旅と祭りのフォトログ

さて、どちらへ行こう 風が吹く

村国座子供歌舞伎2018 絵本太功記 十段目 尼ケ崎閑居の場

2018-10-30 22:29:45 | 村国座子供歌舞伎

 テレビ、ラジオ、映画も無かった時代、

 

 庶民の楽しみは芝居見物です。

 

 美濃地方の歌舞伎の発生と伝承はかなり古く、記録によれば元和7年まで遡る。

 

 美濃地方の山里に芝居小屋が建つようになると、

 

 村人は酒や弁当持参で華やかな歌舞伎舞台を楽しんだ。

 

 全国で舞台が最も多い地域は岐阜県美濃地方。

 

 江戸期から明治中期にかけての古文書によれば、その数は実に270棟以上。

 

 村の芝居小屋は村民自ら上演する他に旅芸人一座の芝居興行も盛んであった。

 

 村芝居の面白さは演じる側も観る側も素人。

 

 古き良き時代には歌舞伎の通を自認する観客も多く、

 

 桟敷の最前列に座り酔いが回ると役者よりも早く台詞を行ってしまい、

 

 役者が「おまえ、黙っとれ」と返す場面もあり、

 

 爆笑と共に舞台と桟敷が盛り上がったそうだ。

 

 村国座子供歌舞伎本楽祭のトリは「絵本太功記」

 

 初演は寛政11年に遡る時代物の傑作。

 

 武智光秀が主君小田春永を殺害してから真柴久吉に討取られるまでの13日間を描いた物語。

 

 子供たちが演じる舞台なれば、想定外のとちりを心ならずも期待してしまうのだが、

 

 各務のチビッ子役者は完璧な芝居を披露してくれた。

 

 おひねりが飛び交い、熱気に満ちた祭りの舞台。

 

 義太夫節の語りが秋の夜を締める。

2018年10月 岐阜県各務原市

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村国座子供歌舞伎2018 青砥稿花紅彩画 稲瀬川の場

2018-10-27 21:21:30 | 村国座子供歌舞伎

 通称「白波五人男」 地歌舞伎で最も人気の高い芸題。

 

 春雨降る稲瀬川堤に巷で評判の五人男が颯爽と登場する。

 

 「志ら浪」と書かれた傘を手にした五人の盗賊が勢揃い。

 

 心地良い台詞が連発される本花道、並ぶ姿はまるで錦絵さながらの様式美。

 

 人には情けの盗賊の首領、日本駄右衛門はさながら市川左團次の風格。

 

捕手頭を傘で突っつく日本駄右衛門之図(笑) 「川へたたき込んでやるぜ、オラオラオラ」

 

♪着慣れた花の振袖で~ 髷も島田に由比ケ浜~

 

 ♪二の腕かけた彫り物の~ 桜にからむ緋縮緬~

 

 ♪鎌倉無宿島育ち~ オットどっこい 女にしたい菊之助♪

 

 月の武蔵の江戸育ち 幼児の頃から手癖が悪く

 

西に東に神出鬼没は忠信利平。

 

 以前は武家の中小姓 

 

 今日ぞ命の明け方に 消ゆる間近き星月夜 其の名も赤星十三郎

 

 さてどんじりに控えしは 潮風荒き小ゆるぎの 磯馴の松の曲がりなり

 

 念仏嫌ぇな南郷力丸

 

 おひねりお菓子が雨あられ、芝居はまだまだ続きます。

2018年10月 岐阜県各務原市

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村国座子供歌舞伎2018 南部坂雪の別れ

2018-10-24 22:38:41 | 村国座子供歌舞伎

「南部坂雪の別れ」・・・ なんと詩情豊かな言葉の響きであろうか。

 

忠臣蔵の物語はこの一幕があるからこそ締まる。 

 

美しき腰元のお梅、正体は吉良の間者。

 

赤坂今井町の三次浅野家では内匠頭未亡人の瑶泉院と戸田の局が質素に暮らしております。

 

そこへ大石内蔵助が討ち入りを前に訪れますが、吉良の間者に気付き思いがけない言葉を・・・

 

武士を棄て山科でのんびり暮らすことにいたしました。

 

たまりかねた瑶泉院は内匠頭の位牌で内蔵助を打ちます。

 

じっと耐える内蔵助は東下りの日記と称し袱紗で包んだ品を戸田の局に託し、

 

名残を惜しみつつ去ってゆきます。

 

二幕目は場所が変わって雪が降りしきる南部坂門外。 現れ出でたる吉良家付人 清水一角。

 

武士の鞘当この場にて勝負いたせ。

 

因縁をつけられ土下座して三拝する内蔵助に、吉良の本所松坂町在宅は今宵限りと告げ去ってゆきます。

 

かたじけなーい 一角殿、今宵推参いたすでござーる!!

 

怨み重なーる!! 吉良上野!!

 

 形見の短刀を握りこれまでの艱難辛苦を叫ぶ場面は見せ所。

 

 ここで場面は変わり、

 

 腰元のお梅が盗もうとした袱紗の中からは四十七士の連判状が、

 

 内蔵助・・・許してたもれ・・・ ここが泣かせどころ。  

 

 そこへ寺坂吉右衛門が注進に駆けつけ、仇討の様子をつぶさに語るのでした。

 

 もはや、この世では逢われぬのお~ 御代様・・・おさらばでございます。

 

 大石殿、大向こうが唸りましたよ。

2018年10月 岐阜県各務原市

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村国座子供歌舞伎2018 序章

2018-10-22 22:48:39 | 村国座子供歌舞伎

普段はひっそりと雨戸を閉ざした芝居小屋が輝く時。

 

国指定重要有形民俗文化財の「村国座」です。

 

村国神社祭礼奉納余興として伝統の子供歌舞伎が披露されました。

 

内蔵助の品格に感動し、

 

弁天小僧の粋な台詞に酔い、

 

十次郎の悲劇に涙する。

 

深まりゆく秋の楽しい芝居見物です。

2018年10月 岐阜県各務原市

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有松天満社秋季大祭2018 其の三

2018-10-20 21:53:29 | その他

 夜祭りの準備が始まりました。

 

 準備される提灯の数は二百を超える。

 

 全てが蝋燭による伝統の灯りです。

 

 唐子も夜の宴にむけてお化粧直し。

 

 夜祭りを待つ穏やかな時のながれ。

 

縁台に座れば 秋風が心地よい。

 

 名古屋型山車が提灯を纏う姿には独特の美しさがある。

 

マジックアワーの空に浮かび上がる提灯。

 

 待ちかねた夜祭りの始まりです。

 

 夜の囃子込みとよばれる美しくも厳かな行事。

 

 笛、太鼓、鼓鐘で夜囃しを奏でながら山車を周回した後、

 

 三輌の山車は旧東海道を西に進む。

 

 日中の喧騒から郷愁へ、

 

 静と動のはざかいに佇み、

 

ゆらゆらと浮かび上がる提灯を眺め、祭りの終焉を惜しむ。

2018年10月 名古屋市緑区

 

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