高野秀行著「謎のアジア納豆 そして帰ってきた「日本納豆」」を書店で見つけてページを捲ってみると懐かしい「トナオ・ムッ」というミャンマーの発酵食品の写真が掲載されていた。
この「トナオ・ムッ」はチャイントンというミャンマーのシャン州にある町を訪れた時に、
「食べてみますか?」
とガイドさんに訊かれて、
「是非に」
と言って注文した地元の発酵食品であった。
私はそれ以前にミャンマーの代表的発酵食品である「カピ」を味見して「美味い!」と叫んだときがあったので、同じく美味いものに違いないと思い注文したのだったが、残念ながらその匂いと味に負けてしまい完食できなかったのだ。
伝統的食品で珍しいものを食べ残してしまい大いに後悔したので忘れることができない。
その「トナオ・ムッ」の写真を見つけたので、その場で買い求めて即読み始めたのだった。
「納豆は日本を代表する食品」
「日本人なら誰でも食べる伝統食品」
とよく言われる。
納豆に郷土を思い出す人も少なくないという。
私は関西人なので納豆に対する思い入れはそんなにないのだが、そこはやはり海外にも納豆があるということになれば知りたいというのが人情というものだ。
本書はミャンマーでの事例も多く、登場するミッチーナ、チャイントン、タウンジーの3つの街は私も訪れたことがありリアルにその風景を浮かべることができた。
「トナオ・ムッ」以外にも納豆とほぼ同じ発酵食品があったことに訪問したときはちっとも気づかず、今回この本を読んで初めて知ったところなのだ。
次回訪問することがあれば、ぜひ現地の納豆をいただいてみたいと思ったのは言うまでもないが、「トナオ・ムッ」が口に合わなかったことを思い出すと、くちにするのはそこそこ勇気が要ることなのかも知れないと思った。