劇団民芸の故宇野重吉の言葉「岩に爪を立ててでも」
もうずいぶんと前のことだが、劇団民芸の故宇野重吉(寺尾聰の父と言った方がわかるかな)が、ある新聞紙上で「岩に爪を立てでも、ことをやり遂げる」といったことを語ったことを記憶している。やり遂げると言った「こと」は忘れたが、その時「岩に爪を立ててでも」という言葉に尋常ならざるものを感じ、ずいぶんと心の奥深く記憶に残っている。
この「岩に爪を立ててでも」という言葉は、私なりに「強い意志を持って」という感じに解釈して、結構様々なときに使わせていただいてきた。
どうしてこんなことを思い出したのかというと、映画「ザ・マジックアワー」の公開にあたっての三谷幸喜の様々な努力を見てきたからである。苦労して制作した映画を、一人でも多くの人に観てもらいたいという三谷の思いの強さが、まさに「恥を忍んで、自分のできることは全てやる」という「強い意志をもって」のマスコミへの露出を重ねたと解釈している。相当なブーイングも起こったことは確かだが、私は「三谷のその強い思い」に感動している。
私も、そのような「強い意志を持って」、様々なものに対処していきたいと考える。病気も、やはり「強い意志を持ってこそ」克服できると信ずる。「病は気から」とはよく言ったものだ。
こんことを考えている日々だが、梅雨入りしたのになかなか雨が降らない。そして、なかなか雨は降らないが、田植えを終えた田は少なくない。今日は厳しい日差しさえあった。
こうした中で、二本の記念樹を植えた身としては、今雨を待望している。沙羅の樹(ナツツバキ)はいいとして、酔芙蓉は挿し木であり水不足は応える。なんとか根付いて欲しい、今はその一念だ。そうまさに「岩に爪を立ててでも」。