マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

荒蒔のドウガイ注連縄

2014年05月14日 07時16分27秒 | 天理市へ
天理市荒蒔町に鎮座する勝手神社。

拝殿前に簾型の注連縄が掛けてあった。

作業道具が残っている神社。

待つこと十数分間、数人がやってきた。

一昨日、昨日に訪れた際にはどなたもおられなかった勝手神社。

もしかとすれば、この日に正月飾りをすると判断して探っていたのである。

やってきた人たちに尋ねた結果は、西に鎮座する的場大明神にも注連縄を掛けていたと云う。

的場大明神は正月12日にケイチンの鬼打ちをされる場である。

鬼の的を目がけて矢を射る。

小字は野田であるが、そういう場であるから「的場」の名がついた地であろう。

勝手神社が鎮座する小字は法田。

道を挟んだ南側は堂ノ前である。

どことなく勝手神社にはお堂があるように思えた。

それもそのはず神社拝殿西側に建つお堂は薬師堂であった。

ケイチンの日に鬼打ちをされる的場大明神にも注連縄を掛けていたと戻ってきた村神主やマツリ當家(ケイチン當家はケイチン行事のみ)は云う。

朝9時前ぐらいから注連縄掛け作業をしていたのであった。

荒蒔の注連縄は簾型だ。

充てる漢字は判らないが、注連縄の名を「ドウガイ」と呼んでいる。

安永九年(1780)、文政三年(1820)・十一年(1828)に記された『荒蒔村宮座営帳』の写しに「その名があったはずや」と見せていただいた古文書には「どをがゑ(ドウガイ)」の文字があった。

ドウガイの名がある注連縄は数日前に當家宅で五人衆が作っていたそうだ。



少し短めのドウガイは拝殿前の他、鳥居とケイチンの場の的場大明神にも掛けていた。

いずれも葉付きの笹竹を右側にしている。

中央にウラジロ、ダイダイを括り付けていた。

そこにはビニール袋に包んだトコロやホシガキ、カチグリ、カタスミを入れているそうだ。

拝殿両脇に松だけの門松を竹の筒に入れる。

正月飾りはこれらだけでなく、小注連縄もある。

狛犬や薬師堂に聚楽さんと呼ばれるお堂にも飾っておく。

これらの作業を終えて解散された氏子たち。

村神主は薬師堂に献花もされていた。

立ち去った後で拝見した的場大明神に足を運んだ。



左右二本の竹を立てた場にドウガイを掛けていた。

中央のウラジロやダイダイなどは鳥居、拝殿とも同じ形式である。

石垣の前にはシンプルな門松も立てていた。

気になっていたのがノガミの地である。

8年前にノガミの地を教えて貰ったが判らなかった。

あらためてお聞きしたノガミの地は勝手神社より東方にある。



村の外れの十字路にあった小社。

それは「野上さん」と呼ばれている社殿である。

石を組んだ土台に建之された「野上さん」は愛称で正式には野神大明神と呼び、布に包んだノガミ石を祀っていた。

5月末に神社衆がチマキを供えるらしい。

(H25.12.30 EOS40D撮影)