チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

『聖書的宗教とその周辺』(聖書学論集46、佐藤研教授・月本昭男教授・守屋彰夫教授献呈論文集)

2014年10月26日 23時22分38秒 | Weblog
日本聖書学研究所では、研究所の運営に役員として貢献してこられた方々の定年退職を記念して献呈論文集をたびたび発行してきました。今年は、立教大学の佐藤研、同じく月本昭男両教授が2014年3月に、そして東京女子大学の守屋彰夫教授が2015年3月に退職されるということで、研究所の紀要『聖書学論集』46号が献呈論文集として発行されることになりました。定年自体は研究所と直接関わりのない事柄ですが、研究人生における節目ということで、研究所からも謝意を表わすという意味が込められています(お三方とも献呈論文集を固辞されたそうですが)。

この献呈論文集には、旧約関係16本、新約・初期キリスト教関係18本の論文が収められています。私もヤコブ書に関する論文を寄稿しました。

目次を載せておきましょう。旧約関係は以下の通りです。



そして(旧約の残り1本と)新約・初期キリスト教関係。



旧約関係はまだ読んでいないのですが、新約関係には、さすがは日本聖書学研究所の献呈論文集と思わせる、批判的な調子の強い論文もあり、読んでいて緊張感漂う論文集になっています。昨今激しく議論されている、「キリストのピスティス」という表現の意味をめぐる論考が2本も同時に載っているというのも興味深いところです。太田修司氏の「『キリストのピスティス』の意味を決めるのは文法か」は、田川建三氏の所説を「思い込みに引きずられた誤り」(481頁)として激しく批判しつつ、「目的語的解釈(=キリストを信じる信仰)か主語的解釈(キリストの信仰ないしは信実)かという二者択一はもはや意味をなさない」(493頁)として、これを関係概念とする「全体論的解釈」を提示しています。他方吉田忍氏の「ガラテヤ人への手紙におけるΠΙΣΤΙΣ ΧΡΙΣΤΟΥ」は、ガラテヤ書におけるピスティスは「『誠実』や『保証』などではなく『信(じること)』『信頼』『信用』である。(中略)即ち、人は『信 pistis」において義とされたキリストと一致することで、キリストと同様にみずからも「信 pistis」によって義とされ、約束された霊を受け取る。このことから、問題の属格は主語的属格と理解される。そして、キリストにおいて現れた「信 pistis」は、十字架において現れたのである」(673-4頁)と結論づけています。

このほかにも色々と、注を読むだけでも楽しい、批判的聖書学のあり方を見せてくれるような力作が並んでいます。全体で725頁もあって重いため、移動中に読むのが不便なのと、定価が8000円+税というのもネックではありますが、少しずつ読んでいくつもりです。旧約関係の論文も、専門外ではありますが面白そうなタイトルが並んでいます。

赤道直火のマツダスタジアム

2014年10月02日 15時30分54秒 | Weblog
広島東洋カープ、今年のスローガンは「赤道直火」。マツダスタジアムでの試合の日は、JR広島駅から球場までの道が、まさしく「直火」で燃える「赤道」と化します。また、町のあちらこちらから、自転車で、また徒歩で、カープのレプリカユニフォームを着た広島ファンがどんどん集まってくるその光景は、広島に来て8年目になりますが、今年初めて見るような気がします。やはりプロ野球は強いとお客が集まりますね~。

そのカープが地元マツダスタジアムにタイガースを迎えての今季最終対戦。といっても、この両チームはクライマックスシリーズ第1ステージで対戦することが既に決まっているので、その前哨戦でもあるわけです。加えて、その第1ステージをここ広島で戦うのか、はたまた昨年同様甲子園で戦うのかが、この日の一戦に懸かっているということで(カープが勝てば2位が決まるので、マツダスタジアムで開催。タイガースが勝てば、順位決定は5日(日)のカープvsジャイアンツの結果次第)、俄然盛り上がりました。

