全英連参加者のブログ

全英連参加者の、言葉やその他諸々についての雑感... 不定期更新です。

academic degrees

2006-09-04 04:57:56 | 気になる 大学研究

 学位のこと

 独立行政法人大学評価・学位授与機構というものがある。これは独立行政法人大学評価・学位授与機構法に基づきもうけられた独立行政法人である。
 『独立行政法人大学評価・学位授与機構(以下「機構」という。)は、大学等(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学及び高等専門学校並びに国立大学法人法(平成15年法律第112号)第2条第4項に規定する大学共同利用機関をいう。以下同じ。)の教育研究活動の状況についての評価等を行うことにより、その教育研究水準の向上を図るとともに、学校教育法第68条の2第4項の規定による学位の授与を行うことにより、高等教育の段階における多様な学習の成果が適切に評価される社会の実現を図り、もって我が国の高等教育の発展に資することを目的とする。』(『…』が第3条)(下線部、全英連参加者)
 と、いう組織である。

 この組織は、学校教育法(昭和22年3月31日法律第26号) 「第68条の2第4項」に基づき、以下のように学位を授与できる。
○4  独立行政法人大学評価・学位授与機構は、文部科学大臣の定めるところにより、次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める学位を授与するものとする。
 1 短期大学若しくは高等専門学校を卒業した者又はこれに準ずる者で、大学における一定の単位の修得又はこれに相当するものとして文部科学大臣の定める学習を行い、大学を卒業した者と同等以上の学力を有すると認める者 学士
 2 学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うもののうち当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるものに置かれる課程で、大学又は大学院に相当する教育を行うと認めるものを修了した者 学士、修士又は博士

***** *****

 何でこんなことを書き始めたかというと、学位って一体何種類あるのか知りたくなったからである。
 前にも書いた記憶があるけど、日本の大学は特に1991年の大学教育の大綱化とそれに伴う教養課程の再編(廃止)が、大学(教育)をある意味で専門学校化させたことは否めないと僕は思っている。そのことの是非を述べるほど専門家ではないこともわかっているつもりだ。ただ、現実問題として細分化された学部は様々な学部名称を名乗り、専門性を主張している。僕は高校の先生が仕事である。生徒の進学相談などには可能な限りちゃんと答えたいと思っている。一緒に資料を見ても、学科名称からだけでは何を学ぶ学科のか見当がつかないことも多い。そんな場合、それを探る術としてとして、何の教員免許が取れるのかがヒントになることもある。でも、これも決定打ではない。
 名称ばかりが増えて、何を学ぶのかわかりにくいのは困りものだ。もちろん詳しく学校案内を見れば、学位は必ずどこかにでている。
 【例】
  国際関係学科 学士(教養)
  心理学科 学士(文学・心理・教育のどれか)
 などである。でていない学校もある。ちょっと信じがたい。

 以前は学部名と学士の「称号」が(わりと)一致していた。学部名称もそれほど細分化されていなかった。もともと学位を授与する権限は、長い間文部大臣にあったため、(帝国)大学などが授与する学士号は当初、「称号」とされた。明治20年~平成3年までは、学士は学位ではなく称号扱いである。僕はそれ以前に大学を卒業しているから、文学士の称号を大学からいただいている。現在、僕の大学・同じ学部&学科の後輩たちは、卒業すれば、学位は学士(文学)である。(大学卒業後ずいぶん経ってから僕は大学院に戻ったので、修士号は〇〇修士ではなく、修士(英語教育)である。)
 蛍雪時代2006年4月号によれば学科(一部課程・専修、学群を含む)の種類はおおよそ1700(!驚!)もあるそうである。これがすべて、学士(専門分野名称)では混乱するから、ある一定の枠、基準があるorどこかにあるはずだ。これが知りたかった。

 学位授与機構で授与できる学位は以下の通りだった。
 
 文学、教育学、神学、社会学、教養、学芸、社会科学、法学、政治学、経済学、商学、経営学、理学、薬学、看護学、保健衛生学、鍼灸学、栄養学、工学、芸術工学、商船学、農学、水産学、家政学、芸術学、体育学(全部で26種類)
 
 学位授与機構が授与する学位=日本の大学の授与する学位ではない。学士(社会科学)の社会の先生にはあまり出会ったことがない。あくまでも、機構の定めた専攻分野(専攻区分)だが、だいたい大学でどのような学問ができるか漠然とわかったような気がした。

 学士が称号から学位になった頃を境に、こんな現象も起きている。
 教育学博士~博士(教育学)
 修士・博士は元々学位だったが、標記方法が変わった。以前は〇〇〇博士。現在では博士(専門分野名称)である。現在僕の在籍している放送大学大学院・文化科学研究科文化科学専攻(教育開発プログラム)で無事に修了できれば、僕は「修士(教養)」の学位をもらえることになる。
 色々調べるとわかるものである。

***** *****

【関連法令)
 独立行政法人大学評価・学位授与機構法
 平成15年7月16日法律第114号
 学校教育法
 昭和22年3月31日法律第26号

 なお、法令中の条文番号、法律番号などの原文は漢数字、縦書きである。


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