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やしきたかじんが亡くなった。
多くの関西人が考えていたように、たかじんはテレビに戻ってくること無く永遠の旅に旅立ってしまった。
新聞報道によると1月3日に亡くなり、近親者で葬儀を済ませたということだが、驚くのはテレビ局の対応で、読売テレビの「たかじんのそこまで言って委員会」、テレビ大阪の「たかじんnoマネー」はそのままのタイトルで継続が決定されたという。

やしきたかじんの功績は歌にあるのではなくトークにある、という声が聞かれるが、社会に最も大きな影響を与えたというと、やはり「そこまで言って委員会」に代表される関西系オピニオン番組での視聴者の埋もれた意見の掘り起こしだったのではないだろうか。
世論の硬直性、保守性の強い「東京では放送しない」という条件のもと、2000年代前半から放送されてきた番組は、当時はある意味タブーであった「嫌韓」や「愛国」「国土防衛」などといった普通であれば硬いテーマを8人のゲストと視聴者からの意見などを戦わしたことであった。
このゲストの中には右の人も入れば左の人もおり、その戦いは見るものを今もって飽きさせることがない。
しかも、当時はマイナーとされていた右派な意見が実は一般的には主流の意見であったことをキチンと掘り起こしたのもたかじんのトークによるリードだった。

論客の中からは今の論壇で活躍する人々が登場。
その代表格は大阪市の橋下徹市長に違いない。
昨年の橋下市長の慰安婦発言に対するマスコミの論調が韓国寄りの従来の「慰安婦イコール日帝の犠牲者」という図式に対して、視聴者の橋下支持率が実は70%を超えるものであったことを証明したのもたかじんの番組「たかじんnoマネー」であった。

たかじんの「晩年の番組」になってしまったこれらオピニオンバラエティは、似たようなコンセプトの番組「たけしのTVタックル」とは一線を画す影響力を持ち続けたことも特筆すべき点だろう。
全国的な知名度でいくと「TVタックル」はたかじんの番組とは比べることができないくらい高い。
ところが「東京」という街を発信源にしているために、そこで展開される意見はどうしても形式的になり「ホンネ」というものが取り出されることは極めて少ない。
さらに、朝日系というマスメディアの性格や北野武というキャラクターの傾向から、どうしても本来の意味での保守的な意見が尊重されにくいという欠点があった。
政治的な面でのホンネを語れないために、TVタックルでの最も面白い討論がUFOや宇宙人に関するものになっているのは何とも皮肉な現象である。

そういう意味で、たかじんの「東京外し」による番組製作は「ホンネ」を展開できる大阪を起点とし、ローカル番組にも関わらず大きな影響力を持つに至ったのだろう。

この潮流はもう止められない。
テレビ局が番組から「たかじん」をはずさない限り、本人は死んでも永久に生き続けるからだ。

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