とうとう、割り箸を手作りする職人を訪ねることができた。
実は別件で五條市を訪れ、下市町に足を延ばしたのだが、そこで以前より噂を聞きつつ、訪れる機会がなかった職人宅に押しかけたのである。電話ではアポも取りにくかったので、ぶっつけの押しかけ(^o^)。
そして、とうとう機械ではなく、かんなで削る割り箸の現場を見ることができた。これまで訪れた割り箸工場では、機械の動く音が絶え間なく響いていたが、ここではかんなで削るわずかな音だけだ。
幸い突然訪ねたのに歓迎してくれた。そしていくらか話をしているうちに、なんと、私専用の箸を作ってくれるという。
もともと、そこではランチュウや角箸など割り箸というよりバラ箸を手削りで作っているのだが、私用に寸法や太さを決めてくれた。ささっと削ってもった赤柾の杉箸。これは手に持った感覚が絶品! 軽くて柔らかくて、物を挟んだ感覚がビビッドに手に伝わる。
もちろん割り箸のように1回では捨てられず、しかし塗り箸のように何年も使わない、年間3、4度交換するのがよいとのこと。つまり1膳で3~4カ月は使える。赤柾だから香りもよく、酒に漬けると木の香が移る逸品だ。
面白いのは、このような箸を、「マイ箸」として売り出せないか」と言われたのだ。マイ箸と言えば塗り箸で、割り箸の敵かと思いきや、ここまで達した箸は、塗り箸を越えるのである。近くインターネットに店を開くそうだから、乞う、ご期待。
写真が手づくり割り箸(杉箸)。箸の下に並べたのは、全部杉の赤柾ですが、箸に製造する前の半製品というわけではなく、これを酒に浸すと木の香が酒に移る…という商品なのでした。早く、試さねば!