、それを割り箸に加工している。が、この機械は……

つまようじ製造機なのである。実は、シラカバ材をうすく剥けば大量生産できることに気づいて機械を発明したのは、つまようじの方が先なのだそうだ。

割り箸は、つまようじ生産からヒントを受けて始めた。つまり、このつまようじ製造機こそ、今世界を席巻している割り箸製造の原点なのであった。

※久しぶりに「幻の写真・図」だ(^o^)


ひょうたん

2006-08-13 00:01:57 | 森林モノローグ

世間はお盆入り。私は年から年中、お盆みたい?なものでして、今の時期ものんびり仕事しています。

 

で、たまにはほのぼのネタ。
写真は仕事場の窓の外にぶら下がったヒョウタン。いつも庭には夏の日差しを少しでも防ごうと蔓性の植物を植えるんですが、今年はヒョウタンとゴーヤを植えました。うまく蔓を延ばして2階まで達し、思いっきり蔓と葉を広げて、とうとう実を付けたわけです。少しは温度上昇を抑えてくれたでしょうか。

 

ヒョウタンは枯れるまで残し、ゴーヤはそのうち食べましょう。 でも、おかげで家も庭もジャングルみたい。見栄えは悪いですが、私はこうした状態が好きです(^o^)。


つまようじの節

2006-08-12 13:47:14 | 木製品・建築

つまようじ資料室を訪れた。

割り箸の世界に顔を突っ込んでいたのに、とうとうつまようじである(^^;)。どんどん木材利用としては末梢的な分野に入っていく気がする。

そこで室長に延々とつまようじの解説を聞かされたのだが、まあ、健康とつまようじの関係などはどうでもよろしい。木材利用の点からすると、素材は、基本的に白樺。この点は中国産割り箸と同じ。白樺を煮て、ロータリーでかつらむきしていく。それを型に入れるように成形する。

 


今や割り箸以上に中国依存が進んだ世界だった。国産メーカーは幾つも残っていない。日本製のつまようじは、コンマ以下である。ただ、日本独自のものではなく、昔から世界各国にあったということがグローバルだ。

 

ちなみに、現在日本で知られるのは、基本的に妻楊枝(歯の掃除に使うもの)ではなく、菓子楊枝(和菓子やタコ焼き、フルーツなどを突き刺して取るもの)で、2つを混乱させているのだという。海外で妻楊枝と言えば、平たい、3角形のもので丸くはない。

 

なぜ日本で丸い楊枝が広がったかというと、それまでの手製の楊枝は、節があったり不揃いだった。それを白樺で均一・白い美しいものが登場して、ほかを駆逐したという。別に楊枝に節材を使ってもよいと思うのだが、それを嫌がったのが日本人。

 

こんなところに無節信仰が生きているとは。


無節材より節材

2006-08-11 11:20:06 | 木製品・建築

先日、京都環境建築研究会というところに顔を出した。

よくわからない(^^;)のだが、ようするに国産材を使った家づくりを研究・実践していく場らしい。

 

そこで、当日発表をした一人が、京都の某材木店の経営者。実物を持ち込んでの説明だったが、今や無節の板より節ありのものの方がよく売れる、という話だった。見せられたのは幅三〇センチばかりの板。ほんのりピンク色に染まり見事に無節だったが、その面を見せるより裏側の3つ4つ大きな節がある面の方が喜ばれるという。節がある方が自然だとユーザーは感じて、デザイン的にもよいと思うのだ。

 

この傾向は、『だれが日本の「森」を殺すのか』でも紹介したが、いよいよ世間にも広がってきたようだ。これまで苦労して無節にしてきた林業家にとっては、なんてこった! という気分だろう。

 

ただし、裏がある。節がある方がよいと言っても、その節は生き節でないといけない。死に節では商品にならない。節は圧倒的に死に節が多い。

そして、よく売れると言っても、価格は無節材の数分の1。たとえば節材が4枚売れないと無節材1枚の利益に追いつかないとすると、じっと無節材が売れるのを待つのとどちらがよいか思案のしどころだ。

 

それにしても、無節がよいという観念が広がったのは、実は最近である。江戸末期には珍重されたようだが、それが世間に広がることはなかった。庶民まで無節の方がよいと思い込み出すのは、戦後である。勃興した住宅メーカーの戦略だったという事実を考えると、一つのトレンドが移り変わったというだけのことかもしれない。


