2015.12.22 2010年「日本における住民参加のまちづくり・住民・行政・専門家のパートナーシップ」 韓国・忠州都市再生韓日シンポジウム /2010.1記
2010年、まだ松の内に息子夫婦と京都の寺巡りをしていた。高台寺を歩いていたら、携帯が鳴った。なんと、韓国のS君からである。元気な声で、「急な話だけど韓日シンポジウムを開くので講演をお願いしたい」、いつ?と聞くと、なんと来々週と言う。なんとか、S君の期待に応えようと、24日に羽田発・ソウルへ、25日韓国・忠州で基調講演+シンポジウム、26日早朝帰国のハードスケジュールをこなした。
そのころの韓国大統領はイ・ミョンバク氏で、イ氏がソウル市長だったときにどぶ川のようになっていたチョンゲ川の再生計画を実現させた。その結果、環境が回復され、市民が集まり、経済が高揚した。この成功例が大きな力になり大統領に当選したので、イ氏は河川改修による都市再生・活性化を政策として掲げた。
韓国・忠州市は忠州川に沿って発展し、川沿いにバスターミナルがあり、市が開かれていたが、バスターミナルの移転とともに市民の足が遠のき始めた。店は次々と閉店し、市の一部が取り壊され、ついに川の上に駐車場がつくられてしまった。
忠州市では、河川改修による都市再生・活性化をもくろんだが、韓国では住民参加によるまちづくりの実績が少ない。
そこで、日本の住民参加による事業計画の経験を学び、市場再生+忠州川整備計画を住民参加で構想するシンポジウムが企画され、私に基調講演の依頼がきたのである。
シンポジウムの正式名称は「旧都心活性化・都市再生住民参加シンポジウム」で、25日午後2時に開会が宣言され、忠州大学総長、忠州市長、国土海洋部(日本の国土交通省に相当する)都市再生事業団長が挨拶された。
私の講演は2時半からで、演題は「日本における住民参加のまちづくり・住民・行政・専門家のパートナーシップ」とした。
まず、まちづくりにおける市長・行政・住民・専門家の役割を説明し、埼玉県上尾市の総合計画と都市計画マスタープラン、埼玉県宮代町の公衆トイレと新庁舎を事例に、住民参加による計画づくりの進め方を紹介したあと、住民・行政・専門家の役割とパートナーシップの効用を、埼玉県JR上尾駅整備、島根県の築地松保全などを事例に解説した。
その後、同じく日本・K大のU講師が講演し、続いて韓国の3教授が事業計画である「住民参加による忠州龍山洞・緑・水公園計画」を紹介したあと、パネリストによるシンポジウムとなった。
その後、整備事業が着手されたが、住民参加の計画づくりは時間がかかるため、成果を急ぐ今回の事業では住民参加は敬遠されたらしい。住民参加の仕組み作りも時間がかかる。今後を期待したい。