ホーフブルク王宮の南端には、アルベルティーナ美術館がありますが、その一部を成しているのが、冒頭の写真、アウグスティーナ教会です。
独立した建物になっていないので、入口もちょっと変わった形です。教会っぽくない、というか。
中は、
この教会は、14世紀前半に聖アウグスティノ修道会のために建てられましたが、1634年に宮廷教会となりました。1736年にはマリア・テレジアとフランツ1世の結婚式、1770年にはマリー・アントワネットと後のフランス王ルイ16世の「代理結婚式」(花婿が不在で、代理人を立てる)、そして1854年にはフランツ・ヨーゼフ1世とエリーザベト(シシィ)の結婚式が、この教会で執り行なわれています。
さて、今回の国際新約聖書学会に参加して、改めて感じたことの一つは、女性新約学者の活躍です。欧米の女性新約学者といえば、Harvard Divinity School のElisabeth Schüssler Fiorenzaが日本ではあまりにも有名ですが、今回の学会に参加していた中で目立ったのは、Yale Divinity School の Adela Yarbro Collins。彼女は最近、Hermeneia叢書からマルコ福音書注解を出版しています(彼女は来年、国際新約聖書学会の会長に就任しますが、女性では、2005年の Barbara Aland (Münster) に次いで二人目です。それだけ国際新約聖書学会が男性中心だったということでもありますが。Schüssler Fiorenza が選ばれていないのは興味深いことですが、そのフェミニスト神学ゆえでしょうか)。
同じイェール神学校にはJudith Gundryという新約学者もいます(同じセミナーにいたので知り合いになりました)。彼女は、パウロの救済論を扱った博士論文で、テュービンゲンから学位を取っています。今回メインペーパーを読んだMargaret Y. MacDonaldは、カナダにあるSt. Francis Xavier University で教えていますが、パウロ書簡および第二パウロ書簡の社会史的研究、また初期キリスト教における女性についての研究で知られています。
ドイツ語圏では、北米よりも女性教授の数は少ないような気がしますが、ハンブルクには、ヨセフス研究で学位を取ったChristine Gerberがいます。本文研究で有名なBarbara Alandは最早名前を挙げるまでもないくらいです。
「上」に行くほど女性の研究者の比率は下がるという、日本でもよく言われる事情と同じで、ドイツ語圏でも、助手クラスだと女性の数は非常に多いです。が、教授となるとかなりその割合が下がるように思われます。北米の場合はどうでしょうか。日本でも、新約聖書研究の分野で女性研究者の数が増えるよう期待したいと思います。
(完)
おまけ:ウィーンの街中を行き来していた観光馬車。悠然と歩くその姿はなかなか楽しいですが、落とし物が路上のあちこちにあるので、歩行者注意。
独立した建物になっていないので、入口もちょっと変わった形です。教会っぽくない、というか。
中は、
この教会は、14世紀前半に聖アウグスティノ修道会のために建てられましたが、1634年に宮廷教会となりました。1736年にはマリア・テレジアとフランツ1世の結婚式、1770年にはマリー・アントワネットと後のフランス王ルイ16世の「代理結婚式」(花婿が不在で、代理人を立てる)、そして1854年にはフランツ・ヨーゼフ1世とエリーザベト(シシィ)の結婚式が、この教会で執り行なわれています。
さて、今回の国際新約聖書学会に参加して、改めて感じたことの一つは、女性新約学者の活躍です。欧米の女性新約学者といえば、Harvard Divinity School のElisabeth Schüssler Fiorenzaが日本ではあまりにも有名ですが、今回の学会に参加していた中で目立ったのは、Yale Divinity School の Adela Yarbro Collins。彼女は最近、Hermeneia叢書からマルコ福音書注解を出版しています(彼女は来年、国際新約聖書学会の会長に就任しますが、女性では、2005年の Barbara Aland (Münster) に次いで二人目です。それだけ国際新約聖書学会が男性中心だったということでもありますが。Schüssler Fiorenza が選ばれていないのは興味深いことですが、そのフェミニスト神学ゆえでしょうか)。
同じイェール神学校にはJudith Gundryという新約学者もいます(同じセミナーにいたので知り合いになりました)。彼女は、パウロの救済論を扱った博士論文で、テュービンゲンから学位を取っています。今回メインペーパーを読んだMargaret Y. MacDonaldは、カナダにあるSt. Francis Xavier University で教えていますが、パウロ書簡および第二パウロ書簡の社会史的研究、また初期キリスト教における女性についての研究で知られています。
ドイツ語圏では、北米よりも女性教授の数は少ないような気がしますが、ハンブルクには、ヨセフス研究で学位を取ったChristine Gerberがいます。本文研究で有名なBarbara Alandは最早名前を挙げるまでもないくらいです。
「上」に行くほど女性の研究者の比率は下がるという、日本でもよく言われる事情と同じで、ドイツ語圏でも、助手クラスだと女性の数は非常に多いです。が、教授となるとかなりその割合が下がるように思われます。北米の場合はどうでしょうか。日本でも、新約聖書研究の分野で女性研究者の数が増えるよう期待したいと思います。
(完)
おまけ:ウィーンの街中を行き来していた観光馬車。悠然と歩くその姿はなかなか楽しいですが、落とし物が路上のあちこちにあるので、歩行者注意。