チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

売る気のない本屋

2007年08月30日 14時28分09秒 | Weblog
本屋といっても、もちろん専門書の本屋なんですが。

病院での検診が思ったより早く終わったので、街にぶらぶらと散歩に出かけました。そこで思い立って、4月以来一度も行ったことのなかった専門書店、広島●○舎を訪ねてみることに。

住所をイエローページで調べ、近くまで行ったのですが、どうも見当たらない。そこで交番に駆け込んで住所を言うと、驚いたことに、なんと2軒隣りだったのです。けどもっと驚いたのは、お巡りさんが、2軒隣りにあるその店の名前を知らなかったこと。警官が不勉強なのか、それとも店が営業不熱心なのか。

かくしてたどり着いたその店は、思わず口が開いてしまったほどのボロいビルの2階にありました。一瞬、戦前からの建物かと思ったほど。銀座の教○館ビルも、中はレトロな感じですが、こちらはレトロを通り越して、オンボロという形容詞のほうが似合うくらいです(店主様ゴメン。でも本当なんだもの)。前任校時代におつき合いしていた西宮●○舎のほうがずっと綺麗な建物に見える、そのくらいスゴい。

おそるおそる中に入ると、店番の人が一人。こちらに関心を向けるでもなく、たんたんと伝票作成に励んでおられました。1冊本を買って、領収書を書いてもらったのですが、僕の所属大学と名前を言っても無反応。オレの名前を知らないのか、などと言うつもりは勿論ありませんが、新しい顧客獲得の可能性をそこに見ようともしなかったその商売不熱心ぶりには呆れるばかり。大学関係者なんだから、うまくやれば、今後大量に購入する可能性があるでしょうが。

今回のことに限らず、この専門書業界で売り上げが伸びない大きな原因の一つは、営業のやり方がヘタだからです。本が売れないのではなく、売る工夫がない。一部の出版社にも責任なしとは言えないけど。(ついでに言うと、今日のお店の場合は本の並べ方にも問題あり。わかりにくいよ、これじゃ。)

この店とは、当分お付き合いする可能性はなさそうです。大学に毎週訪ねてくる熱心な●善の営業の人に頼むからいいや。

研究費でエアコンだ?

2007年08月29日 21時38分56秒 | Weblog
今朝、講座事務室の人たちと話していて知ったこと。

この大学(ウチの研究科だけ?)では、研究室のエアコンが壊れたら、修理や買い替えは、個人研究費でしないといけないんだそうです。心底びっくりしました。

だったら、研究費の中から、エアコン買い替えのためのお金を毎年プールさせてくれるかというと、研究費は毎年使い切りが原則なんだそうな。いったい、どうしろというのでしょう。余って困るほど研究費をくれているなら話は別です。が、もちろんそんなことはないわけで。開いた口が塞がらない出来事に久しぶりに出会いました。

要するに、研究に要する費用よりもエアコンが優先される大学ということです。こういう場所にはあまり長くはいられない、という思いを強くした出来事でした。前任校では、なかなか買い替えてくれなかったけど(30年くらい前のタイプが堂々と動いていた)、フィルターの掃除や定期点検はしてくれたし、壊れれば大学のお金で買い替えてくれていました(ってか、それが当然!)。

今日も、エアコンが壊れないことを祈りつつ、一日中稼働してもらいました。次の科研費申請書には「エアコン代」も計上しないといけないかも。

フ・ザ・ケ・ン・ナ

450頁の博士論文

2007年08月28日 00時06分34秒 | Weblog
とある講演の準備のため取り寄せた研究書が、本文だけで450頁もありました。

ドイツで1980年代に書かれた博士論文なんですが、読む勇気が出なくて。もちろん、隅から隅まで全部丁寧に読むわけじゃないけど、でも一応全部目は通しますから、それだけで一体何時間かかるのか。個所によっては、丁寧にメモを取りながら、関連テクストをチェックしながら読みます。するとたった数頁で軽く半日潰すなんて場合もある。とくに叙述が信用できない場合は、時間がかかります。

1900年代後半の傾向だったのかもしれませんが、ドイツ語圏の学位論文や教授資格論文には、とにかく分厚いものが多い。神学のメッカ(であった)ドイツですら、神学書はあまり売れず、発行部数も少ないので、定価もびっくりするようなものになる。1冊1万円を超すものは珍しくないし、2万円なんてのもあります。