「クロワッサン」と田舎暮らし

2006-08-10 14:23:30 | 田舎・田舎暮らし

本日発売の『クロワッサン』(マガジンハウス)に、田舎暮らしの記事が載っている。ついでに私も載っている(^^ゞ。

 

私が取材先などをコーディネイトしながら、取材も受けるという変則的?な形で行った仕事なのだが、編集部の要請は、「地域に溶け込んで田舎暮らしをしている人」であった。そこで登場する二組を紹介したわけである。
一件は伝統野菜によるレストランを田舎の集落内に作った夫妻、もう一組は自ら年老いても田舎で住み続けるために高齢者の送り迎えを行うNPOを設立した夫人。

 

思うに、編集部は軽いノリでこの企画を立てたのではないかと想像する。新たな生き方を紹介するのに、田舎暮らしなんてのもいいんじゃない? といった調子で。

でも、取材先に私を選んだことで、田舎暮らしの奥の深さに気づいてしまった……のかもしれない。田舎で暮らすというのは、自然と戯れられて楽しいよ、では済まない。地域社会のことに触れず田舎暮らしを紹介しても、本当の姿が描けない。内心、こんなテーマを選ぶのではなかった、いや取材先にこんな人を選ぶのではなかった、と悔やんだかも(^^;)。編集者兼記者は、最初は私と被取材者の会話している言葉の意味がわからない、と言っていた(^o^)。
まあ、私も軽いノリの記事に協力してもよかったのだけど、いきなり深遠を覗いてもらうのも編集者としては価値あったのではないか。

少しは気づいたかな。都会と田舎、どちらも暮らすという点では同じなのだということを。田舎は桃源郷ではないし、都会で失敗したことが田舎では成功するわけでもない。逆に田舎の大変さは都会の大変さと裏でつながっている……ということに。


移住者迎える前と後

2006-08-09 22:43:27 | 田舎・田舎暮らし

せっかくだから、田舎暮らし関係の話題を続ける。

 

たまたま手元にある2年前に行われた地域社会計画センターの農村調査の結果を、紹介しよう。
農村住民にとって、都市住民を受け入れることに関して、期待しているのは、圧倒的に「集落人口の増加」と「子供の数の増加」。人口増が地域の活性化になり、税収増にもつながると見ている。人口流出も止める効果も期待する。

逆に不安なのは、「移住者との人間関係」「農業への悪影響」。とくに農村地域ならではのしきたりに理解や協力が得られるか、コミュニティに軋轢が生まれないか。生活排水の問題や家庭菜園が農地に与える影響(害虫の発生など)。逆に農薬を播くことにいちゃもんを付けられたり、農機具の騒音問題…などだ。

 

さて、実際に移住者が来てからの反応は、人口増については満足しているが、活性化までは期待通りではなかったりする。しかし、人間関係の悪化はさほど多くなく、杞憂に終わっているようだ。一方で農作業への影響は感じている。

 

この15年間で全国5000の集落が姿を消し、農地も毎年3~4万ha減少している。

こうした状況の中で、田舎暮らし希望者は、何ができるだろうか。


都市と田舎の二地域居住

2006-08-08 16:53:19 | 田舎・田舎暮らし

思わぬコメント欄で話題になった二地域居住について考えてみよう。

 

現在、提案されているのは、ようするに別荘生活に毛の生えたもののようで、田舎暮らしとは根本的に違うのではないかと感じている。そのうえ山本さんのご指摘どおり、

「二地域に住める人は経済的に限定される」し、「下手をすると家庭崩壊につながる」ことが多い。だいたい別荘を持っている人でも、十分有効に両方の住居を利用している人は少ない。毎週通っていたのが月に1度、年に幾度、数年に1度と減っていくケースをよく聞く。

 

田舎暮らしを謳うなら、少なくても田舎側に住民票を移すのが最低条件だろう。週末田舎暮らしならぬ、週末都会暮らしにしなくてはならない。

 

