チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

キリスト教平和学事典、ついに発刊

2009年09月28日 15時55分51秒 | Weblog
関西学院大学キリスト教と文化研究センターが何年もかけて取り組んできた『キリスト教平和学事典』が9月25日、ついに発刊の運びとなりました。

刊行にあたって
 これまで日本の平和研究は、紛争の政治学や地政学、南北問題や国内外の人権、環境破壊の社会経済的構造など、さまざまな問題の解明を試みながらも、それらに絡む宗教性、とりわけキリスト教という世界宗教の内実にまで踏み込んだ究明はあまり見当たりません。
 今回の『平和学事典』の編纂は、そうした不足を補い、現代世界の紛争における宗教的要素を探り、「平和の文化」の一端を担おうとするものです。グローバル化した世界において人権を尊重し、正義と公平の遵守のための法秩序を構築し、自由の基本的権利を確保することは、今や普遍的な課題です。本書が、世界の平和問題を考え、その構築のために努力される皆さんの一助になることができれば幸いです。
 監修者 栗林輝夫 樋口 進
(宣伝パンフレットより引用)

構想のはじめから編集スタッフの一員として、広島大学に移るまで仕事を一緒にさせてもらった者として、この事典が発刊にこぎつけたことは何よりの喜びです。最後まで献身的に編集の労をとられた関西学院大学キリスト教と文化研究センターの事務スタッフの皆さん、そして編集委員として様々な困難を乗り越えて、この事典を実現させた教員の皆さんに大きな敬意を表するものです。

自分もいくつか項目を書かせてもらいましたが、『平和学事典』という大きな枠の中で、しかも限られた字数で書くことの難しさを痛感しました。(ちなみに、事典の最初は「愛」という項目ですが、これは私が担当しました。一番に名前が出てくるので、ちょっと「えへへ」です。)

教文館発行、A5版・上製・450頁・函入
定価8400円(税込み)です。最寄のキリスト教書店でぜひお求め下さい(一般書店でも売ってるとは思いますが、キリスト教書店応援のため、ぜひ)。

保護者面談

2009年09月26日 23時32分26秒 | Weblog
勤務先の後援会総会なる催しがありました。学生の保護者の方々をお招きする会です。

希望される方には、会の終了後に教員と面談する時間が設けられており、1年生の演習クラスで私が担当している学生さんの親御さんが一人、希望を出しておられました。

大学で保護者面談?というのに少なからず驚いたのと、申し出があったのは、何か良くないことでもあったせいかと内心おっかなびっくりで、珍しくスーツにネクタイなどして出勤したのですが、特に深刻な問題があるから、というわけではなく、ちょっと安心しました。

しかし、短い時間ながら、保護者の方と話すと色々勉強になります。学生さんがどれだけ真剣に進路を悩んで考えた末にウチの大学を選んでくれたのか、そして入学後にどのような気持ちで学生生活を送っているかといったことを親御さんからうかがうと、教育を担うことの責任の重さを改めて感じると共に、その真剣さに応えられるだけのものを提供しなければという気持ちにさせられます(普段は思ってないというわけではないのですが)。

いまの大学では、指導を受け持っている大学院生でもなければ、演習クラスの担当といえども、なかなか学生さんと個人的に接する時間が多くは持てないので、こういう機会に親御さんを通して話を聞くことも貴重です。本当は、保護者の方と話すのも大事ですが、学生さん本人とこういう機会を多く持つべきなのでしょうが。大学は高校とは違うので、学生さんの生活を細かく把握する必要は本来ないはずだし、望んでもできないことではありますが、どういう気持ちで親御さんが大学に子供を送っているのかを知ることはやはり意味があると思いました。

なんだか、保護者のためというよりも、教員のための催しであるような気さえしました。いや、ホント勉強になりました。そして、能力も意欲もたくさんある、いい学生がウチの大学に来てくれていることに、感謝。

百万遍徘徊

2009年09月18日 22時44分49秒 | Weblog
(↑百万遍の交差点。今回何度も行き来しました)

今週は、昨年度に引き続いて、京都大学で集中講義。4日間で1学期分をこなすわけですから、相当ハードなスケジュールでした。

宿舎は、京大の施設を利用。百万遍の交差点から徒歩で5分ほどのところなので、非常に便利、かつ格安です。おかげで4日間、百万遍を行ったり来たりしました。


京大に行った証拠写真。


百万遍の側の入口です。

一日の講義が終わった後、百万遍あたりを徘徊しました。色々なお店が並んでいて、歩き回るだけでも楽しくなってきます。街と大学が共生していることがよくわかります。実にうらやましい。これぞ大学、です。


路地もん専果「おむら家」。「京都の路地野菜を使った“おばんざい”や昔ながらのすき焼きが楽しめる町家的居酒屋です」(ウェブサイトから引用)。左は銭湯「東山湯」。なんとも嬉しい光景です。こんな大学街がほしい。東広島にも。文化の差を感じます。