思うに、分厚い研究書は犯罪です。頼むから薄くしてほしい。ドイツ人やアメリカ人にとっては、母国語で書いてあるからまだマシでしょう。僕だって、神学書が全部日本語で書いてあれば、研究は3倍捗るはず(と一応見栄を切ってみる)。苦労して英語やドイツ語で読んだ本が、結局つまらない内容だった場合の腹立たしいこと。

留学先だったベルンの神学部では確か、博士論文は300頁を超えてはいけないという決まりがあると聞きました。審査するほうだってたまらないんでしょうね。いかに研究の積み重ねを重んじるドイツ語圏とはいえ、延々と研究史の反復が続き、細かい釈義が並んだ挙句に、新鮮とは言えない結論がちょこっとひっついているような代物は。

自分の場合はどうだったかと思って調べると、240頁くらいでした。手頃な頁数、手頃な価格だったはず。

ちりも積もれば...学会費

2007年08月26日 10時13分59秒 | Weblog
学会費って、考えてみれば結構な支出になってます。

国内で4つ、海外で2つ。中には年額1000円などという極めて「良心的」な学会もあるんだけど、一番高いのが18000円(国内です)。海外のやつは、円の換算レートにもよるから一概に言えませんが(今年はコワい)、だいたい1万円くらい。ざっと数えてみるだけで、5万円はくだらない。安くないですよ、これ。

前任校で、長老教授から、「あんた、入ってる学会少ないね」と言われたことがありました(業績一覧がWebで公開されていて、そこに学会名も挙がっている)。6つ入ってりゃ十分じゃないかと思うんですが。新しいのに1つ入るため、別の(あまり専門に関係なかった)を1つ抜けたくらいです。自分の専門からして当然入っていておかしくない全国規模の大きな学会にも1つ、入ってないのがあります。学会費8000円を払って入る意味があるかどうか、ずっと思案中。

だいたい、機関誌や紀要を発行している学会は高額。幽霊会員にならないためには、大会に参加するしかないのですが、広島なんぞに来てしまったせいで、参加のための旅費もかさむ。対策は、研究費を増やすことしかありません。(それでも、研究費から支払える身分であることを感謝すべきなのでしょう。大学院生の時は、学会費も自腹、旅費も自腹だったし。)

なんかケチ臭い話だけど、みんなどうしてるんですかね。東京の人は、旅費があまりかからないからいいな。

といいながら、今年は学会全部不参加。移ったばかりの本務校でいろいろありまして。

食堂も面倒

2007年08月24日 22時40分11秒 | Weblog
キャンパスが広過ぎて困るのは図書館だけではありません。

キャンパスのあちらこちらに食堂が点在している(らしい)のですが、研究棟の近くにある西2という食堂以外は未踏の地。割合近くに、大学会館という建物があり、そこにも食堂があるらしいのですが、わざわざ足を運ぶ気にもならず。反対方向に行くと、マクドナルドもあるらしい。でも、こんな田舎キャンパスまで来てマクドもなぁってことで(広島の人は「マック」と言うらしい。東京人のマネなんかしやがって)。

ってことで、昼食はいつも持参。研究室で、パソコン相手にちまちまと食べております。

生協には、プリペイドの「ミールカード」なるものがあるらしい。でも、4月からまだ2回しか行ったことのない食堂のためにどうしてプリペイドが必要でしょうか。食堂の下の購買部で、おやつ用のビスケットを買うくらいしか用事がない場所です。生協に加入したのも最近の話だし。

中央図書館の前にあるカフェに最近行きました。4月に出来たばかりとのことで、綺麗なのはいいんですが、研究室から10分もかかっちゃう。だったら研究室でコーヒー沸かして飲んだ方が楽。エスプレッソマシンだってあるんだし。豆、買ってないけどね。

ちなみに、学士会館という立派な建物の中には、これまた立派な、リーガロイ○●直営のレストランが入っています。ランチが1000円(以上)もする贅沢さ。学長とか研究科長とか、長老教授とかが行くんだろうな、きっと。1000円あったら、おやつのビスケット10袋買えちゃうよ、と思ってしまう下っ端教員の私には無縁の場所です。


図書館が面倒(その2)

2007年08月22日 21時26分01秒 | Weblog
リヴィウスの『ローマ建国史』にあたる必要があったのですが、原語のものは西図書館、翻訳は中央図書館に分かれているそうで、仕方なしに両方回る羽目になりました。ディオゲネス・ラエルティオスの『ギリシャ哲学者列伝』も見なければならず、こちらも中央図書館にあるとのことでしたので。

