チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

ベルギュンへの旅(2): 寒くても温かい村、ベルギュン

2005年02月12日 06時52分34秒 | 番外編
チューリヒのカオスに翻弄されつつも何とかインターシティに乗り込んだ我々は、クール (Chur) でサン・モリッツ行きの急行に乗り換えて1時間15分、目的地ベルギュン (Berguen。ueはuウムラウト)へ。到着は午後3時半過ぎ。何と予定を3時間も過ぎていました。つまりは3時間もチューリヒの近くでうろうろさせられたわけです。あぁ腹が立つ。

ちなみに、ベルギュンの場所は以下の通り。グラウビュンデン州で、ロマンシュ語圏なのですが、ほとんどドイツ語が第1言語のように通用していました。

(図面は、ホテル「ベラヴァル」のページから拝借しました。)

しかし、ベルギュンに着いてからはいいことずくめでした。

まず何よりも、泊まったホテルが良かった。スキーに行くことを決めたのが割に遅かったので、いくつかのホテルに予約メールを送ったのですが断られ、そのあとで運良く見つかったのが、今回泊まったホテル「ベラヴァル」(Bellaval)。レストランを併設していない、いわゆるホテル・ガルニで、部屋数も一桁しかない小さな宿ですが、その分、心温まるもてなしを受けました。

ホテルの主人であるクロエッタさんという女性は、駅から電話した我々を車で迎えに来てくれました。ホテルまでは、歩いてもおそらく15分とかからない距離だと思いますが、大きな荷物は持っているし、道は不案内だし、足元は悪いし、おまけに午前の混乱で疲れ切っていた我々には本当に嬉しいお迎えでした。

クロエッタさんは本当に親切で、最後の最後まで優しく声をかけ、色々と便宜をはかってくれました。気温はチューリヒに比べるとはるかに低く、日陰でじっとしていると寒くて仕方ないくらいでしたが、このホテルのおかげで心は本当に温まる3泊4日でした。

これがホテル「ベラヴァル」です。


全ての部屋にはトイレ・シャワー、大きなベランダが付いています。我々は2階の部屋に泊まりました。ベランダから見える光景は、
 こんなふうでした。

その日はさすがに疲れてしまい、夕食を村のレストランで食べた後は、早々にホテルで寝てしまいました。

次の日、いよいよスキーへ。子どもたち、とくにスキー習いたての息子は、朝早くから準備万端。速く、速く、と急かされながら、村の中にあるスポーツ用品店へ。そこでスキー道具を借りた後、歩いて3分ほどのところにある初心者向けの2ゲレンデ「テクト/ツィノルズ」(Tect/Zinols) で早速スキーを始めました。一番上の写真は「テクト」から見た村の風景です。


こちらはツィノルズを下から見上げたところ。写真で見た感じよりも急になっています。

すでに学校でスキーを習っていた息子はさっさとリフトに乗って滑り始めましたが、この日がスキー初体験の娘は、最初は立つこともできません。いったいどうなるかと思ったのですが、妻の教え方が上手だったようで(彼女自身は特に上級者なわけでもないのですが)、2時間もしないうちに、より緩斜面の多い「テクト」のほうで滑れるようになっていました。娘の運動神経の良さには驚くほかありません。

僕自身は全然スキーがダメで、いつまでたっても我流の初心者なのですが、子どもたちは基本を一応ちゃんと習ったほうがいいだろうと思い、スキー用具を借りる際に、子どもたちに個人レッスンを予約しておきました。12時から1時間、二人だけのためにコーチが来てくれ、曲がり方や止まり方などを丁寧に教えてくれました。1時間で7000円弱でしたが、娘はそれで大いに自信をつけたようで(ドイツ語でレッスンしていたようでしたが、通訳なしでもちゃんと習ってきたので、言葉に臆することはないようです。こういう場合)、午後からは滑りまくっていました。バーを股に挟む式のリフトになかなか慣れず、何度もリフトの途中でひっくり返っていましたが。(それでもそのリフトにしがみついて上まで登っていたその根性にもびっくり。)

「テクト」のリフトを上がりきったところから下を見下ろすとこんな光景が。


より緩やかな「テクト」では物足りなくなった息子が、「ツィノルズ」のほうに挑戦すべく、リフトに乗って上まで行ったのはいいのですが、いつまで経っても降りてこないので、すわ遭難かと冷や汗をかくひと幕もありましたが(コースをちょっと間違えて、新雪に突っ込み、コケていたそうです)、とにかく楽しく時間が過ぎていきました。このゲレンデは、午後になると陽が陰り、急に気温も下がるため、3時ごろには引き揚げましたが、それでちょうど良いくらいでした。だって疲れるんですから。子どもたちは不満そうでしたが。

3日目も朝からスキー。すっかり調子に乗った息子と娘はリフトで何度も上に登っては、気持ち良さそうに滑っていました。10回乗れば元が取れるリフトの1日券が十分役立ったようです。前日だけですでに十分筋肉痛を患ったこともあり、ちょっと滑っては休み、またちょっと滑っては休み、を繰り返していた僕だけが1日券をムダにしてしまいました。どうもウィンタースポーツとの相性はあまり良くないようで。

ホテルがとても温かいもてなしをしてくれたことはすでに書きましたが、ホテルだけでなく、ベルギュンの村全体が温かい雰囲気に包まれていました。滞在客も含めて、人に接する態度が柔らかい。道ですれ違う他人同士が挨拶するという、チューリヒではすでに失われてしまっている習慣もここではまだまだ活きています。身体はスキーで疲れていても、心が癒されるような気持ちになれる、本当に休暇にふさわしい場所です。

さて、2日間のスキーを楽しんだ我々は、最後の日、ベルギュンならではのお楽しみに挑戦することにしました。(続く)