その日暮らし

田舎に暮らすこの虫は「カネ、カネ、カネ」と鳴くという。

雲と自由が棲むという里で百姓に成りきれるかな?

夢屋国王(欅繁れる4)

2011-10-06 07:38:41 | 夢屋王国

付属農場の一角に立ち、東京都内の地方大学(失礼)が持つ保有資産に今さらながら驚愕し、一体、私はこの大学に何を求めたのだろうと改めて考えてみるのであります。「いつかは、日本のアンリ・ファーブルに成る。」などと、少年の思いをそのままに、赤本で唯一「害虫学研究室」を紹介していた植物防疫学科を目指すのでありますが、大学2年の専門課程で履修した教授の「害虫学」の講義は、イギリスの昆虫学者ヴィンセント・ウィグリスワースの著書「Insect Physiology(昆虫生理学)1934年」のペーパーバックスを教授が直訳した講義であり、接続詞までそのままの90分の語りに辟易し、同級生に代返を頼んでは自主休講とすることが多かったのであります^^;

 

大学サークルでは、馬術部が結構有力な活動をしていたのでありますが、朝5時から馬の世話をするなんて御免被りたく、お金は無いが、時間だけは有り余るほど持っている田舎出身の学生は、バイトに明け暮れ、日和見主義的な学生運動へと軸足が傾いていくのでありました。
将来的には、専門漬けになるのだから…単純な理由で、社会学・人文科学に興味が湧き、一般教養履修時代は、文庫本程度の読み物ではあるけれども、比較文化論やマルクス経済学…その対比として、マックス・ウェーバーの文庫本を読む…理系の学生でありながら、文系の本を読んでいることの方が多かった、そうでもしなければ、日和見主義者ではあるけれど、民青(民主青年同盟:共産党系)、社青同(社会青年同盟:社会党系)、第三文明(公明党系)、勝共連合の学生さんたちと議論することが出来なかった。社会矛盾を感じながら変革を期待し、かといって就職に不利になるような活動はしたくなかったのであります。

 

「生協の白石さん」で有名になった農工大の生協入口は、昔のままであります。昼飯は生協のランチ…Aランチ200円、Bランチ250円、Cランチ300円…それにセブンスター140円を一箱買っても、一日500円あれば何とか生活は成り立ったのであります。地階の購買部と中二階の食堂、三階は喫茶部があり、たまにはミートソースやピザトーストを食べる。通称『学生通り』を挟んだお隣の敷地、明〇学園高等部の悪ガキが、生協購買部で大胆にもラジカセをコートに隠して〇引きした…時効ではあるが、生協活動にのめり込んでいた「正義派の元さん」は、怒りを私にぶつけたりもした。良くも悪しきも学生生活を支えてくれた団体であります。その西隣には、総合屋内運動場と書かれ、新築された武道館と体育館が…体育館の管理人のおばちゃんは、確か東北出身だったと思うのでありますがチェックが厳しく、貧乏学生が外履きスニーカーで授業を受けようとすると、フロアが傷つくと言って、裸足で運動させられました。
体育の教官が、この大学のフロアは、国立大学の体育館の中でも一番手入れの行き届いた体育館であると誉めそやしていたことがなつかしい…^^;

 

コンクリートにヒビさえあれば育つカタバミ…そんな生命力の強いカタバミを食草とするヤマトシジミを一般教養棟の脇で見つけ、当日開催されていた野生動物医学会の看板を横目で見ながら、4年間生活の本拠地となった工学部のキャンパスへと足を向けたのであります。(続く)

 

 

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