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山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

膨張スルNo.2

2011-11-21 00:52:33 | No.56「KAGUYA」
■「KAGUYA 指宿篇」ネタ。

非公開である筈のネタを部分的に公開中です。だが、これは暗号でもある。稽古のためのメモ。

指宿篇では、「病院らしき空間」へと傾いてきました。これは夢桟敷独自の共通する伝統的な手法です。狂気が溢れます。狂気を表現するのには勇気と自信が問われます。
もう一つ、天変地異と大飢饉からくる貧困はメルヘンを生み出す。悪夢だからこそメルヘンは「夢の暴力」となる。

以下、三つの部分は(1)新人=KAREN、(2)肥後丸、(3)海幸大介 へ。



妖怪たち
「あの子が口減らしされた哀れな子。
 生きていたんだね。」

座敷童子
「(悲しそうに)わたしとあそぼー!

(注)更に追加!

口減らしって何?天変地異って何?大飢饉って何?
鬼が来るの?どうして鬼が来るの?どうして・・・?。
そしたら、みんな、助かるの?どうして助かるの?どうして・・・?
どうして答えてくれないの?どうして見て見ぬふりをするの?どうして・・・?
ねえ、あそぼー!どうして遊んでくれないの?わたしが見えないの?
どうして見えないの?ねえ、どうして?どうして?どうして?
あそぼー、鬼ごっこして。あそぼー、かくれんぼしよー。
わたしをかくまって!・・・わたしはひとりぼっち。
ねえ、わたしとあそぼー!
そしたら、大金持ちになれるのに。(退場)」

妖怪たち
「え?大金持ちになれる。おいおい、待ってくれー!」

(略)

■夢から覚めた夢

母「・・・だってあそこには、あの子がいる。」BGM「Envy」cutoffのところに

うりこ姫
「あの子とはお前のことだ。お前は捨てられたのだ。この世からもあの世からも捨てられた。捨てられて忘れられて、何もなくなってしまった。何もない。何も見えなくなった。
だが、私たちには見える。それは、あの子と同じだからだ。同じだ。同じ夢の物語の中に生きていたのだ。
夢から覚めた夢とは永遠の迷路だ。あの子はお月さまから帰って来た。」
かぐや「あの子?あの子って誰?」

(略)

■医者(魔物を生み出した後に追加)「人形遊び」

「これはバケモノですから・・・」BGM「宇宙船」cutoff

取り巻く妖怪たち、仮面を剥ぎ笑う。

医者「ねえ、手術の時間ですよ。痛くなんかありません。やさしくしてあげますからね。」
妖怪「やさしくしてあげて下さい。こんなかわいい子にバケモノとは何事ですか、先生。」
医者「だって、この子は生まれてきてはならない子だった。」
妖怪「先生はこう言いたかったのですね。」
妖怪たち「不憫な子だ。」
医者「この子が生まれたら、私の食べるモノが減る。みんなが飢え死にする。だから・・・」
妖怪「だから言ったでしょう。先生はさっき食べたばかりです。」
妖怪たち「食べたことを忘れたのですか。」
医者「いいえ、私は食べていない。誰も食べさせてくれない。ここは地獄だ。」
妖怪たち「はい、地獄です。」
(人形を愛撫する医者)
医者
「お前だけなんだよ。バケモノだけなんだよ、私のことをわかってくれるのは。
 かわいいね。お前は何も喋ってくれない。おとなしい子だ。
 ねぇ、手術の時間ですよ。痛くなんかありません。やさしくしてあげますからね。」
妖怪たち「やさしくしてあげますからね。」
医者「やさしくしてくださいよ、お願だから。私は傷つきやすいのです。
   ほら、あの子が泣いています。お月さまを見て泣いています。」
妖怪「よしよし。いい子だからおとなしくして下さいよ、先生。
    あなたのベッドはここではありません。ゆっくりお休みなさいませ。」
医者「痛くしないで下さいね。私は痛いのが嫌いです。お願いだからやさしくして下さい
ね。」
妖怪「ほら、お月さまが見ていますよ。お月さまがことらを見て笑っています。」
医者「あ、お月さまが笑っている。」
妖怪たちが笑い始める。
箱に上るかぐや。
妖怪たち「お月さまが笑っている。」

母「昔々、あの夜は十五夜でした。・・・(へ、つづく。)