<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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なんだか知らないが、最近「〇〇の科学」だとか「〇〇統計学」などといった書籍がブームのようで、書店を訪れると科学や経済のコーナーでもないと一般書籍のところにこの種の本が平積みされているのをよく見かける。
私も「〇〇の科学」の類の本にすっかりとハマってしまっており、「〇〇の科学」という題名を見るたびに手にとってみてしまうのだ。
尤も、「〇〇の科学」という名前の出版社や団体は、かつての「なんとか真理教」とよく似た存在であるため、それらと混同しないように配慮することが必要だ。
『「〇〇の科学」?出版社は........講談社。これなら安心だ』
という具合に。

統計学についても同じようなことが言えるようで、カルトな宗教団体ではないにしても、統計学で求められる数値をいい加減に解釈して、スポーツ新聞よろしくスキャンダラスに話題を盛り上げようとするものも少なくないらしい。

「ヤバい統計学」(カイザー・ファンク著 阪急コミュニケーションズ発行)はタイトルこそスキャンダラスだが、内容は誰にでも分かりやすく噛み砕いた統計学の科学エッセイだ。

帯に書かれている「ディズニーランドで列をなくす方法は?」のキャッチに惹かれてついつい買ってしまったのが本書。
私はディズニーランドに行ったことがあるのは1回だけ。
それも随分昔にアナハイムのディズニーランド行ったきりで、東京ディズニーランドには行ったことがない。
いつも京葉線で東京ディズニーランドの前を通過するばかりなのだが、列については噂は聞いていたし、大阪人としては類似のUSJの行列も経験しているので、このテーマには興味がったのだ。

本書はアメリカのケースについて書かれているので日本の状況とはちょっと違うが、内容にはうなづかせるものがかなりあり、それも論理的に話が展開されていくので、グイグイと惹きつけられる。
ディズニーランドのシステムは知らないのだが、なんでもアトラクションの予約をして待ち時間を列に入らず過ごすことのできるシステムがあるのだというのだが、本書は「列に並ばなくても、それは一種の列に並んでいるのと同じこと」と分析結果を話す。
結局列がなくなるのか、なくならないのかは実際に読んでみて知ってもらいたいのだが、そのようなネタが沢山あって面白い。

「皆様〇〇空港に到着いたしました。これで皆様の最も安全な旅の区間は終了いたしました」
とアナウンスした旅客機の機長の話にも笑った。
ヒコーキは空を飛ぶし、40代以上の人には御巣鷹山の記憶が今も脳裏に焼き付いて、空の旅は危険がつき物と思いがち。
ところが、統計学上は飛行機で事故に遭う確率は限りなく小さく、例えば毎日飛行機に乗り続けてても、その事故に遭う確率は4000年に1回の割合なのだという。

考えて見れば、自動車事故で毎年数万人が日本国内だけで亡くなっているが、ヒコーキ事故については限りなくゼロに近い。
どっちが安全かは統計学上は明らかだ。

しかし、ここには統計学独特のイリュージョンがあり、そのことを理解しなければ正しく統計学のメリットを享受できないことも本書は指摘している。

誰でも、楽しく、膝打ちながら学べる統計学入門書。
数学にあまり強くない私でも楽しめた、一冊なのであった。

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