植物によるがん治療のお手伝い 聡哲鍼灸院日記

植物で心身を癒す施術の日々。そこから感じたこと、学んだことなど。。。

自律神経免疫療法

2005年09月21日 23時11分57秒 | 癌治療・緩和ケア
 今日、患者さんから自律神経免疫療法で治療して欲しいと依頼された。

 その方は近くのS大病院に入院されている方でこれまで病室に6回ほど往診しに行った。肺癌で食道リンパ、気管支リンパに転移していて手術は不可能な状態。胸水があり間質性肺炎を起こし微熱のため抗生剤も投与されている。経鼻的に酸素供給がなされ、胃ろうも開設して栄養供給されており既に4ヶ月ほど口から物を食べていない。導尿もしていて体中パイプに繋がれている状態だ。幸い痛みはないが痰が切れず、ゼロゼロと苦しげな呼吸をされている。

 これまで足の三里、陰陵泉、尺沢、曲池、中府などの経穴に物理的には接触するくらいの鍼、想念では3センチくらいの鍼を刺入し、異界の先生方に治療依頼しつつ自分は愛情を注ぐというような治療をしてきた。合わせて同経穴に灸をしてきた。そして治療後毎回持参したハープを奏上してきた。

 きつい積極的治療は困難と判断し体に負担の少ない柔らかな治療をしていた。ところが今日は治療後に本人から筆談で「自律神経免疫療法をしないのか」と問われたのである。

 この方の場合は奥様から治療依頼があった。巷で話題の自律神経免疫療法をしているH市のSクリニックに奥様が問い合わせたところ、そこでは診れないから私を紹介する、とのことで電話がきたのだ。そのクリニックの先生とは安保徹教授の講演会で知り合い時々患者さんをこれまで紹介して頂いていた。

 しかし現在では私は自律神経免疫療法は治療に取り入れてはいない。そのためその旨を奥様に申し上げたのだがそれでもいいので治療に来て欲しいとのことで往診を始めたのであった。だから冒頭の依頼をされた時にようやく私は奥様から本人にはそういう話は伝わっていなかったのだなと理解できた。

 自律神経免疫療法は私見では積極的、攻撃的治療法と考えており今のこの方にはきつすぎるのではないかと判断していた。その旨申し上げたが是非にとのこと。困っているところに奥様が病室に戻られたので二人で病室を出て奥様に体に負担が多い恐れがあると忌憚なく述べた。

 すると「本人はとにかく積極的になんでもやりたい、どんな辛くても治療を受けたい、頑張りたいというタイプで、何もしてないことに耐えられないのです。治療でかえって悪くなってもよいからして欲しい」と仰る。

 私の治療は私のHPの私の目指すものにも述べているように肉体の治療という手段を通して魂の気付きのきっかけになれれば幸いだと考えている。そのためこの方の場合にも初診の際にはこれまで自分で癌を治してきた方の多くに気づきがあったことや魂のこともお話させて頂いた。そっと足元に置くという感じで。

 しかしこの方はとにかく病と闘う、死と闘うというスタンスであった。なのでこれから私はその線で治療をしていく。次回からは自律神経免疫療法を使うことになるだろう。

 現実界においては現実的対応をしていかねばならないこと、顧客のニーズに合わせられることがプロの条件と考えれば当然のことではあるし、自分の価値観は押し付けるものではない。まして命を懸けた切実な願いであるのだから。

 今ようやく気付く。抗がん剤治療のみしか手持ちのカードがない医師が患者からきつくてもいいから治療をしてくれと懇願されれば副作用がきつくても採用せざるを得ない場合もあるのだろうことを。そしてその時の医師の苦衷の胸の内を。

 治療は難しい。いや、どんな仕事だってそうなのだろうけれども・・・。今回も大きな学びとなるだろう。

 
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