何より、発想が都会人向けだ。都会の人には「両地域のいいとこどり」かもしれないが、田舎で迎える側にはメリットが少なすぎる。それでは歓迎されることはない。
以前、「森林都市」構想というのがあって、森林地域に新都市を建設するアイデアが出されたことがあるが、これは旧来の地元住民を視野に入れないものだった(無人の森林地域を対象にする)。ほか田園都市構想も同じだ。あくまで都会人のための田舎(の魅力)収奪にすぎなかった。
しかし、それさえも失敗する。基本的に、日本人は2つの居住地を持つのに慣れていないのではないか。両方を均等に扱うのは無理のように思える。そして都会に重点を置くかぎり、田舎には溶け込めない。

本気で二地域居住を考えるなら、精神的に田舎に重点を置いて、都会を仮の住まいとする覚悟を持つことだ。

 

ところで、実は山村住民の中には、都会にも家を持つケースが少なくない。マンションの一室を確保していたりする。もちろん、比較的裕福な家庭なのだろうが、田舎の代々引き継いだ家はただ同然だけに、都会に家を持つのは、定期収入があればさほど難しくないようだ。その点からの二地域居住はすでに進んでいる。


市民の森ゼミナール

2006-08-07 10:02:44 | 仕事関係

昨日は、祭の疲れで動けなかった(^^;)。

でも、這うように仕事はしていたのです。やったのは、講演の原稿づくり。

 

8月19日 「市民の森」ゼミナール2006 環境創造コース第4講座で、
大和の森ルネサンス~里山と林業をよみがえらせる」の講師を務める。

場所・奈良女子大学 午後3時25分より120分 (1講座1000円、学生500円)

 

基本的には奈良県の森林について、その現状と今後の施策について考えようというもの。単に現状と考察だけなら簡単だけど、具体的な施策提案も、と言われたので悩んでいるところだ。やはり、吉野まるごとプロジェクトのことは話さねばなるまい、ともくろんでいる。

ま、質疑の時間をたっぷり取ると言われているので、案外その場で丁々発止するのも面白いかもしれない。

 


手作り吉野杉箸のサイト

2006-08-05 15:30:34 | 木製品・建築

暑くて頭が働かない。実は今日は地元・生駒の夏祭。なぜか私も出店の手伝いを仰せつかっているのである。

 

先に紹介した手作り吉野杉箸を販売しているサイトを発見した。森田商会という販売店のサイトで、私が出会った数少ない手削りの箸職人の作品を扱っている。

その名も「手づくり 吉野杉箸

 

ここで、手作りの箸がどんなものか味わってください。気になったら購入してください。価格は、高いようでそうでもない。

 

さて、国産割り箸持って、祭を覗きに行くか。

 


『びんちょうタン』を知っているか

2006-08-04 17:33:13 | 時事ネタ

皆さん、『びんちょうタン』を知っているだろうか。備長炭、ではなく、ひらがなカタカナであるところがミソだが、これが今大流行なのだ! らしい…。私は、ほとんど知らなかった(?_?)

 

びんちょうタンは、山奥で一人で暮らす女の子で癒し系。頭に備長炭をくくり付けている。仲間には、ちくタンとか、くぬぎタン、うばめが氏もいる…らしい。???
実は、アニメである。TBSでやっていて、DVDも出るほどの人気。ゲームになるかもしれないとか。詳しくは、こちらへ。

 

もちろん、ネタ元は備長炭である。それがなぜ、テレビアニメのキャラになったのかよく知らないが、今や和歌山県みなべ町の森林組合のキャラクターにもなっているそうだ。いや、私が知っていたのも、この点だけ。愛らしい、いかにもアニメっぽい女の子のキャラなのだが、それが全国に知られ大人気になっているとは…。当然、みなべ町の備長炭も有名になるだろう。

 ちなみに森林組合の方はコチラ。

 

これぞ、イメージキャラクター戦略のお手本のような話。林業各種も頑張ってもらいたい。チェンソーアートのキャラとか、吉野杉のキャラ、割り箸キャラも作ってみたらどうだろうか。


オリジナル・マイ杉箸!

