アナーキー小池の反体制日記

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#1937 柾葺屋根(まさぶきやね)

2016年04月27日 | 昔の思い出
ボクが幼い頃住んでいた家は、柾葺屋根(まさぶきやね)でした。(借家でしたが)
柾葺の柾(まさ)とは、太くて真っ直ぐな樹木を長さ30cmほどの輪切りにしたものを、厚さ3mmほどに薄く割った板片です。
昔は柾職人という職があり、輪切りにされた丸太を手斧を使って器用に薄板に仕上げていたのです。
長さは30cm、厚さ3mmですが、幅は丸太の断面によって異なり、20cmから30cmくらいだったでしょうか。

その昔は輪切りにした丸太を職人が手斧で割って薄板に仕上げていましたが、ボクが子供ころにはその薄板にするのは原始的な機械を用いていました。
柾工場と看板をあげたのが近所にあって、丸太の輪切りを動力で薄板にしていました。
その作業も単純でしたが面白いものがあり、時々見入っていたのものです。

柾葺屋根は腐ってしまったり、強風に飛ばされたりして、長くは持たなかったのでしょう。
幼い頃、何度かその葺き替えの作業を見たことがあります。
職人が屋根の下のほうから、柾を柾釘(まさくぎ)というごく小さな釘を打って固定していくんだけど、その速さといったら超人的です。
職人は柾釘を大量に口の中にくわえていて、その釘を器用に1本ずつ吐き出し、柾を打つのに用います。
そのスピードたるや信じられないほど早いのです。

柾は小さな片です。
それで屋根全体を覆うのですから、大変な作業です。
屋根の下のほうから上に向かって、葺く作業は進みます。
逆だと、雨水が家屋に侵入してしまいます。
柾葺に限らず、萱(かや)でも瓦でも鉄板でも下方から上方に仕上げるのが鉄則です。

・・・
今思い出しても、柾葺の作業を見ることが楽しかったのです。
ボクら子供達が眼を丸くして作業を見ているのを、職人たちも意識していたのでしょうね。
冗談を言い合いながら、楽しそうに仕事をしていたのです。
当時、職人たちは誇りを持って仕事をしていました。

ただ、ちょうどそのころ柾葺屋根は使命を終えていたのです。
トタン板に主役に座を奪われていました。
次回はそのトタンによる、鉄板葺屋根についてです。
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