四番山「高砂山」の外題は「義経千本桜 河連法眼館の場」
振付は高名な市川団四郎師匠
「義経千本桜」は歌舞伎三大名作の一つに数えられるクラシック演目
「初音の鼓」を抱え静御前の登場です
鼓を打つ音に誘われるように
現れる狐忠信
鼓の音に聞き惚れる様子を怪しく思った静御前が問いただすと・・
親恋しさから人間に化けて静御前に付き添ってきたと白状します
狐忠信は雨乞いのために殺され「初音の鼓」の皮にされてしまった狐夫婦の子でした
ここからは狐忠信のダイナミックな所作が続きます
待ってました!! 海老反りの所作
「初音の鼓」は朝廷の宝物となり子狐は近づくこともできませんでしたが
宮中から義経の手を経て静御前の手元に預けられており
忠信に姿を変え親のそばに居られることを喜んでいたのです
子狐の親孝行心に感動した義経は狐忠信に「初音の鼓」を与えるのでした
義経は生後間もなく父親と死別し、親同然の兄との不仲を嘆きます
その時現れた駿河次郎は一の谷から屋島そして壇ノ浦にいたる平家との激戦の様を語るのでした
「禁裏より給はり大切の物なれども、これを汝に得さする」
「その鼓を下されんとや、ありがたや忝なや焦れ慕ふた親鼓、御辞退申さず頂戴せん」
「身の上に取り紛れ申す事怠ったり、一山の悪僧ばら、今宵この館を夜討ちにせんと企てたり、押し寄せさするまでもなし」
「わが天変の通力にて、衆徒を残らず謀って、この館へ引き入れ」
「また一時にかゝっし時、蜘蛛手かぐ縄十文字、あるひは右袈裟左袈裟」
「上を払へば沈んで受け、裾を払はばひらりと飛び」
「軽捷秘術は得たりや得たり、御手に入れて亡ぼすべし 必ずぬからせ給ふな」
狐忠信の両親へのひたむきな愛情を見せることで、骨肉の争いに明け暮れる人間の醜さを浮き彫りにした名作
ラストは駿河次郎の大あくびで幕となります(笑)
2025年4月 滋賀県長浜市