運良く、この日のチケット(2階内野自由席)2枚がもらえた我々夫婦は、タイガース応援に出陣。超満員が予想されたので、少し早めに球場へと足を運びました。ところが、開始まではまだ1時間半くらいあるというのに、すでに内野自由席はほぼ満員。かろうじて上から4列目に2席の空きを確保できました。

座席からの眺めは最高です。


バックネット裏、やや3塁側に寄った位置に陣取った我々、この辺りの席は、普段ならタイガースファンとカープファンが入り混じっているのですが、この日ばかりは様子が違いました。周囲は真っ赤っか。見ると、タイガースファンは、2階内野自由席の3塁寄りの一番端っこに僅かにいるのと、ビジターパフォーマンス席(内野と外野の間にある、2階席。不思議な場所です)だけ。あとは360度ぐるりと(ビジターパフォーマンス席の下にある1階3塁側内野指定席はカープファンばかり)カープ色に染まっておりました。

試合前のメンバー表交換。遠くからカメラの望遠で撮っているので(以下の写真は皆同じ)表情などは詳しくわかりませんが、どうもカープの方が雰囲気が固いような気がします。タイガースの方は、前日にベイスターズに負けたため、ダメ元の2位狙いになったので、どうも開き直っているような感じです。


カープの先発は大瀬良。新人王も狙える成績ですが、この日はやはり緊張していたのか、制球が悪く、初回から失点してしまいました。


かたやタイガースはエース能見。この日の能見は素晴らしい出来でした。シーズン通してこれくらいやってくれたら、きっとタイガースの優勝も現実になっていたのではないかと思えるほどでした。打たれたヒットも、まともなのは、エルドレッドの2塁打とロサリオの本塁打(低い弾道でセンター左へ一直線の、びっくりするような当たりでした)くらいのもの。何度もピンチは背負ったものの、きっちり最後は押えるあたりが、「らしい」ピッチングでした。6回で変わったのが惜しいくらいです。


タイガースの先頭打者をずっと勤めてきた上本、最近のスランプをこの日も引きずっていました。西岡が元気ならきっと交代させられていたでしょう。
 

この日一番良かったのは、能見のピッチングと鳥谷の守備、そして打撃でした。難しいゴロを、難しくないかのように捌く技術は美しいし、チャンスできちんとタイムリーを打つところも、さすがでした。
 

打点王をエルドレッドと争うゴメス。この日は犠牲フライで1打点稼げました。おそらくゴメスで決まりでしょう。5日(日)の巨人戦でエルドレッドが打ちまくれば別ですが。


能見の後を任された松田遼馬。この日は2死から四球を出し、その後タイムリー2塁打を打たれるという、典型的なダメパターンでしたが、来年以降、いやまずはクライマックスシリーズに期待です。
  

8回裏は最初からオ・スンファンかと思っていたら、まずは福原。今シーズンも大いに働いたベテランは、すでにお疲れモードな感じで、この日も案の定ランナーを出してピンチに。
 

オ・スンファン登板の場面は、緊張していたので写真を撮り忘れました。

カープは最後まで固かったです。試合は結局4対2でタイガースの勝ち。カープがやらかした暴投やエラーがことごとくタイガースの得点につながったので、タイガースが勝ったというよりも、カープが自滅したという感じです。しかし、得点源の菊地と丸があまり機能しなかったのも敗因の一つでしょう。

菊地はチャンスで凡退し、この日は1塁への悪送球もあり、ブレーキに。


丸は、あわや本塁打という当たりでチャンスメークしたものの、この日は大活躍とはいきませんでした。


タイガースファンにとっては完全アウェーの一戦でしたが、逆にこの雰囲気がカープを固くしたような気もする、この日の試合でした。でも、「赤道直火」なこのスタジアムを見ていると、タイガースは甲子園でクライマックスシリーズをやりたいことでしょう。個人的にはマツダスタジアムでやってほしい気もしなくはないのですが。広島経済活性化のためにも。