<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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全部で約20人いる私の従兄弟の長兄は愛媛大学を1960年代後半に卒業した。
兄弟のいない私にとっては親ほども年が離れた兄貴みたいな存在だ。
この従兄弟は子供の頃からよく私の相手をして遊んでくれたのだが、私が高校生の頃に自分の大学生活のことを話してくれたことがあった。

「そら大変じゃったで。カネがない、食い物がない。松山は田舎じゃから今みたいにアルバイトすることも簡単じゃない。でも腹は空くじゃろ......だから下宿のみんなと近くの畑にとりにいったの」
「....なにを?」
「かぼちゃだとか、茄子だとか」
「え、見つからんかったん?」
「そらもうこっちは必死じゃったから。当時の学生はみんなカネがない。だから農家の方でもひどくない限りは大目にみてくれとったんよ。」

ほんまかいな、と私は思った。

でも井上ひさしの「モッキンポット神父の後始末」の中で上智大の学生だった筆者をモデルにした学生が学生寮の裏手のパン屋からパンの耳を盗むというシーンがあった。
井上ひさしは従兄弟よりも年上だが、東京でも同様の状況であったことを物語る一コマだなと私は思い出したのであった。

翻って新型コロナウィルス禍の今。
アルバイトが止まってしまい学費が稼げない学生が出ていて、ある学生グループが署名を集めて文科省に支援のお願いをしたというニュースが昨日流れた。
確かにバイトがいきなりなくなると生活に逼迫し、困ること街がない。
従兄弟や井上ひさしが昔やったような畑泥棒、パン泥棒はもちろんご法度だ。

でも、無くなってしまうバイトが有る一方、人手不足でどうしようもない業界もあるわけだ。
学生諸君に言いたいのはどんどん当たってみてはどうなのか、ということだ。
失業の恐怖にさらされている大人と異なり、何をやっても自由という免罪符が学生にはある。
しかも業界を回ってアルバイト仕事を探すことは近い将来必要になる就活の技術にも役立つ。
もしかすると必死な姿を企業に認められ、そのまま思わぬ幸運をつかめないとも限らない。
若いということはそういうアドバンテージを持っているということだ。

実は今、忙しい業界は少なくない。
マスメディアがちゃんと報道しないだけだ。
運送業界は急速に増加した通販を中心とする宅配でてんてこ舞いの状態だ。
それに関連して通販の倉庫業。
アマゾンドットコムは3割以上の需要増でこっちもてんてこ舞い。
おそらく楽天やアスクルなども同様だろう。
食品加工会社も大変で通販や小売を経由して流通する食品が引きこもり対策で需要が急上昇していててんてこ舞い。
食品が伸びると当然農業も忙しい。
大きな農場ほど外国人研修生に労働力を頼っていたが、それがコロナで一変。
外国人研修生が来ないので収穫、加工、包装などの人手の確保にてんやわんや。
しかも食糧生産は国の骨格なので緩めるわけにはいかないので大変だ。
そのほかZOOMを使った学習塾は先生不足。
マスクの生産は言うに及ばず医療関係は引く手あまた。

この新型コロナウィルス禍。
この厳しい状況下。
アタマとカラダを使った若者が令和時代のリーダーになる。
国や他人に頼るやりかたは必ずしも有効ではないし、関心もしないのだ。


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