マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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勝原涅槃会式のお堂廻り

2009年04月23日 07時38分49秒 | 山添村へ
オヤの家で接待された子どもらは笹竹の枝に一枚の白紙御幣(御符ともいう)を取り付けていく。

それが揃うと「ネハン キャハン オシャカノスズメ」と言いながら薬師寺に向かう。

お寺には楽しみにしていた地区の方らが集まっている。

お堂には涅槃の掛け図を正面に掲げて、祭壇には大きな「キナコオニギリ」を供えている。

しばらくすると堂廻りの儀式が始まった。

お堂に座ったオヤ。

スタートダッシュの勢いで次々と笹を持った子どもたちはお堂の周りを走っていく。

いま何周目やと年少さんが言えばオヤはまだ五周。

まだまだやと再び走り出した。

笹は風を切るようにたなびいて航跡を残しているようだ。

さすがに先輩たちは速く、勢いは落ちていない。

13周廻ってやっと終わった堂廻り。

バッタンキュウで疲れたわという年少さんの声を余所に今度はオヤ叩きが始まる。

オヤを円く取り囲んだ笹竹を持つ子どもたち。

バシバシと竹でしばくようにオヤを叩く。

オヤは逃げずに叩かれた竹を一本ずつ折っていく。

全てを折って儀式を終えた。

子どもから大人への通過儀礼だとされる竹叩きの儀式。

最後に竹を折るのは子どもには戻らないという覚悟を表しているものと考えられる。

中学三年生のオヤは15歳。

昔は元服、成人の歳であって大人社会に出る試練だともいう。

オヤ叩きを終えた子どもたちは涅槃の掛け図(1670年以前とされる)の前に座し手を合わせる。

オヤの親は供えられた「キナコオニギリ」を集まった人らに配っていく。

オニギリは丼ふたつで固めたもの。

それにキナコをまぶしている。

オニギリのお下がりは箸を持たずに手で受ける手ゴク(御供)。

オニギリには味付けがなくキナコの味。

美味くはないけどこれがネハンの味だという。

お寺に来られん家には子どもが持っていく。

これもネハンの行事のひとつ。

村の行事を支える子どもたちは集団活動を通じて年少時代から協同社会の役目を担っている。


涅槃の掛け図は1670年以前とされるものであるが納めてあった箱の墨書には寛政年(1790年代)を記していた。

おそらく当時に新調されたものであろう。

(H21. 2.21 Kiss Digtal N撮影)


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