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航路

コニー・ウィリス 大森望訳 ソニーマガジンズ

 主人公はデンバーの大病院に勤める認知心理学者。ジョアンナ・ランダー。カーデガンに眼鏡がトレードマークの若い女性科学者。彼女は臨死体験の研究者。彼女の天敵はとんでも系ライターのモーリス・マンドレイス。彼に先に被験者に取材されてしまうと被験者が先入観を持ってしまうため科学的なデータが取れない。ジョアンナとマンドレイスは巨大病院を舞台にどたばたと鬼ごっこを繰り広げる。また、ジョアンナの協力者、被験者が行き違い、すれ違いを連発。大病院は上を下への大騒ぎ。読者は振り回される。
 被験者を使った実験が気に入らないジョアンナは自らを被験者として、擬似臨死体験ができる薬品を服用する。そこでジョアンナが見たものとは。
 大作だがスラスラ読めた。非常に読みやすい。ページがどんどんめくられて行く。ウィリスのテクニックがさえわたった作品である。うまい。術中にはまてしまう。
 2部のラストでびっくりする。こんなのアリかと思う。少々掟破りっぽい感じがするが、テーマがテーマだけに許せるのではないだろうか。
 ともかくこれだけ長い作品を一気に読ませるウィリスに敬服する。傑作エンタティメントSF。
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