同じ通りにはこんな店も。

ビートルズ専門の店「リンゴ」。ビートルズパブ? 一度入ってみたい。

京大で学生をやってみたかったです。そんなこと、望める頭脳ではありませんでしたが。


APECSS 2009 in Sendai

2009年09月11日 00時02分00秒 | Weblog
「アジア環太平洋初期キリスト教学会」(Asia-Pacific Early Christian Studies Society、略称APECSS)の第5回大会が、9月10日から12日まで東北学院大学で開かれるので、参加してきました。今回のテーマが「初期キリスト教における書簡」で、その開会講演を頼まれたのです。

日本の他、韓国、オーストラリア、そして(「環太平洋」には属さないような気がしますが)南アフリカやエジプトからの参加者もありました。学会プログラムはすべて英語でなされるとのことで、開会講演も英語ですることに。8月の国際新約学会に続いて、ひと夏に2回も外国語で講演することになるとは。

前日に広島から仙台まで移動。今回、往路は飛行機です。広島駅前からバスで空港まで。広島駅から空港まで行くには、このバスを使うか(所要45分)、JR山陽本線で白市駅まで行き(40分くらいかかる)、そこから空港行きバスに乗るか(所要15分)です。時間が読めるのはJR利用ですが、便数が多いのは、広島駅からの直通バスなので、今回はこれを利用。平日の午後早い時間だったので、渋滞に巻き込まれる心配もないし。(高速道路1000円サービスのせいで、週末や連休は、この直通バスが使えないそうです。途中で通る山陽道が超渋滞するからだとか。)

仙台までは1時間半ほどのフライトでした。驚いたのは、仙台空港から仙台市内まで電車が走っていたことです。10年くらい前に学会で来たときは、そんな電車はありませんでした。


空港駅。まだ新しくて綺麗です。


これが電車。鉄ちゃんと思われたらどうしようと、ちょっと緊張しました。こんな写真撮るなんて。

電車は「仙台空港アクセス鉄道」といい、JRの経営ではないのですが、JR仙台駅まで直接乗り入れています。広島もぜひ見習ってほしい。広島空港はアクセスが不便過ぎます。サービス精神があまりにも足りない(広島の商売全般に言えることですが)。

市内で一泊した翌日、東北学院へ。東北学院大学は、地下鉄で仙台駅からたった1駅(五橋駅下車)、徒歩5分。実に便利。これも広島大学は見習ってほしい……もう遅いか。せめて西条駅から広大まで鉄道をひいてほしい。

講演は、「元の文脈を超えて:1世紀におけるパウロ書簡の受容」という題で、パウロ書簡が元来の宛先教会を超えて、より広い読者層を獲得していった過程、それがパウロの死後に受け継がれていった様子を概観するものです。内容は、Scriniumという(なぜか)ロシアのサンクトペテルスブルクで発行されている教会史の研究雑誌に掲載される予定です。

午前の講演を終えた後は、午後からいくつか研究発表を聞き、夕方の新幹線で東京へ。10日からの日本新約学会(於、国際基督教大学)に参加するためです。


仙台駅から乗った東北新幹線 MAXやまびこ。またまた鉄ちゃんもどきの撮影行為。


この新幹線、なんと2階建て車両でした(それで「Max」なのか…)。1階の座席に座ると、ホームが目の高さに来ます。そこには、短いスカートの女性も歩いている……。これでいいのか、Maxやまびこ?

Historischer Machtwechsel

2009年09月01日 16時49分38秒 | Weblog
ドイツ語を忘れないため、通勤時にはスイス・ラジオ(Schweizer Radio DRS)のニュース Heute Morgen とドイツの ZDF のニュース番組 Heute を続けて聴いているのですが、そのどちらもが、「今日の見出し」として
Historischer Machtwechsel in Japan (日本で歴史的政権交代)
と報じていました。

DRSを聴いていたら、いきなり聞き慣れた声の日本語が耳に飛び込んできたのでびっくり。鳩山さん、スイスのラジオにまで登場です。ZDFでは、街の声を拾っていましたが、通訳のドイツ語にかき消されて、何を言っているのかはよくわかりませんでした(ZDFに教えてもらわなくても、日本のテレビを見りゃいいのですが)。

DRSもZDFも、まだ政権交代への論評などは入れていませんでしたが、半世紀にも渡ってほぼ途切れることなく続いて来た Liberaldemokratische Partei(LDP=自由民主党、ですね)の支配が終り、対立政党である Demokratische Partei Japans(DPJ=「日本」民主党って言うんですね)が第1党になったことは、かなりの驚きをもって受け止められたようです(当たり前か)。

ドイツ語で聞いたら、なんか自民党の方がより「リベラル」な感じがするから、ヘン。だって、名前の違いはそこだけですもん。

社民党は Sozialdemokratische Partei(SDP=社会民主党)。みんな「民主」を名乗っているので、何が「民主」なのか、もうわかりません。ちなみに、「みんなの党」は英語では Your Party と言うそうな(違う「パーティ」を想像しちゃう)。じゃあドイツ語なら Eure Partei か?