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とつぜん対談 第79回 中華鍋との対談

私の趣味は料理です。週末に料理するのが楽しみです。和洋中、たいていのジャンルの料理をしますが、特に好きなのは中華料理です。中華は料理するのも食べるのも好きです。今日の対談の相手はそんな私の長年の相棒です。中華鍋です。

雫石
 あんたとのつきあいも長いな。

中華鍋
 そうやな。何年になるかな。

雫石
 ワシが料理を始めたころからやから、20年になるな。

中華鍋
 もうそんなになるか。

雫石
 今でこそ、なんとか食べられる料理ができるようになったが、初心者のころのワシはどうやった。

中華鍋
 ひどいもんやったあるね。

雫石
 あ、まだなまりが。

中華鍋
 そうなんや。オレ華僑の子やろ、家では中国語やろ。ときどきなまりがでるねん。
 
雫石 
 ワシも神戸人やから、友だちで華僑の子も何人かおったけど「あるね」なんてゆうてる友だちおらへんかったで。あんただけや。

中華鍋
 そやねん。なんか知らんけど「あるね」ゆうようになってしもうたわ。

雫石
 それはそれとして、ワシの料理初心者のころやけど。

中華鍋
 油ならしもせんと、冷たい状態のオレにいきなりごはん入れて炒飯をつくりよったあるね。

雫石
 そんなこともあったな。

中華鍋
 それで火をつけて加熱するから、ごはんが焦げ付いてしもうて、そこをお玉でむりやりこそげて炒飯つくるねん。ごはんは焦げ焦げ、焦げてへんとこはべちゃべちゃ。

雫石
 とても食えたもんやなかったな。

中華鍋
 人ごとみたいやけど、あんたが作った料理やったんやで。

雫石
 そやな。

中華鍋
 オレを使うには、タネ、仕掛け、ちょっことあるね。

雫石
 知っとるよ。まず、あんたをカンカンに熱して、油を入れて鍋肌を油でコーティングすんねん。

中華鍋
 そや。

雫石
 中華料理の厨房なんかみたら、ゴーという青い炎があがっとるとこで、盛大に中華鍋振るって調理してるやろ。あれ、やってみたい思うっとたんや。

中華鍋
 家庭用ガスレンジやったらムリやろ。

雫石
 そや。それに最近のガスレンジはセンサーがついとって、かってに火が止まったり小さくなったりしよる。

中華鍋
 そういや、最近の家庭用のガスレンジはみんな火口の真ん中に出べそがついとるな。あれがセンサーやね。

雫石 
 そや。ええ調子で炒めもんしとると、かってに火消えよる。あれ、ほんま、しゃくにさわるな。

中華鍋
 業務用のレンジにすりゃええんや。

雫石
 あかん。ウチみたいなマンションではむりや。それに高カロリーのガスを通そう思ったら、ガスの配管から工事せなあかん。

中華鍋
 一戸建ての家を建てるこっちゃね。

雫石
 うん。ネの1365番が当たったらそうするわ。

中華鍋
 ところで最近、炒飯の作り方変えたな。

雫石
 鍋返しして、ご飯を空中に飛ばして炒飯炒めとると、いかにも炒飯作ってるみたいやから、せっせと鍋返しして炒飯つくっとった。

中華鍋
 あれは業務用の強い火力でやってこそうまい炒飯ができるねんで。

雫石 
 そや。鍋は火から離したらあかん。鍋返しするたんびに鍋の温度が下がっとる。だから、卵とご飯をいれたら、へらでかき回したら、そのままじっとしておく。こうすることでご飯が香ばしく焼ける。

中華鍋
 そやねん。炒飯はあくまで焼きめしやんねん。ご飯を焼くねん。家庭用の弱い、しかもかってに火が止まるレンジで鍋返ししとると、ご飯がいっこも焼けへん。

雫石
 ワシもそれに気がついて、鍋を一度も火から離さないで、途中、ヘラでご飯をほぐしつつ、適当に上下をいれかえる。これでやったら香ばしくてうまい炒飯がでけた。

中華鍋
 あんたも中華料理ちょっとは上達したあるな。

雫石
 あんたとのつきあい方もだいぶん判ったし、これからもずっとあんたで中華するで。

中華鍋
 そや。オレは大事に使ったら一生もんやで。

雫石
 そんで、一戸建ての家立てたら、特注のキッチンつくるつもりや。そんときはゴーいうレンジであんたを使うで。

中華鍋
 ま、がんばってジャンボ宝クジあててな。
 
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