前参議院議員大久保勉 公式ウェブサイト

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米国サブプライムローン市場の危機

2007年08月10日 | Weblog
 欧州中銀は、この二日間で25兆円に上る資金を短期金融市場に供給した。これは、米国の低所得者向け住宅担保融資市場における焦付きの増加に端を発したもので、金融におけるグローバル化を端的に示すものです。
 この問題に関して、日銀、財務省、エコノミスト、外資系投資銀行幹部からヒアリングをして、現状の把握をしました。米国サブプライムローンにおける不良債権は、最大12兆円程度で、少なくはありませんが、最終的には管理可能な水準ということです。しかし今回の問題は、米国での火事が、何故独銀行の経営破綻や仏銀行の子会社の破綻に繋がっり、世界の市場で流動性危機が発生したということです。また重要なことは、米国発世界的な危機の連鎖を未然に防ぐために、米国連銀のみならず世界の主要中央銀行が連携して、流動性供給を行ったことです。
 米国サブプライムローンの問題は、日本の不動産バブルの崩壊と同じではないかという意見があります。しかし日本の場合には、不動産リスクを最終的には日本の銀行がほとんど全て背負っていたのに対して、サブプライムローンの場合には、証券化やデリバティブ等の利用でそのリスクが世界中の投資家やヘッジファンドに分散されていることが大きな違いです。
 その意味では、今回世界中の投資家に広く浅く損失が発生し、また証券化等を利用しているので損失の情報が非常に早く伝播し、その対策も早急に行わざるを得なかったといえます。
 今回の世界中の中央銀行の対応の早さと資金供給金額の大きさに、信頼感が増したとの印象です。90年代の不良債権問題で日本の金融当局の対応として批判された”too little, too late”の対極であるからです。
 最近、次期日銀総裁に関して様々な憶測が流れております。日銀総裁の資質として、金融市場に精通して、かつ国際的なネットワークがあり、冷静かつ速やかな決断ができることが必要です。役所の順送り人事には反対すべきでありますが、一方でただ単に現政権に媚びた御用学者や著名人を持ってくればいいとも思えません。
 参議院選挙の大勝で、民主党が事実上日銀総裁の同意人事権を持つようになりました。非常に大きな責任を持つことになったと自覚すべきであり、政争の具にすることは控えるべきでしょう。その意味では政権政党になる自覚と準備のための総裁同意人事と言えます。