( きつねうどん 近鉄阿部野橋駅「阿倍野庵」) 2010/9/16
■2010/9/16(木) 小雨~曇~晴
今日、昼過ぎに制作会社の女の子(二名)が、原稿を届けに
来た際、「今日、創業百周年を迎えた関西の会社が、
あるんだけど知ってる?」と聞いてみた。
二人からは「サントリーさんですか? オムロン?」「 もしかして阪神?」
という答えが返ってきた。
「ちょっと違うな~」の私の返事に 「えっ、もしかして御社ですか?」
「まさか」と とても答えがでそうもなかったので、答えを教えた。
「うちはもう少し先。 答えは近鉄。 近畿日本鉄道が100年前の
今日創業したんだよ。」
その答えに阪急利用者の彼女ら二人は、 別段感動している
ふうでもなく、「そうなんですか~」だった。
まぁ、これが思い入れの差というやつだろう。
この3日間、日経新聞には「近鉄これからの百年」といった社長の
記事が載っていた。
日本一の私鉄といわれた会社もその鉄道網が仇となってここ数年は、
過疎化、人口減に悩まされて続けている。
そんな近鉄、阿部野橋駅ナカの立ち食いうどん「阿倍野庵」は、
百周年を記念して本日だけ「限定 きつねうどん」一杯百円を
実施すると一週間前から告知してあった。
妻に「明日の朝は朝食はいらないから」と言って、朝を食べず
いつもより1本早い近鉄電車に乗って会社へ向かい、午前7時45分
阿部野橋に着。
「阿倍野庵で記念の百円ぽっきりきつねにありついた。」
もしかして行列なんかだったら嫌だなというのは、早く出たおかげで
杞憂に終わった。 割と広い店内に10人ほど ほぼ全員が
これ(百円きつね)を頼んでいた。
妻に言わせると 「百円のきつねうどんを食べるために
いつもより30分も早く家を出るなんて どうかしている」と
言われたが、「別に百円だったから早起きしたわけじゃない。
それが千円でも同じ。この百年目の今朝、食べることに
意義があるんだ。」の返答にやはり「理解できないわ。」だった。
まさにこれが価値観の差というやつだろう。
帰宅時、「阿倍野庵」には、大きく赤文字の紙が貼られていた。
『完売御礼』
早起きして食べて良かったと思った。そしてこのブログにとどめ置く
ことに満足こそすれ、後悔はない。
『記念すべき時間は、逃すと二度と帰ってこない。』は、持論だ。
「また、今度ね」と言ってそれが最後になった事が、自分の人生
の中だけでもいかに沢山あることか。
そんな経験を何度かした私は、一期一会の言葉も結構大事に
しているし、大切にしたいと思っている。
きつねにつままれたわけでなく、百年目はれっきとした現実。
「百周年」と言葉で書くことはたやすいが、一年一年積み重ねて
現在があると考えると 深くて重い。
そんなことを刹那に感じ、味わっただけでも 価値ある朝だった。
近鉄、その百年の足跡に敬意を表したい。
(寅)