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とつぜんSFノート 第66回

 第5回星群祭は成功といえよう。こうなると、第6回の開催は極めて自然な成り行きといえる。
 と、いうわけで1979年7月29日に第6回星群祭が開催された。会場は第4回、第5回と同じ、京都教育文化センター。テーマは「読み手にとってのSF」ゲストは荒巻義雄氏、川又千秋氏、柴野拓美氏、安田均氏、矢野徹氏、眉村卓氏の6氏。
 星群の会は同人誌のサークルである。創作集団と称している。だから、会員はモノ書き好きだ。モノを書くということは、読むということとは不可分の関係ではないか。「書き手」ということは同時に「読み手」でもあるわけだ。無から有は産めない。読まなければ書けない。創作集団としては「読む」ことも考える必要がある。と、いうことが例会で話し合われ第6回星群祭のテーマが「読み手にとってのSF」となったわけだ。
 星群祭当日の7月29日は日曜日だった。星群祭前日、それは小生にとって1年で一番楽しみにしている日だ。星群祭は日曜日に行われるが、前日の土曜日から合宿がある。
 その日は朝からウキウキしていた。昼すぎには神戸の自宅を出て、京都に向かう。午後3時ごろには合宿所に着く。もう何人かが来ている。島根や静岡といった遠方の人たちの方が早く来ることが多い。そうこうしているうちに東京勢がやって来る。この当時、星群は4ヶ所で例会をやっていた。京都例会、東京例会、名古屋例会、札幌例会である。一番人数が多いのは発祥の地の京都だが、その次に多いのが東京例会だ。その星群東京支部の連中はまとまってやって来る。この連中が来ると、合宿もとたんににぎやかになる。そのうち関西勢もメンバーがそろいはじめる。
 全員集まったところで夕食となる。夕食後は酒盛りとなる。1年ぶりで会う人が多い。何年ぶりという人もいる。ビールやウィスキーを飲みながらワイワイガヤと盛り上がるのである。酒盛りだけではない。麻雀も何卓か始める。また、柴野さん、矢野さん、荒巻さんといったゲストの先生たちは前日から京都に来られていることが多い。スタッフの何人かはこのゲストにあいさつ行く。
 さて、楽しい合宿の夜も明けた。いささか二日酔いながら朝食を食べる。寝不足と二日酔いぎみながら合宿所から京大病院の前の京都教育文化センターへ移動する。
 というわけで、1979年7月29日、6回目の星群祭が開催された。
 ゲスト講演のトップは柴野拓美氏。講演の内容は柴野拓美氏というより、翻訳家小隅黎氏といった方がいいかも知れない。翻訳家は作家の創作行為の一番楽しい面を追体験できる。
 2番手は矢野徹氏。SFはモノの考え方であり、新しいルネッサンスである。3番目は荒巻義雄氏。文学を料理に例えると、アイデアが食材。調理方法によっていろんなジャンルの作品になる。その調理法として荒巻氏はSFを選ばれた。4番目は川又千秋氏。読み手にとっては、面白いといわれれる本の、最も面白い点を見つけることが大切である。午前の部、最後の講演者は安田均氏。小説の3種類のプロットについて話された。
 午前の部閉会前に、一般参加者として客席にいる新井素子氏にインタビュー。理想の男性は犬神明とのこと。
 午後の部最初の企画は、星群祭名物「ノベルズ批評」あらかじめ星群オリジナルアンソロジーを刊行して、ゲスト、参加者諸氏に読んでおいてもらって、星群祭当日おのおのの作品に批評を加えようというもの。実はこの第6回星群祭で2回目。だから「名物」とはいえないかも知れないが、この企画、執筆者、ゲスト、参加者に好評で毎回やるようになった。この「星群ノベルズ」からは、ファンジン大賞創作部門受賞、商業誌への転載、執筆者のプロ作家デビューと、それなりの実績を積むのである。
 ゲスト講演の最後は眉村卓氏。日本の第一世代SF作家は、SFを書くことへのひたむきさ、内部衝動があった。コケの一念でSFを書いていた。
 プラグラムの最後はゲスト全員によるパネルディスカッション。テーマはもちろん「読み手にとってのSF」
 これで第6回星群祭は終わる。でも、お楽しみはこれで終わらない。打ち上げパーティーである。立食パーティー。酒を片手に、ゲストの作家諸氏と、より身近に親密にお話ができるのである。そのおり、矢野徹さんがこんなことをいっておられた。
「みなさん、ぼくの歳までどうぞSFをお忘れなく」この時矢野さんは56歳。矢野さん、小生はこの言葉を守ってますよ。
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コウシエンのツバメ食い

「こんちゃ」
「お、こっち入り」
「さむおまんな」
「ええ、もう5月やさかいあったかいで」
「体はあったかいけど、財布がさむおまんねや。借金がおまんねや」
「それはいけませんな。葛根湯のみなさい」
「え、」
「あ、いやいや、これは違う噺や。ほんできょうはなんの用や」
「借金減らすのはどうしたらええんやろ」
「そやな、昔からツバメ食いゆうてな、ツバメを食うんが借金減らしにはええとされとるんや」
「そのツバメどこいったらおりまんねん」
「いつもは、草深い武蔵野はエドちゅう田舎におるんやけど、いまはええ具合にコウシエンに来とるで」
「おはようさん」
「で、どうやってコウシエンにいくつもりや」
「こっから阪急電車にのりまんねん。十三の駅から、三国の駅、服部の天神さんを横手に見て岡町から池田や」
「ちょっとまて、池田からどうやってコウシエンに行くんや」
「ええ、池田からコウシエンにいけまへんか。池田の人は生涯コウシエンにいけまへんか」
「団子理屈をゆうんやない。阪急電車やのうて阪神電車に乗りなはれ。梅田から直通特急乗って尼崎、その次がコウシエンや」
「へ、コウシエン行ってきました」
「で、どうやった」
「ツバメ3羽食いましたわ。おかげて借金が1まで減りましたわ」
「そうか」
「バレもミレもおらへんツバメは食いやすいでんな」
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