劇団若獅子&市川猿之助さんがタッグの公演を新歌舞伎座で観た
劇団名とリンクする名優がいる。劇団「民藝」と言えば宇野重吉と滝沢修そして北林谷栄、「文学座」と言えば杉村春子と北村和夫、俳優座と言えば東山千栄子と加藤剛等々がすぐに浮かぶ。
また、新派と言えば水谷八重子(初代)、新喜劇と言えば藤山寛美と渋谷天外、新国劇と言えば沢田正二郎、そして辰巳柳太郎と島田正吾だ。
その新国劇は今年創立100年、そしてその後を継いでいる笠原章率いる劇団若獅子は今年は30周年を迎えている。
そんな劇団若獅子は、私がスタッフとして参加している「おかやま・歌舞伎・観る会」にとって、絶対に忘れられない劇団だ。
2011年4月、岡山市民会館で市川亀治郎(現市川猿之助)さんを客演として迎えた公演を、「歌舞伎・観る会」が主催して開催した。
1997年に「歌舞伎・観る会」を立ち上げて、「歌舞伎鑑賞教室」公演を岡山の地で開催するためにご尽力いただいたOさんが、「歌舞伎ではないが、亀治郎さんが出演するし、演目も歌舞伎の演目でもある『一本刀土俵入り』だし、『歌舞伎・観る会』でやったらどう?」というお誘いをいただいたのが、2010年。
その頃、「歌舞伎鑑賞教室」の巡業もなくなっており、「歌舞伎・観る会」としては活動が低迷していた時であり、一も二もなくお引き受けし、スタッフ一同公演を主催する喜びを再認識した。そして、翌年には中村橋之助(現中村芝翫)さんが座頭の「備前おかやま松竹大歌舞伎」公演を主催し、今日に至っている。
それ程の恩義のある劇団若獅子&市川猿之助さんがタッグを組んだ公演が、大阪・新歌舞伎座で開催されたので、お礼の意味で観に行った。
「新国劇創立100年、劇団若獅子30周年」ということで、演目は「国定忠治」「月形半平太」の2本。さすがに見応えのある舞台。そして何より、猿之助の女方は抜群に素晴らしかった。
猿之助さんはカーテンコールで、「若獅子が30周年を機に解散し、笠原さんも引退されると聞いたので、これば是非参加しなければと駆けつけた・・・」と切り出された。この時、大きな笑い声が起こらなかった。
もちろんその後、猿之助さんは「若獅子今後ますます発展して行かれる」と言葉をつながれエールを送られ、大きな拍手が起こった。私も劇団若獅子が、笠原章を引き継ぐ若手花形役者を誕生させ、さらに発展させられるよう期待して止まない。