似たような文献が分置されているというのは本当に不便です。西図書館から中央図書館まで10分近くかかりました。しかも、中央図書館は配架の仕方が極め付きのわかりにくさ。Loeb Classical Library はまとめておくとか、せめてその程度の整理はしておいてほしいものです。似たような本が2階の隅っこにあるかと思えば、地下2階の書庫にも置かれている。しかも地下2階の書庫は、各学部から返却されてきた分置図書を学部・学科ごとにまとめて並べているので、分類番号がわかっていてもなかなか見つからない。本3冊探すだけで、とうとう1時間半もかかってしまいました。

徒労感でへとへとになって、酷暑のキャンパスをまた10分近くかけてよろよろと戻り、講座事務室に立ち寄ったら、事務の人が「先生! どうしたんですか!」 そんなにへろへろに見えましたか?

こんな図書館、どうやって活用したらいいのか...。

図書館が面倒

2007年08月08日 23時24分41秒 | Weblog
大学の図書館は、中央、西、東に分かれています。日本一広いキャンパスだから、まぁ仕方ないかと思ってました。

しかし、これが結構不便。西図書館は研究棟の目の前にあるのですが、中央図書館までは、歩いて5分はかかります。これに、エレベーターで8階から降りる時間が加わるので、行くにはちょっとした決意が必要。複数の文献をあたるとき、一つは西、一つは中央、だったりすると、もう大変な決意が必要。

しかも、配架システムにまだ全然慣れていないので、目当ての本に行き着くまでが大変です。前の大学なら、配架の図面など見なくたってすぐにわかったのですが。図書館に行くたびに、大学を変わったことを後悔してます。いつになったら、こっちのシステムに慣れるのやら。

前の大学は、キリスト教の専門書が充実してました。自分の分野でも、たいていのものは揃っており、不自由することはあまりなかったように思います。しかし今度は勝手が違います。「ないだろうな」と思いながら検索することがしばしば。そしてその予感はたいてい当たります。しかも、新規購入の手続きが今度は面倒くさい。

だったら、なぜそんな不便なところに移ってきたのか、ということになるわけですが、問題は、図書館にあった本を借り出したとしても、それをいつ読むのか、ということでした。手には取れるがなかなか読めないのと、なかなか手に取れないが、読む時間はある、というのとどちらが「便利」なのか...。後者を選んだ今も自問するところです。

救いは、市内の女子大に専門の書籍・専門雑誌が充実していることです。しかもこっちのほうが家から近い。意外なくらい、と言っては失礼なのですが、よく揃っています。同じ専門の先輩がおられるおかげです。多謝。

ヤバ過ぎる水

2007年08月03日 22時58分37秒 | Weblog
中水と上水を誤って接続してただって?

研究室の水飲むな、って緊急メールが回ってきて、その後しばらくしてから、研究棟はいいけど、体育館はダメ、ってメールが来た。ヘンなこという大学だな、と思ってたら...。ヤバ過ぎる。

どうせなら、お酒の管とつないでくれたらよかったのに。
(この大学では、学食のメニューにお酒があります。さすが西条、酒どころ!)

文献カードに辟易

2007年08月02日 20時59分53秒 | Weblog
以前からやりたいと思っていたが、時間がなくて出来なかったことの一つ。雑誌論文等のコピーを管理する文献カードのデジタル化です。

広島に移った機会にやってやろうと思い、この夏の宿題として始めましたが、これがなかなか進まない。FileMakerPro にデータを打ち込んで行くのですが、やってもやってもキリがない。写真にはカードボックスが2箱写ってますが、大学の研究室にもう2箱あります。

どういう論文コピーがどのファイルに入っているかは、この5×3サイズのカードを見れば一発でわかります。が、なにしろ大学4年生の時から集め始めたコピーですから、中途半端な数ではありません。アルバイトを雇おうかと真剣に考えたこともあり、実際、作業を申し出てくれた優しい人もいました。しかし、英語・ドイツ語・フランス語に加えて、ギリシア語やらヘブライ語もタイトルに登場するカードの山ですから、おいそれと他人に頼めません。

こんなことに貴重な時間を使うのはもったいないと思って、今まで手つかずだったのですが、広島に来たからといってやる気になるわけでもないなぁ、と思いつつ、テレビを見ながらぼつぼつ作業している今日この頃です。研究活動はほぼ大学でやっていた(したがってコピーは同じ部屋にあったので、カードは紙のもので十分間に合った)以前とは違い、自宅で仕事する時間が増えたので、カードデータのデジタル化は必要なのですが。当分終わる気配なし。