マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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久しぶりの再会

2016年12月24日 08時57分17秒 | 川上村へ
夏季大祭に拝見した神饌所に真っ白な石があった。

「シラス」と呼ばれる神聖な石である。

清流にある真っ白な石を拾ってきて本社に供える。

本社に着くまでに一旦停止する処がある。

神社よりすぐ近くに小川が流れる。

小さな川に跨る橋がある。

欄干はコンクリート製だ。



そこに拾ってきた「シラス」石を一旦は置く。

「シラス」石は108個も集める。

揃ったところで本社周りに敷き詰める。

これを「コオリトリ」と呼んでいる。

充てる漢字は県内事例から考えて垢離取りに違いない。

決まった日でもないときに行われる「コオリトリ」。

例えば、宮参りに詣でるときにしていると云う。

「シラス」石を一旦置く場の向こうにかつて総代・大目付を務めていたⅠさんが住まいする家がある。

6年ぶりに訪れた高原。

顔を出さずに帰ってしまえば失礼にあたる。

そう思って上がって来た。

もしかとしたらと思って畑に向かう。

そこに奥さんと一緒に作業をしていた。

元気な黒光りのお顔を拝見してオォと声があがる。

懐かしい場で寛がしてもらった。

Ⅰさん夫妻とばったり出会ったことがある。

大淀町の土田(つった)をお互いが逆方向に走っていたときだ。

眼前に浮かんだ車の運転手の顔。

同乗していた奥さんの顔も判った。

クラクションを鳴らしたら気づいてくれた。

大慌てでUターンして手渡した本は出版数か月後の奈良本。

著書の『奈良大和路の年中行事』である。

著書に高原の行事を収録している。

お盆行事の「法悦祭(ほーえっさい)」である。

珍しい作法があるマツリもあったが、誌面の都合でこれ一本にさせてもらった。

そんな話も懐かしいし貴重な特別な山野草に思い出話の花が咲いて村の風習などを話してくださる。

6月7日は山の神さん。

それからヨウカ竿立てでひと月遅れのコイノボリをする。

ヨウカ竿はいわゆるオツキヨウカのテントバナと同じ形態であろう。

それは6月8日に立てるというから違いない。

一本の杉の木を山から伐り出す。

葉を少し残す。

残す場所はてっぺんである。

その葉の下にボタンの花やヤマブキを飾ったヨウカ竿は高原で一番遅そうまでしていたと云う。

ヨウカ竿は一日限り。

これを倒してコイ竿を立てた。

コイ竿はコイノボリを揚げる木材の支柱だ。

その日は笹の葉に包んだチマキを作っていた。

チマキの原材料は米粉。米を挽いて粉にしたものを熱湯で練って蒸した。

笹の葉で包んだチマキの形は尖がっていた。

その日はホオの葉でくるんだアンツケダンゴを作っていた。

朝から作業をしていたと述懐されるホオの葉包みのアンツケダンゴは高原では「デンガラ」の名があった。

※参考 高原の「デンガラ」と呼ばれる朴葉包みのダンゴ

4月3日はオヒナサンのヨモギがあった。

ヨモギ摘みをしたヨモギは昨年に採取したものと今年のものとで2升5合。

タンサンを入れて作るようだと聞いたがあやふやだ。

それをヒシモチの形にする。

オヒナサンに供えたら「はよたたまなあかん」とよく言われたことを思い出すと云う。

年末の12月28日は家の餅を搗く。

30日は朝から大掃除。

注連縄(たぶんにコジメ)をかける場所は戸口などあらゆる処に架けるので15ケ所にもなるそうだ。

午後は正月迎えにイタダキ作法をするイタダキの膳を作る。

膳の盛りは洗米にサトイモ、葉付きダイダイミカンや吊るしカキなど。

これらを三方に載せて大盛りにする。

昔は二段重ねの鏡餅に老寿の伊勢海老も立てたそうだ。

イタダキの膳にはお金を入れたのし袋も供える。

なお、イタダキの作法をするのは元日の朝になるが、作りは拝見したいものだ。

そのイタダキの膳はお寺の先祖さんにも供えると話していたI家の在り方は村神主が話していた神社行事の節分まで詳しく話してくれた。

神社行事は午後6時半より節分の豆撒きがある。

撒く場所は小宮さんに鳥居、御供所、拝殿である。

そこで撒くときに行う詞章がある。

「鬼は外 鬼は外 鬼の目うと」と云いながら撒く。

神社ではそうしているがI家も節分の日に家の行事が行われる。

その日は奥さんがスコンニャクを作る。

水を切って油を落として炒める。酢と味噌を塗して胡麻を振って作っていると云う。

また、ニンジンやコンニャク、ダイコンの煮ものもあれば、巻き寿司も作る。

すべてが自家製である。

料理はそれぐらい。

節分の作法につきもののイワシヒイラギがある。

生イワシの頭はメツキバラ(ヒイラギ)の枝木に挿す。

戸口とかトイレなどに立てる。

さばいた生イワシの腹や背は焼いて食べる。

これも料理であるのかと云えば、ちょっと違って残り物のおすそわけだ。

肝心かなめの節分の作法といえば豆撒き。

そのときの台詞(詞章)が「オニノメウトー、オニノメウトー」だ。

「オニノメウトー」は前述した「鬼の目うと」。

つまりは鬼の目を打とう、ということだ。

時間ともなれば村の各戸で節分が行われる。

それぞれの家々で行われる節分の豆撒きに「オニノメウトー、オニノメウトー」と大声が響き渡る。

(H28. 6.10 EOS40D撮影)


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