「1才の娘の顎の下が腫れてしまって医者に見せても原因がわからないとのことなので、不安なので診てもらいたい」と成田に住む方から午前中に電話があった。
うちは成人の患者さんがほとんどだから子供、それも赤ちゃんの治療は初めてだ。お母さんはマクロビなど食事に気を遣っていて、なるべく薬を使わないで育てたいというお考えらしい。
近隣の小児科、耳鼻科、内科を回られたのだけれどもエコーを撮ってもらっても原因がわからないと抗生物質だけ渡されたらしく、それなら自分でやれることをしたい、間違ったやり方をしたくないので一度お手当のやり方を教えてほしい、とうちに連絡されたという。
2時の患者さんの治療を終えてから成田に向かう。関東の東方面は地理に疎くて6時に京成成田駅に行くのにだいぶ手間取ってしまった。
お宅に伺って娘さんの様子を見ると左の顎の下、顎下腺のあたりが確かにぷくっと腫れて発赤している。患部は少し熱もあるようなので生姜湿布はせずそのまま里芋パスタを貼ることにする。いつものように貼る患部の広さに合わせてネルの生地を切るのだけれども、赤ちゃんの顎の下では5センチ四方にも満たない小っちゃい面積。腹水を取るお手当では30センチ四方のネル生地になることもあるから、それに比べると今回の生地はほんとにちっちゃくてなんとも可愛い。眺めていると思わず微笑んでしまう。
里芋も一つで十分で、摩り下ろしたものの6分の一くらいを使うだけで生地に広げることができる。その小っちゃい生地にテープをあらかじめ貼っておき、赤ちゃんをお母さんに抱っこしてもらって、顎を上げさせるために鈴を頭の上で鳴らして興味を引かせてから、ささっと顎の下にペタッとパスタを貼る。とたんにビエ~っと泣き始める赤ちゃん。そりゃあ冷たくて嫌だよねぇ(笑)。でも自分で手を顎に持っていって貼りついたおそらく不快だろうモノを剥がそうとはしない。しばらく経つと泣くのも収まっておとなしくしている。「気持ちいいのかもしれない」とはお母さん。やれやれ何とかなりそうである。
お手当自体は1時間もしないで終わったけれども、片道2時間半はやはり遠い。帰宅したのは夜10時半だった。