チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

日本新約学会第50回記念大会

2010年09月20日 12時04分54秒 | Weblog
9月10日(金)と11日(土)に、西南学院大学で日本新約学会第50回記念大会が行われました。日本新約学会は、新約聖書の研究者が集う、規模にして会員100名ほどの学会です。

第50回を祝う特別プログラムとして今回は、以前にもこのブログで紹介した、ドイツ・ハイデルベルク大学名誉教授のゲルト・タイセン氏が初日の午前に講演をされました。タイトルは「教派を超える教会政治家パウロ:その成功と失敗」。通訳は、大貫隆氏(自由学園最高学部長)が務められました。口頭での通訳がついたのですが、会場では、ドイツ語・日本語の対訳原稿も配布され、タイセン氏の方を見ないで、手元の原稿に目を落としてばかりの聴衆も多く、少し変わった雰囲気の講演会でもありました。学会員以外にも多くの聴衆が来ており、会場は賑わっていました。

パウロが2回にわたってエルサレム教会のために献金を運んだのは、それによってエルサレム教会を自分の側につけ、ユダヤ人キリスト教徒と異邦人キリスト教徒との一体性を確かなものにするという「政治的」手段であり、そして1度目は成功したが、2度目は失敗したという説明は、なるほど頷ける点の多いものです。

午後からは、学会をリードして来られた、荒井献先生、八木誠一先生による講演が行われました。それぞれに、ご自分のこれまでの研究を踏まえて現在の教会や聖書学に提言をするという内容で、これらも非常に興味深いものでした。

3本の講演はすべて、学会誌『新約学研究』の次号に収録される予定です。

タイセン教授はこの後、週末に広島観光をされた後、次の講演地である大阪へ。そこでは私が通訳の任を負っていたのですが、そのことはまた改めて書きたいと思います。