チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

不思議な町名

2005年02月07日 05時42分21秒 | Weblog
スイスに限らず、ドイツでもフランスでもそうですが、こちらの住所は、通りの名前と番地だけで表示されるので、探しやすいという意味では非常に便利です。ですから、アパートやマンションの名前も必要ありません。

ということはしかし、家や公共の建物が存在するすべての通りに名前が付けられているということになります。小さな町なら問題ありませんが、チューリヒくらい大きな町になると、通りの名前を決めるだけで大変だろうということは容易に想像がつくでしょう。

実際、通りの名前を見て、ヘンだなぁと思うことがしばしば。

上の写真、左は「大学通り」(Universitaetstrasse)、右は「レーミ通り」(Raemistrasse) です。誰が考えても、大学は左側の通りにあるということになるでしょう。しかし、実際は逆なのです。ETH(連邦工科大学)およびチューリヒ大学の主要な建物はすべて「レーミ通り」に存在します。「レーミ通り」側の後ろを振り返れば、ほれ、このとおり。

 ETHの本館です。

なぜこういうことになっているのかはよくわかりません。「大学通り」にも大学の研究所などがあることはあるので、まったくの嘘とも言えないのですが、やっぱり紛らわしいことは違いありません。逆にすればいいのに、と思うのは僕だけではないはず。

通りの名前自体がヘンな場合も少なくありません。

例えば、Asylstrasse。Asyl というのは元来、困窮者などの収容(保護)施設を意味しますが、今日的には、難民や亡命者に対する庇護という意味も連想できるでしょう。訳せば「隠れ家通り」「避難所通り」ってことですが、わざわざこんな名前をつける必要があるのかと思いたくなります。

そのすぐ近くには Englischvieltestrasse ってのもあります。「イギリス人地区通り」ってことでしょうか。このあたりにかつてイギリス人が集中して住んでいたのかと思えるネーミングですが、どちらかというとあだ名っぽい。類似のものに Franzosenweg(フランス人通り)、また Elsaesserweg (アルザス人通り)というのもあります。しかし、中国人通りや日本人通りはなぜかありません。Schweizergasse(スイス人通り)はちゃんとあるのに。(でも、だったらどこでも「スイス人通り」なんじゃないの?と聞きたくもなりますが。)

Blumenweg(花道?)に Engelstrasse(天使通り)なんてのは洒落てますが、Badstrasseって、風呂屋街?

Friedhofstrasse(墓地通り)なんて、一瞬ぎょっとするような名前の通りもあります。地図で見ると、確かに墓地の近くです。日本人だったら住むのを嫌がりそうな名前ですが。電話でもちょっと、自分の住所を言いにくい、ってことはないのでしょうか。

この地名、チューリヒ以外にもあるようです。ドイツに住んでいる妹は以前、この名前の通りに住んでいました。住所を聞いて、えっ?と聞き返すと、ハハハ、と笑って済ませていましたが。

こっちの人は、案外そういうことは気にしないのかもしれません。ドイツのベッツィンゲン(Boetzingen)というところには、関西学院グリークラブの来訪を記念して、「グリークラブ通り」(Glee-Club-Weg) という名前の通りが作られたそうです。住んでいる人がいたら、どう思うのでしょうか、それとも何も思わないのでしょうか……。

(明日から3日ほど更新休みます。)