2006-08-03 21:34:50 | 木製品・建築

とうとう、割り箸を手作りする職人を訪ねることができた。

実は別件で五條市を訪れ、下市町に足を延ばしたのだが、そこで以前より噂を聞きつつ、訪れる機会がなかった職人宅に押しかけたのである。電話ではアポも取りにくかったので、ぶっつけの押しかけ(^o^)。

 

そして、とうとう機械ではなく、かんなで削る割り箸の現場を見ることができた。これまで訪れた割り箸工場では、機械の動く音が絶え間なく響いていたが、ここではかんなで削るわずかな音だけだ。

幸い突然訪ねたのに歓迎してくれた。そしていくらか話をしているうちに、なんと、私専用の箸を作ってくれるという。

もともと、そこではランチュウや角箸など割り箸というよりバラ箸を手削りで作っているのだが、私用に寸法や太さを決めてくれた。ささっと削ってもった赤柾の杉箸。これは手に持った感覚が絶品! 軽くて柔らかくて、物を挟んだ感覚がビビッドに手に伝わる。

 

もちろん割り箸のように1回では捨てられず、しかし塗り箸のように何年も使わない、年間3、4度交換するのがよいとのこと。つまり1膳で3~4カ月は使える。赤柾だから香りもよく、酒に漬けると木の香が移る逸品だ。

面白いのは、このような箸を、「マイ箸」として売り出せないか」と言われたのだ。マイ箸と言えば塗り箸で、割り箸の敵かと思いきや、ここまで達した箸は、塗り箸を越えるのである。近くインターネットに店を開くそうだから、乞う、ご期待。

 

写真が手づくり割り箸(杉箸)。箸の下に並べたのは、全部杉の赤柾ですが、箸に製造する前の半製品というわけではなく、これを酒に浸すと木の香が酒に移る…という商品なのでした。早く、試さねば!


北越製紙のバイオマス発電

2006-08-02 11:43:09 | 森林資源

今日より王子製紙が北越製紙の敵対的TOBを実施…こんな記事がマスコミの経済ニュースを賑わせているが、北越製紙に関しては別に注目される点がある。

 

バイオマス発電に熱心なのだ。

 

まず木材よりパルプを作り出す過程で出る黒液(リグニンなどベンゼン核を持つ成分)による発電を大規模に行っている。昨年に国内最大級の専用ボイラーを設け、新潟工場だけで原油換算26万キロリットルのエネルギーを生み出している。(工場内で使用)

加えて、今年9月には茨城の勝田工場にバイオマス発電所を完成させる予定。来年には新潟にも完成するそうだが、こちらでは建築廃材や間伐材を燃料とするという。どんな間伐材を燃やすのか、ちょっと疑問もあるが、ともあれ日本の木質バイオマスエネルギーの雄になるのは間違いない。

そのほか、バイオプラスチックに紙を混ぜて耐久力を増したペレットなども開発している。おかげで昨年は農林水産大臣賞を受賞した。

 

私は、日本でバイオマス発電が成功するのは、こうした大規模化した設備があり、燃料もシステマチックに手に入る施設だけだろうと思っているが、その一つが北越製紙だろう。この会社の強みは、バイオマス資源を有効利用する技術を持っていることもあるのではないか。

 

今後、北越製紙と王子製紙の関係がどうなるか現時点ではなんとも言いようがないが、こんな視点からTOB劇を見るのも悪くないかもよ。


沖縄の木造文化

2006-08-01 23:38:55 | 林業・林産業

沖縄の話題をもう一つ。

 

沖縄にも森林組合があった。ヤンバルで見かけた土場には、何か曲がった材を積み上げていた。あれを製材するのは骨が折れそうだ。なんでも主にやっているのはチップ製造らしいが、紙パルプ用でもないというから、用途は限られている。

ただ、リュウキュウマツで家具を作る人もいるそうだ。あまり家具向きの材ではないが、腕次第か。イギリスではパイン(松)材の家具が人気だし、最近ではニュージーランドのラジアータパインで家具も作られているから。

 

もっとも森林組合の仕事は、どちらかというと、土木関係の伐採作業ではないかという気がする。
しかし考えてみれば、琉球王国時代は、木材も自給していたのだろう。今ではまとまった森林はヤンバルくらいだが、かつては全島に広がっていただろうし。用材になりそうなのは、リュウキュウマツくらいしか思いつかないが、ほかに広葉樹材も使っていたのだろうか。まさか台湾から輸入していたとか。
沖縄の木造文化を探ってみても面白いかもしれない。