<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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阪神大震災の時、日本の本社機能を神戸に置いていたとある生活化学製品のメーカーと同じくスイス系インスタントコーヒーのメーカーは他の企業や人々と同様甚大な被害を受けた。

「本社は東京に移すんですか」

と訊いたのは両社の研究開発部門と親しかった後に私にいろいろと理科学の仕事を教えてくれたXさんだった。
壊滅的被害を受けた神戸市中央区のど真ん中にあった両社の回答は、

「いいえ」

なのであった。
非常時の悲惨な状態にも関わらず両社の回答にXさんはいたく感動されたという。
両社の日本本社機能は今も神戸に置かれている。

その後少し経って、某ゴム製品大手の会社が本社を東京から大阪に移すと発表。
もともと大阪創業の会社だったがご多分にもれず東京に本社を移していたのだが、戻ってくると発表して少し話題になった。
理由は「社員の負荷がそのほうが少なくて済むから」なのには驚いたのだった。

東京を中心とする首都圏は情報とお金の集積地になっている。
ほとんどの大手企業が本社を構え、それらに関連する無数の企業や研究機関、それに学校などがこの地域に集中。
実に日本人の5分の1が居を構える世界に類を見ない人口密集都市へと発展した。

今回のコロナウィルス禍でこの社会形態がよくないことが次々に判明。
人口密集のためにパンデミックが起こると対策が取りにくい。
6〜7割の人は行政の指導に従うが、そうでない人々も3〜4割いる。
こうなると制御もなかなか効きにくくクラスターが至るところで形成されて事態収拾に時間がかかる原因にもなっている。
しかも、ここにきて通信技術が発達していたので何も東京にいなくても情報の交換ぐらいスムースに行えることがわかってきた。
必要に応じてテレビ電話やデータのリアルタム閲覧なので打ち合わせ程度の仕事の大半は済んでしまう。
通勤に膨大な時間をかけることもないし、仕事が終わったら即余暇の時間に入ることもできる。

こうなると東京や大阪に居を構える必要性もなくなってきて、できれば地方の自然豊かでパンデミックにも強く、健康な生活ができる地方でのびのびと生きたほうが幸せだという感覚も生まれてきた。

先に上げた外資系2社と日本の会社の関西本拠の大きな理由は、社員の生活に余裕が生まれるということであった。
通勤時間は短く、地価も安いので住みやすい。
首都圏にあるものはたいてい揃っているし、歴史的にはこっちのほうがずっと古いので文化レベルも低くない。
満員電車で長時間揺られ、高い家賃やローンの狭い家に住む必要もない。

コロナウィルスによる社会の変化は首都圏はおろか京阪神でも仕事のためにそこへ住む必要性が無いことを見せつけている。
製造業や農業のようにそこでないとできないものもあるけれども、農業に至っては東京都は2%も存在せず、食料供給という意味でも居住地域は分散することが望ましいのは明らかだ。

コロナウィルスによる非常事態宣言の長期化。
地方は沈静化しているのに継続されるのは明らかに首都圏一極集中のツケでもあるに違いない。



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