足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

バフェットの重点8銘柄

2015-05-25 07:40:06 | 投資戦略
先週のNY株は高値圏でのもみ合い。
注目されたのはイエレン連銀議長の講演会。目先の見通しは不透明だが回復が確認されたら利上げに踏み切ると言及した。市場は後半の金融政策の転換を確認した。これまでの経験則では初めての政策転換後には株価は方向性をめぐって調整にはいるが、今回も同じような展開を予想する向きが多い。
先週はヘルスケア、ハイテク、金融が買われ、市場の人気の柱には大きな変化がなかった。
SECが直近の大口投資のインサイダー届けを公開したがウォーレン・バフェットのポートフォリオには大きな変化はなく、主力の投資銘柄のうち8銘柄の持ち株数をわずか増やした。
銀行ウェルズファーゴ(WFC)、飲料コカコーラ(KO)、ハイテクIBM(IBM),金融アメリカン・エクスプレス(AXP)、流通ウォールマート(WMT)、家庭用品P&G(PG),銀行U.バンコープ(USB)、医療機器ダビタ(DVA)である。業種でみると金融、ヘルスケア、消費関連、ハイテクに集約できる。
なかでも彼がこれまで一貫して避けてきたハイテク業種のIBMが顔を出していることが、バフェットの銘柄選択の変化だ。IBMの健全な財務内容が大企業のなかでは抜群で、経営者の株主還元(特に自社株買い)の伝統的な姿勢に注目する。ハイテクだがビジネス・モデルには大きな変化はなく、技術革新の変化に巧みに対応する経営力を高く評価する。1980年代までは米国の産業界のシンボルであったが、その地位は大きく後退したとはいえ、バフェットの目にはアップルよりもIBMの将来性の確実性が高いと写る。
米国株投資のポートフォリオにはこの8銘柄のうちひとつでも選んでみることである。バフェットの成功の秘密の片鱗が実感できるはずである。

ヘッジファンドの注力銘柄からのヒント

2015-05-23 07:50:15 | 投資戦略
ウォール街ではイエレン連銀議長の講演に注目したが、内容には新しい材料はなく特に反応がなかった。連休を控え見送り気分が優勢。
昨日もヘッジファンドの3月末の個別の保有銘柄トップ10について書いたが、ヘッジファンドの間での人気の双璧はアクタビス(ACT)とアップル(AAPL)である。
アクタビスは調査対象の685社のヘッジファンドのうち77社がポートフォリオのトップ10にいれている。世界的なジェネリック医薬品のメーカーで広範囲の製品を手がける。時価総額は1180億ドル(14兆円)とファイザー(PFE)の2分の1に当たる大型企業である。先進国では医療費の高騰が問題になっており、日米とも政府はジェネリック医薬品への切り替えを医療機関に迫る。この傾向は世界的な流れである。先進国では人口の老齢化が深刻な問題になってきており、今後はジェネリック市場が急拡大することは時代の流れである。
第2位のアップル(AAPL)は時価総額が7560億ドル(90兆円)になったが、いまなお技術革新のトップを進み成長にはいささかの陰りもみられない。ヘッジファンドの大御所カール・アイカーンは株価が現在の2倍の価値があると超強気である。
アクタビス人気は東京市場での注目銘柄の発掘のヒントになる。2015年3月期は日本のジェネリック医薬品の業績も好調で、先行き設備投資を拡大し時代の流れを先取りする動きが続くだろう。
ほかに注目したいのはリスト上位のマッコリー・インターネショナル(MIC)である。NY市場でも空輸業界の活況のなかでこの種の銘柄に関心が高い。株価はリーマンショック後、40倍になった。空港での諸施設の運営サービスの企業だが東京市場での日本空港ビルデイング(9706)に当たる。

ヘッジファンドの投資トップ50社

2015-05-22 06:53:46 | 投資戦略
NY市場ではS&P500が新高値。ダウ平均、ナスダック指数は高値圏でのもみ合い。
相場の先行きに2つのテクニカル指標から「売り」ではなく「買い」のサインが出ている。
そのひとつはオプションのプット/コール比率。5月初めに底入れして上昇に転じた。プットがコールを上回るというのはトレーダーやヘッジファンドが相場の下落を懸念して相場の下落に賭ける。相場が過熱感のない証明でもある。
いまひとつはVIX(恐怖)指数で12ポイント近辺推移し先行きには安心感がある。指数の動きは一段高を控えて地固めしている。

