マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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切幡子洗いのお大師さん参り

2013年08月04日 07時38分18秒 | 山添村へ
弘法大師の命日に集う山添村切幡(きりはた)の住民たち。

場所は村外れの「子洗いのお大師さん」だ。

小高い丘の上に建てられた小さな祠がある。

内部に石仏があるようだが暗くて彫りが判読できない。

話によれば「大師」の文字があるという石仏は25年も前はこの場ではなかった。

名阪国道の建築によって移動せざるを得なかったお大師さん。

不動石とともに当地へ寄せたと話すT氏。

平成元年に切幡壮有会の人たちが建之した子洗いのお大師さんの由緒板書がある。

当時は40歳代だったと話すかつての年代の壮有会の人たち。

T氏が云うには「昔、松明を持って雨乞いをしていた。池を奇麗にすれば雨が降ると云われていた。日照りで池を掃除したら雨が降った。それでも降らんかったら雨乞いをした」という池は二代目の柳の木がある。

板書きに「昔、この前を通りがかった婦人が急に産気づいてお大師さんが取りあげた。産湯につかわされたので子洗いのお大師さんと呼ばれる」とある。

板書きには続きがある。

「お大師さんが諸国遍歴のとき、弁当の箸を忘れられ、付近の柳の木で箸を作って、その箸を池の畔り(ほとり)に逆さに挿した。柳の木の箸が根づいた逆さ柳は大木になった。いつしか枯れて、継いだ二代目である。」と語る板書である。

由緒ある子洗いのお大師さん参りは切幡の村行事。

当番の家は二組。

切幡は40戸からなる集落であることから20年に一度の回りの当番は極楽寺の行事もしている。

夏至の日に行われる田の虫送り2月初午のオイナリサンも当番にあたる。

田の虫送りでは太鼓打ちを勤める。

お大師さん参りのときには「南無大師遍照金剛」の幟を立てて参拝者を待つ。



時間ともなればやってきた村人たち。

手にはお花を持っている。

ローソクを灯した小さな祠回りに花を添えて手を合わせる。

線香もくゆらすし、御供もそれぞれで供えるめいめいのお参りを済ませれば幟に囲まれた場に集まる。

当番の人はお供えを下げて場に移す。

ブルーシートに座っての直会である。

子洗いのお大師さんの場辺りには数々の山の花が咲いている。

赤色は椿だ。

白い花も見られる。

どうやらシロバナツツジ(ゴヨウツツジのシロヤシオ・シロバナウンゼンツツジかも)のようだ。

白い花のアセビも咲いている。

ピンク色はヤマツツジ。



花に囲まれた直会の場に出されたのはジャコとセキハン。

当番の人が炊いたセキハンを皿に盛って酒を酌み交わす。

なごやかな直会であるが、この日は冷たい風が吹いていた。

昨夜に降った雨は止んだが冷たい風が吹き抜ける。

ときおり小雨が風に舞う。



あまりにも寒い日となったお大師さんの直会は熱燗があればという声はあったが、耐えきれず早々に解散された。

多量な雨であれば中断ではなく公民館での直会になると云う。

(H25. 4.21 EOS40D撮影)