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朝、出張で東京へでかけようと関西空港に到着したら、出発ゲートに飛行機がいない。

朝の関西空港から出発するとき、飛行機がそのゲートにいないことはめったにない。
というのも、東京行きに限らず関空初発の飛行機はだいたい前日の夜に大阪/関西に到着し、そのまま夜を過ごして翌朝出発するというケースが多く、時間も正確だし、安心して出かける事ができるのだ。

ところがこの朝は違った。

朝、8:10発の飛行機に乗るため、7:25頃にゲートに来たらゲートの中は空っぽ。
いつもならB777-200なんかが駐機していて出発準備をしているのだが、この日は客室乗務員がキャリーバックを下げておしゃべりしながら改札前で所在無げに立っていた。
出発時間に集まってきているのでクルーだけではなく、ロビーは多くのビジネスマンと、ディズニーランドに向かおうとしていると見られるチャラチャラした親子連れも来ていて、かなりの混雑だった。
しかし、この時間に飛行機がいないということはどういうことかというと、出発が遅れるということであり、私は携帯電話を取り出して東京の訪問先に、

「遅れまっせ」

と連絡をしようと思ったのだが、時間がまだ朝の7:30こともあり、先方が出社しているとは考えられず電話をポケットに仕舞い込んだ。
そしてロビーの空いている席に腰を掛けて待つことにした。

ふと、窓の外を見るとポケモンの絵柄が描かれたB747が滑走路に降りてくるのが目に入った。
ANAのポケモンジェットは羽田でちょいちょい見かけるが関空で目にするのは初めてだった。
しかもB747。
B747は燃費が悪いということで次々と姿を消している大型機だが、ジャンボジェットという愛称をもっているくらい身近な飛行機だ。

「おお、関空にポケモンジェット。どこから来たんやろ。で、どこへいくんやろ」

と思っていたら、そのポケモンジェットは私たち東京行きのゲートに静静と入ってきた。

ポケモンB747は羽田から空っぽのまま私たちを迎えに来た飛行機なのであった。

こうして私は生まれて初めてポケモンジェットに乗ることになったのだが、その時、いまから10年ほど前に似たような飛行機に乗ってイライラした嫌な思い出が蘇ってきた。
それはJALドリームエキスプレス、沖縄行に搭乗した時の悪夢なのであった。

当時、JALはミッキーマウスを中心としたディズニーキャラクターを描いたジャンボジェットを飛ばしていた。
私は沖縄行の出張が入り、伊丹空港から登場したのがそのドリームライナー。
外観にはディズニーキャラクターが。
客室内も、カーテンから座席の枕まで、すべての柄がディズニーなのであった。
しかも時期は夏休み。
おりしも夏休みを沖縄で過ごそうという、どこでどうして家族で沖縄旅行なんていう金を稼げる金儲けをしているのか疑問になるような下品な親子連れが大挙して乗り込んできたのであった。

当然、機内は幼稚園状態。
ミッキーマウスに興奮する子供たちで居眠りもできない。

このギャーギャーとした機内は離陸後のアトラクションで、さらに増幅されてしまったのであった。
よりによって機内ではゲームが始まりわんやわんや。
ビンゴゲームだったと思うのだが、プロジェクションテレビに映し出される映像に機内は騒然。
私のようなビジネス目的の沖縄行旅行者には、まったく辛い機内になってしまった。

「二度と日本航空なんかつかうかい。こんな企画していたら日本航空、潰れてしまうで。」

と心のなかで悪態をついた。
このつぶやきに効力があったのかどうかは分からないが、数年後にJALは本当に倒産してしまったのであった。

で、ポケモンジェットを見て、まさか大阪発東京行きで悪夢が再現されるとは思わなかったが、再現されなかった。
実際に、機内は至って静かで、さすがビジネス路線は大丈夫という雰囲気が漂っていた。
しかも、当初B777-200では満席になるはずが、代わりに飛んできたのがジャンボジェットであったためか、座席にゆとりができて私の隣は空席となり広々と落ち着いて寝ることができたのであった。

ただ就航以来人身事故ゼロのB777と違いB747は御巣鷹山をはじめ、世界中で事故を起こした実績があるため若干緊張する飛行機ではある。
最後に乗ったのは5年前にシカゴへの往復に利用したB747であったが、やはり乗るのであればB777の方が精神的に快適だとも思ったのであった。

でも、そこはB747。
ジェットエンジン4発機。

関空を定刻30分遅れで離陸したポケモンジャンボは離陸後すぐの機長のアナウンス、
「羽田に向かって最高速度で飛行いたします」
の言葉の通り、羽田には定刻15分遅れで到着。
関空を離陸して、羽田に着陸するまで飛行時間わずか40分。
タクシングの時間の方が多いのではないか、と思えるくらいのぶっ飛ばし飛行なのであった。

羽田に到着したら、ディズニーランド行きと思われる親子の子供が一言、
「ディズニーランドへ行ったら、ピカチューおったらええのになあ」
と親に一言。

ディズニーランドにピカチューがいたら、今着陸したのは羽田空港ではなく、中国の北京国際空港で、それはディズニーランドではなくは石景山遊楽園ではないか、と思う私なのであった。



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