足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

金融市場には安定化の兆しか?

2008-04-22 17:58:36 | 株式

ニューヨーク株の先行きに余裕をもつ向きも出てきた。

それは月末の連銀FOMCでの利下げ幅が、一時の0.5%から0.25%という見方も有力になってきたからでる。

仮に0.25%になったとしても、FFレートは2.00%まで下がる。

昨年9月に始まったバーンキ議長の金融緩和政策も、来週のFOMCで小休止に入るかもしれない。

このような雰囲気になってきたことに注目したい。

この筋書きが実現した場合には相場の先行きをどう読むか?

ひとつは世界の金融市場にどう受け止められるかにある。

今週の米バロンズ誌は「1ヵ月前に起こったJPモルガンによるベアースターンズの買収のような事件がなくなり、メリルリンチやシティ・グループの欠損を市場は前向きにとらえ始めた」と書いている。

いまひとつはドル安の終焉である。ユーロ・ドルに対しての下落が最大の問題であるが、「これ以上、米ドルの金利の下落はない」という安心感が出てくれば、ドル資産に対しての信頼感を呼ぶこむことにつながる。

このことも世界の金融市場の安定化になる。

このような議論が出来るようになってきたのが、昨年8月以来の信用市場の潮の流れの変化でもある。

われわれは金融株に注目している。先に「トリトンスクエア通信」で、みずほフィナンシャル(8411)を取り上げたが、銀行株の人気には雁行的な展開が期待できる。

あわせて新興市場の銘柄にも注目を始めたい。


ヘッジファンドの選び方

2008-04-21 18:42:56 | 株式

今回のサブプライム問題の波乱期下にあってヘッジファンドの動向には、これまでとは大きく異なった点があった。

それはサブプライム問題を逆手にとって、関連商品を空売りし、史上最高といわれる利益をあげたファンドが続出したことである。

このことは「トリトンスクエア通信」で何度か書いた。

ベアースターンズの破綻のきっかけは、昨年8月の同社が運営するヘッジファンドの挫折であった。ハイテク技術を駆使して関連商品を高利回り商品に仕立て上げ、それをヘッジファンドに組み入れて高利益を狙った。

しかし一方では、住宅ブームの終焉をみてとったヘッジファンドは空売りした。

組成したハイテク商品を的確に分析する人たちを抱えるヘッジファンドは、やがてはサブプライム関連商品が行き詰ることを予見した。

今回のヘッジファンド業界では失敗するところが散見されたが、利益を上げたファンドの数の方がはるかに多かった。

われわれにとって残念なのは、この種の商品の購入が難しいことであった。

成功するようなファンドは、なかなか入手が困難な時代になってきた。「先方から売り込みにくるようなヘッジファンドに手を出すな」というのが、今回のサブプライム問題で得た教訓であった。

ファーストリテイリング(8893)に注目。

20118月期に売上を1兆円にする計画の可能性が濃厚になってきた(20088月期5855億円の予想)


今週は日米とも決算が焦点

2008-04-21 06:33:25 | 株式

今週はウォール街での決算発表に次ぐで、東京市場でも第4四半期の決算発表が本格化する。

先週のNY株を支えた好材料は企業業績の発表であったが、金融機関の決算ではサププライム問題の損失が意外に少なかった。それに、それにEベイ、インテル、IBM,グーグルの決算にサプライズドがあったことが好材料になった。

金融機関以外の業績の好調は、海外のビジネスにあった。ドル安ということが背景にあるが、それよりも新興諸国をはじめ、ヨーロッパも金融不安の影響が景気循環に決定的な打撃を与えていないことが実証された。

ここ一週間の動きをみて、先行きを即断するのにはリスクがあるが、これまでの米連銀の果敢な行動が、世界経済が大きな混乱に入るのを水際で阻止するのに成功した。

クリントン政権下で名財務長官といわれたルービンは「第1に、市場が買われすぎか売られすぎになっていることを確実に判断する方法はない。第2に、市場の力に勝つことはできない。だから、論じても何も得られない。第3に何を語っても裏目に出て、信頼性を失う結果になる可能性が高い」(「ルービン回顧録」日本経済新聞社刊)。

当時のグリーンスパン連銀議長に向かっての発言である。

3月から世界の投資家に一喜一憂させ続けた株式相場の底流を市場がつかんでいることと、世の中のメディアの見方の間にはギャップが出てきたのか?

われわれは金融株にお動きに注目を始めている。


引力を振り切ったグーグル

2008-04-18 07:40:55 | 株式

“グーグールも地球の引力の法則には抗しがたいとみたが、ふたたび浮上を始めた”。

グーグル株の投資家の声である。

昨日、第1四半期の決算をグーグールが引け後に発表した。

売上+40%、利益+30%と、アナリストの予想を上回った。

今年1月の昨年第4四半期の決算が事前の予想を下回ったのと、調査会社のデータではネット広告へのクリック数が減少していることが、アナリストの見通しの慎重な理由であった。

グーグルは革新的な広告の開発で業界をリード、広告の単価の引き上げに成功した。

また海外のビジネスの成長が国内を大きく上回ってきた。このことは先に決算を発表したEベイと同じである。

国内でも2月のシエアは63%と、昨年末の62%から一段と増加した。

先行きは携帯電話の分野に注力する。自社で携帯電話用のOSを開発し、無償で提供している。ことしからグーグルのソフトを組み込んだ携帯電話が登場する。

自ら技術を開拓し、市場の規模を拡大、競争相手も呼び込んでインターネット革命の進展に貢献するという意欲と力は不変である。

多くのアナリストは前例のない成長企業の戦略に振り回されてきた。

株価は引け後の取引で77ドル高(+17.23%)と$527.01になった。

世界のインターネット株の人気にも火がつくだろう。


VIX指数が反転相場を暗示し始めた

2008-04-17 15:37:41 | 株式

日米とも市場の先行きに対してのセンチメントに落ち着きが出てきた。

「トリトンスクエア通信」でしばしば注目するシカゴのオプション取引所のVIXVolatility Index)指数というのがある。市場の先行きに対する不安の度合いを表す指数で、私は不安指数と呼んでいる。

指数が上がれば不安度が増すことを意味しており、相場は下落トレンドをたどる。一方、指数が下がると先行きに投資家が強気になることを反映しており、相場は上昇トレンドをたどる。

昨年来のNYダウ平均とこの指数の動きをみていると、指数が大きく上昇した時点は20078(37.5ポイント)20081月(37.5ポイント)、20083月(35ポイント)であった。

それが昨日は20.37ポイントまで下落した。市場のセンチメントから恐怖感が大きく後退した。

この数字が20ポイントを割って下に行くと相場には新しいラリー(強気相場)が始まったことが確認できる。

典型的な例は、昨年8月から10月でNYダウ平均が14000ドルと史上最高値をつけたときである。指数は急低下した。

今回もVIX指数が20ポイント割って10ポイント台で安定するかどうかが、相場の先を読むカギのひとつでる。

最近、ヘッジファンドが手持ち株のヘッジに指数の売買をする。

一方、東京市場にもVIX指数に似た指数がある。それは日経平均のオプション取引のIV指数である。相場の理論的な変動率を現す数値である。この指数も市場でのセンチメントが悪化すると上がる。

相場が崩れた317日には50.0まで上昇した。しかし昨日は29.5になった。20に接近すれば、新しい相場のラリーが始まるサインである。

日米とも明るい指標が出てきた。