マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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阪原長尾神社戻りジンパイ

2011年11月10日 06時45分07秒 | 奈良市(東部)へ
南明寺にある長尾神社のお旅所祭で田楽舞を奉納した人たちは出発地の神社に戻ってくる。

奈良市阪原町の氏神さんだ。

柳生の里と大柳生の間にある阪原は田園風景が美しい。

秋祭りにはオーコで担ぐ太鼓台もでる。

そこには子供たちが太鼓を叩いていた。

お祭りの間のその子たちは一度も地面に立たない。

戻ってくるときには大人に肩車されて帰ってくるのだ。

南明寺から長尾神社まではおよそ1kmもある。

太鼓台のお練りもたいへんだが肩車で戻ってくるのも同じこと。

法被姿の子供が戻ってくる前にはお旅所で奉納舞を演じていた舞(令)人たちが舞殿で田楽舞をされている。

太鼓やササラに笛を奏でる人たちである。

舞台中央に御輿を配し左右に二人の弓打ち。

矢を射ることなくただ立つだけだ。

笛奏者は右に立って、鼓、ササラ、太鼓は左に座る。彼らはそれぞれ二人ずつだ。

ピー、ピー、ピーに合わせて打つ鼓、太鼓。ササラも同じくシャッ、シャッ、シャッと三拍子。

笛の諧調はときおり上がり下がりがある節だ。

奏者はそれぞれ鳴り物道具を手にして時計周りに舞台を三周する。

三拍子目のときは足を止める。

その際、田楽の舞人たちは「ハァッ」とか「ホォッ」のように聞こえる掛け声をかける。

最後はピロピロッと止めのひと吹きだ。

そして舞人は扇を手にして御輿の前に立つ。

扇を広げ、両手は大きく広げて前に被さるように2回し。

そして今度は外へ回して「オゥー」と言いながら上体を反らせばパチパチと拍手喝さい。



次は逆時計周りに三周して終える。

この所作を鼓、ササラ、太鼓役が繰り返していく。

その次に登場したのが褌姿の二人の力士。

お互いは刀を左の肩にかけて担ぐ格好だ。

舞台袖に立つ力士は「ヨイ、ヨイ、ヨイ、ヨイ」と掛け声をかけて御輿の前に進んで刀を置く。

今度は両手で尻を叩きながら「ヨイ、ヨイ、ヨイ、ヨイ」と後ずさり。

この間は笛や太鼓は鳴らさない。

次の所作では両手を交互に前へ波打つような格好で押し出していく。

まるで押し出し相撲のような格好で「ヨイ、ヨイ、ヨイ、ヨイ」と前に進む。



そして再び尻を叩きながら戻っては両手の押し出し。

なんとも奇妙な相撲の所作である。

そうして二人の力士は手を握り合って大きくあげた。

ここで舞人と同じように両手は大きく広げて「ヨーイ、ヨーイ」の2回。

3回目は大きく回して「ワァーイ」と言いながら上体を反らすように両手を上へあげた。

まるでバンザイをしている格好だ。



なんとも滑稽な所作の相撲であった。

こうして舞人たちはすべての奉納を終えたのである。

そのころには肩車に乗った太鼓打ちの子供が神社に戻ってきた。

鳥居を潜るときにはその勢いはダッシュ。



神子はようやく地面に降り立った。

(H23.10. 9 EOS40D撮影)