<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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大阪南港・ATCギャラリーで開催中の「テオ・ヤンセン展」を訪れてきた。

テオ・ヤンセン。
この人の作品をずーっと前から観てみたいと思っていた。
最初は三重県立美術館で展覧会が開催されているのを発見。
作品の写真を見て、ゾゾゾっと興味を誘われた。
「なんなんだ、これは?」
という感覚だ。
これは見に行かなければ、と思ったがその時はなかなか時間が作れずに訪れることができなかった。
で、昨年どこだったかは忘れてしまったけれども、大阪から行くのにそんなに遠くないところで展覧会が開催予定。
ところが今度は時間が作れそうだったけどコロナの緊急事態宣言で展覧会が中止になってしまった。

「たぶん、そのうちどこかでするだろ」

と考えていたら、地元大阪で開催されることを知った。
それも開催1週間前に知人のFBのコメントで知ったのであった。
一人で行くとカミさんに叱られるので慌ててe+で前売りペアチケットを購入。
いざ鑑賞に備えたのであった。

このテオ・ヤンセン。
その作品の何が面白そうかというと、無機物なパーツで構成して組み立てられたオブジェがあたかも生きているかのような有機性を感じさせるところだ。
こんなふうに書くと、何がなんやらわからないのだが、要はプラスチックのパイプと布、ビニルチューブ、ペットボトル、ビニルテープ等などで組み立てられた「風で動くロボット」なのだ。
その仕組は学研の玩具メカモと酷似しているが、大きな違いはより生物を感じさせることと、電源や内燃機関などの人工的なエネルギーは一切使わず、風の力だけに頼るSDGsな動くロボットというポイントだ。

このテオ・ヤンセンという人はもともとは物理学を専攻した科学者出身の画家というユニークなベースを持ったオランダのアーティストで、物理学の知識を生かして今回展示されている「ストランドビースト」と呼ばれるロボットを生み出した。
風を受けると帆を広げて動力として数多くの足が動き出し、歩く。
向きも変える。
オランダの浜辺を動く場所としているが、海に近づくと水を感知して立ち止まり、逆方向へ歩く。
このビースト自身が物を考え、判断し、動いているように見えるわけだ。

展覧会ではこのストランドビーストに触れることもでき、中には自分で押して動く時の感触を体験できるものもあった。
写真撮影は自由だし、仕組みも詳しく解説されていた。
私が小学生なら「今年の夏休みの工作はこれで決まり!」というような楽しい展示内容であった。

こういうものを観るとつくづく思うのだが、なぜ日本人は文系と理系と分けたがるのだろうか。
ストランドビーストは理系と文系の知識があって初めて生み出されたものであり、そういうものは世の中には溢れている。
アートを生み出すためには、時に構造設計も必要だし、電気の知識も要るだろう、モノの仕組みをよく知ることも必要だ。
写真なんかは本来、化学の知識も必要としている。
教育姿勢が文系、理系で分ける限り、新たな面白いものは生まれ難いんじゃないか。

そういうことをひしひしと感じる展覧会なのであった。



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