ウォールでは4半期ごとに大口売買についてSECに報告が義務付けられている。今月15日が期限でゴールドマン・サックスがヘッジファンドの大口売買のデータを集計した。
ファンドのトップ10は医薬品のアクタビス(ACT)、アップル(AAPL),フエィスブック(FB),バリアント・ファーマシュティカルVRX),マイクロソフト(MSFT),ディレクトTV(DTV),シティ・グループ(C),タイムワナー(TWC),デルタ航空(DAL),ジェニエール・エネルギー(LNG)と知名度の高い株であった。
さらに50位までをみると傾向としてヘルスケア、ハイテク、IT関連、メディア、金融、小売りが業種面では目立つ。
先に本ブロッグで紹介したラリー・ロビンソン(グレンビユー・オフショア)が注目株している老齢者向け住宅、看護施設のブルックディール・シニア・リビング(BKD)が44位にはいっている。ヘッジファンドの間での人気銘柄になっている。
またウォーレン・バフェットのバークシア・ハザウェイが39位にはいっているのも注目される。バフェットの行き方に賛同すう運用者は多い証明である。
トップ50銘柄で目立つのはヘルスケアである。NY株への投資アイディアを得るのに参考になる。
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米連銀はハト派を続ける・・・4月の議事録公開

2015-05-21 07:11:19 | 投資戦略
NY株は小幅安。米連銀が4月のFOMCの議事録を発表した。
「6月に政策転換できるほど足元の景気は好調でなく、転換の条件である雇用の回復、2%の物価上昇の確認が未達」とした。シカゴ連銀のエバンズ総裁は今週の講演で「転換は来年に持ち越される」と発言していた。議事録のトーンはその発言を裏付ける“タカ派”という内容であった。
日経平均が15年振りの高値になったがウォール街でも注目された。ただ有名なコメンテイターのジム・クレマーが「日本の問題点はTPPの締結に消極的なこと」と指摘した。ウォール街の東京市場を見る目の大きな関心事である。

先に本欄で紹介したヘッジファンドのラリー・ロビンソン(グレンビユー・オフショア・オポチュニティ)は3年連続で成果はNo1になった。
過去3年の年平均の成果は+57.05%と驚異的だ。彼は銘柄選択の視点に「マクロ経済で一致している指標は米国の老齢化だ」として関連銘柄に高齢者向けの医療施設を併設した集合住宅運営ビジネスのブルックデール・シニア・リビング(BKD)に投資した。
彼はバフェットのようにビジネスの未来に投資するという視点を重視し、企業価値を分析してきた。この会社は不動産を自社保有し株価の4分の1は土地の含みで説明ができる。

東京市場では高齢者向け施設の関連銘柄での成長性のある株は少ない。
そのひとつにリゾートトラスト(4681)が上げられる。全体の売上への寄与率がまだ小さいが今後の成長材料になるだろう。育成してきた会員制の人間ドッグが収益源に育ち、本来のリゾートビジネスの成長を支えるキャシュフローを生み出す。高齢者向けビジネスの今後の展開が注目される。


日本の株価革命が進展・・・バフェットの尺度

2015-05-20 06:16:31 | 投資戦略
NY株は高値圏でのもみ合い。
水曜日の米連銀FOMC議事録(4月)の公開を控え様子見の気分が強かった。
東京、上海、ロンドンのほかヨーロッパ、新興国は堅調。春からの世界の株価の戻り歩調は変わらない。特に目立つのはヨーロッパ株の好調で、米国の資金が継続して流入している。ウォール街にとっては歴史的にも縁深い市場だけに、ここ数年間の米国の株高の背景を欧州株の目先の見通しに延長してみている。外国株投資の参考にしたい。

昨日のウォール街での人気グループで目立ったのはバイオ、金融でこれまでの上昇相場を支えてきた主役に変化はみられない。

ソロスが世界銀行の会合に出席し「第三次世界大戦が起こるとすれば米国と中国間だが、それを避けるために中国の通貨を国際通貨にするべきで、その条件は中国経済の構造改革が必要条件」と強調した。国内での格差の大きい現状には大きな問題が横たわっている。

昨日の日経新聞では2015年3月期の企業の経常益が39兆7000億円(+4.9%)、最終損益が23兆9000億円(+5.3%)との集計が報じられた。リーマンショックの底から5倍以上になり、2016年3月期も経常益は+5.7%になる。企業の体質は強固になり、経営者の株価に対しての関心が大きく高まってきたのは歴史的な大転換である。
配当、自社株買いで純利益の半分に相当する金額を株主に還元する。決算発表時のアナリスト、機関投資家向けのレポートには増配、自社株買いなどの数値が記載され、株主還元の姿勢を強調する企業が目立つ。このような動きはいま始まったばかりで、この種の配慮をしない企業の市場での存在観に影響が出るようになってきた。日本での大きな株価革命である。投資の神様であるウォーレン・バフェットが経営者をみる最大のポイントにしている点でもある。彼がコカコーラやIBMへの投資に固執する由縁である。
日本の株価を判断する新しい尺度が出てきたのは、価値観の一大転換でもある。