米刑務所に死刑で無期懲役中の郷隼人、歌集『ロンサム・ハヤト』を読んだ
「(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ」
「パンのみで 生きるにあらず 配給の パンのみにて 一日生きる」
「鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか」
2008年の12月、公田耕一という「ホームレス歌人」が、朝日歌壇に出現して注目を浴びた。日比谷公園に「年越し派遣村」が設けられた、あの冬のこと。そして、忽然と消えた歌人。その公田耕一を探す、三山喬著『ホームレス歌人のいた冬』(東海教育研究所刊)を以前読んだ。上の二首は、公田耕一の歌。
そして、今度は米国西海岸の刑務所に、殺人の罪で終身刑で服役中の郷隼人『ローンサム・ハヤト』(幻冬舎刊)を読んだ。そして、その歌に魅せられた。この郷隼人も、公田耕一と同じように朝日歌壇にてデビューしている。
この本に書かれている獄中の暮らしは、日本の刑務所とはずいぶんと異なるように感じた。また、日本の場合には、終身刑といっても恩赦などがあり、結構早く「仮釈放」の身となるが、アメリカにはそういう制度はない。
「人間としての誇り(プライド)と精神(スピリット)が萎靡せぬように詠み続けねば」と、詠む郷隼人。この著者の最新のエッセイ集『LONESOME隼人 獄中からの手紙』(幻冬舎刊)も、既に予約している。早く読みたいものだ。
「一瞬に人を殺(あや)めし罪の手とうた詠むペンを持つ手は同じ」
「かもめとぶけいむしょの空ひろびろとむげんのせかいがひろがりており」
「老い母が独力で書きし封筒の歪んだ英字に感極まりぬ」
僕は読み飛ばしています。
この本は、確か新聞の広告に載ったので借りました。
いろんな人が、いろんな人生を生きていることを、
本を読むことで知ることができます。
それにしても、お母さんを詠んだ句には、心打たれました。
親孝行が何一つできなかった私であり、母のことも思い出しました。
私も読んでみたくなり、早速図書館に予約をいれました。
ホームレス歌人と郷隼人のことは、朝日新聞の短歌欄」に載るたびに注目していました。