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本多忠勝VSディック・ザ・ブルーザー

 ご他聞にもれず、小生も日曜夜8時を楽しみにしていた。真田丸だ。小生はNHKの大河ドラマは興味はないが、真田丸だけは面白いから観ていた。いろんな面白い登場人物がでてきたが、徳川の重臣、二人の本多が面白かった。近藤正臣演じるところの本多正信。酢でもこんにゃくでもいかん古狸で、居眠りしながらでも家康に的確なアドバイスをして天下取りの手助けをする。
 そうしてもう一人の本多。本多忠勝。アツイ藤岡弘、がアツク演じていた。この本多忠勝、徳川家随一の猛将であまたの合戦で活躍してきた。この本多忠勝、生涯で57度の合戦に参加したが、ただの一度もキズを負ったことがない。
 本多忠勝がキズなし男なのに対して、キズを売り物にしている男がいる。「生キズ男」ディック・ザ・ブルーザー。アメリカプロレスを代表するヒール。大学のフットボールの名選手であったが、あまりの素行の悪さから退校。酒場の用心棒していたが、腕力を買われてプロレスにスカウトされる。殴る蹴る乱暴狼藉の暴走ケンカファイト。アニメのタイガーマスクで、タイガーに死を覚悟させたゆいいつの実在のプロレスラー。ジャイアント馬場がデビューしたとき、当初、脳天唐竹割りは、危険だと師匠の力道山に禁止されていた。馬場が初めてブルーザーと試合するとき、「ま、あいつならだいじょうぶだろう」と脳天唐竹割りを解禁された。
 
さて、ここに究極の異種格闘技戦が、いま、はじまる。キズなし男本多忠勝VS生キズ男ディック・ザ・ブルーザー。キズなし男か生キズ男かどっちが強いか。
さあ、両選手の入場です。最初にブルーザーがあらわれました。葉巻をくわえビールをラッパ飲みしています。なにやらしゃがれ声でわめいています。
 本多忠勝の入場です。おおっと、黒かわおどしの大鎧、白檀みがきの篭手脛宛、鹿の角立てたる五枚しころの兜、手には名槍トンボ斬りを持っております。
双方セコンドを伴ってリングサイドにつきました。ブルーザーのセコンドは長年のタッグパートナー「ぶっ壊し屋」クラッシャー・リソワスキー。本多忠勝のセコンドは徳川家臣団の服部半蔵。おたがい「ぶっ壊し屋」と忍者の頭目がセコンドについております。続いてレフリーの入場です。レフリーは二人です。双方が連れてきたレフリーです。まず、レッドシューズ・ドゥーガン。アメリカのマットで活躍した名レフリーです。さて、もうひとり。真田昌幸です。徳川に何度も煮え湯を飲ませた名将。娘稲の義理の父親です。本多忠勝は真田昌幸をレフリーに指名しました。
 カーン、ヴォー。ゴングとほら貝が鳴りました。試合開始です。おおおっと。ブルーザーいきなりパンチ。本多、はっしとブルーザーのパンチを受けます。ブルーザーの手首をひねって投げ飛ばしました。さすが勇猛をもってなる本多。柔の達人でもあります。ブルーザーあおむけに倒れました。本多、ブルーザーの喉首に手をあてがいました。ブルーザーの首を取るつもりです。いきなり試合は一方的になってきました。あっとブルーザー、本多の手を振り払いました。そのまま立ち上がり、本多をかかえあげた。ボディスラム。そのままロープに駆け上がりました。トップロープから飛んだ。アトミック・ボムズ・アウェイ。ブルーザー、本多の腹を踏みつけた。本多忠勝あやうし。
 あ、だいじょうぶです。本多、立ち上がりました。さすが57度の戦で無キズの男。鍛え方が違います。ひるんだブルーザーに本多が柔の当身を食らわします。ブルーザー、ロープを背にしました。出た、オキテ破りの本多忠勝の三河ラリアート。こんどはブルーザーが危機におちいりました。おおっと、セコンドのリソワスキーが乱入です。本多にパンチの雨を降らせます。ぶっ壊し屋リソワスキーの殺人パンチが本多忠勝の顔面に炸裂します。さすがの本多もキズを負ったか。ボッ。いきなりリングに火炎が舞い上がりました。本多側のセコンド服部半蔵が火遁の術を使ったもようです。火はすぐ消えましたが、あたりは白煙もうもう。ああ、リングには4人の武将が立っております。本多忠勝、酒井忠次、榊原康政、井伊直政。徳川四天王そろいぶみです。
あ、もう一方のリングには、ディック・ザ、ブルーザー、クラッシャー・リソワスキー、ブルート・バーナード、スカル・マーフィ、ブルーザー・ブロディ、スタン・ハンセン。名だたるレスラーがいっせいに出てきました。
リング上は大混戦です。  
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
ぎゃはははっ!! (アブダビ)
2016-12-28 03:15:40
私、結構にプロレス好きだったりします。あれを格闘技とかスポーツとは思いませんが、スタントマンが命懸けなように危険な商売と思うてます。
で、徳川最強の武将と狂犬レスラー…こういうおバカな(失礼)なネタを平然と書いちゃうのが、とつぜん対談な管理人さん。
で、感想ですけど。
椎名誠の「シークが来る」より面白い。
きちんとプロレスの遡上に乗せてるから!
これを「異種格闘」とか「総合格闘技」にしないところが楽しい。
プロレスの胡散臭さと楽しさが爆発してる。
逆に戦国プロレスラーでもダメと思うのです。
時時、管理人さんは海神みたいな話が得意なのかと思うのですけど、こういうバカ話を、妙なリアルさを込めて書いても上手い。
私は職人とホワイトカラーの両方を仕事とすることと、コピーライトが、両極端な話を書かせると思うのですが…
管理人さんが長編SFを書いたならば、実はハインラインでもクラークでもなく、いやだろうけどヴォークトに似るような気がする。
失礼ながら管理人さんには谷甲州みたく、最後の最後まで論理的にストーリーを語る大陸民族的な執念はないとお見受けいたします。
そういう作家が長編を書くとぶっ飛ぶ!
ヴォークトのぶっ飛び度は才能もあるけれども、パルプ出身の短編作家が、複数の短編を一本化して長編にしたからこその「誤算」が生じた「効果」があると思うのです。
その点では「虎よ虎よ」のベスターとは似て非なる作家と思います。

脱線しますが、非Aを35年ぶりに読んだのですがタメ息をつきました。
何が何だか解らない!
主役が記憶を失い書き換えられた男という話はデイックも書くけど、デイックはそれなりに説明してくれるし、とつぜん視点を変えたり、脱線したりしない気がする。
10代で非Aを読んだ時には、行間を読むというか、解らない部分は自分で埋めようと勤めました。今の私には全くダメ!
作品は読む年齢にも左右される…と実感!
分けが解らんという意味では、この間、コリン・ウイルソンの「アウトサイダー」を再読したら、
途中からついていけなくなったのに似てる。
イシャーの武器店が創元で再版されたのでヨム津守ですが、俺は「ビーグル号」でヴォークトは良いや…てのが本音です。
非A、管理人さんは楽しみました?
 
 
 
アブダビさん (雫石鉄也)
2016-12-28 10:09:32
私も昭和のプロレスは好きでした。特に、記事にでてきたような外国人のヒールは大好きでした。
ヴォークト、私は好きです。「ビーグル号」は私の生涯のベスト5に入れてもいいなと思ってます。
「イシャーの武器店」「スラン」は読みましたが、「非A」は読んでません。、
 
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