自分の勉強不足を棚…それも、ものすっごく高いところ…に上げてこんなことを書くのは不謹慎だと思うのだが、最近の?マーク。それは、ホントにこんなにたくさん薬学部(薬科大)って必要なのかということ。生徒の進路希望を考えると、ちょっと考えてしまう。
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今から10年前くらい前(今でもそうかもしれないが)盛んに心理学系学部が大学にできはじめたころのことを思い出す。当時学校にもカウンセラーが必要だとか、より一層の専門的な知識を持った専門職を配置すべきであると盛んにあちらこちらでいわれていた。生徒も世の中を見てか、心理学系大学への進学希望がどっと増えたことがあった。夏休み中にいろいろなファイル(文書データ等)を整理していて、その中に、数年前の資料(進路通信原稿)を見つけた。僕はこんなことを書いていた。
平成13年度から5カ年計画で埼玉県ではすべての公立中学校に、スクールカウンセラーを配置する。
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この文章を読んで、「配置」の意味がはっきりわかるのは、教育職公務員だけかもしれない。
配置…週1日以上スクールカウンセラーが出勤すること。普通の先生や養護教諭のように月金で毎日いるわけではない。
カウンセラーの必要性は、増すことこそあれ、減ることはない。でも、非常勤(嘱託医と同等)なのである。どんなに必要性が述べられていても、そんなにたくさん一度に採用は増えないことは、公務員だったら誰でもわかることなのだ。
当時、公立中学校は440校くらいだった。この学校に配置するスクールカウンセラーは、130名程度で、予算は半分が県費、半分は地方交付税交付金(国のお金)だったと思う。440を130で割ると一人で受け持つのは3校程度になる。今は、地方交付税交付金(使用目的が決められている交付金)ではないので給与が同じかどうかわからないけど、当時この人たちは週給31200円、年間勤務は47週で1年契約の非常勤職員扱いだった。年俸にすると150万円いかなかった。確か1年目の募集枠がすぐに埋まらず、追加募集をしていたと思う。
埼玉県のスクールカウンセラーは基本資格が臨床心理士(or精神科の医師)が条件だった。当時も今も臨床心理士になるには最低でも大学院修士修了でなければならない。大学+院で6年間。相当の出費である。医師になるにはもっとかかるだろう。でも、収入だってたいしたことがない。それが生徒に伝わるまでしばらくかかった。もちろん収入がどうだって生徒が何を選ぼうがかまわないし、収入だけが職業選択の指針ではないのは当然だ。でも、これらの情報が知れ渡り始めて、人気が徐々に落ち着いてきたのは間違いないように思う。
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近年の薬剤師養成大学(学部)、ホントにそんなに必要なのか。
薬事日報というウェブサイトが8月17日に掲出したデータから、引用する。
・平成18年度当初で、薬学部に在籍している学生数は49666人であり、全大学生の約2%であるとのこと。 ・この3月に薬学部を卒業したのは9071人(男3514人、女5557人) 進路: 就職5048人(男1504人、女3544人) 大学院等への進学2660人(男1435人、女1225人) これ以外に専修学校や外国の学校に入学した者、一時的な仕事に就いた者、死亡・不詳が200人余り。それらを除いた1153人が、進学も就職もしていないことになる。
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この記事は、文部科学省の学校基本調査をもとに書かれている。その中に、薬学部の学生数は、学年が低いほど学生数が多い傾向にあると書いてあった。ここ数年の大増設が数字でも示されていることになる。1年生と4年生では3000人近い差がある。
今年度から6年制と一部4年制の二本立てになった薬学教育。薬剤師養成が6年(薬学部)、そうでない方が4年(薬科学部)である。現在の2年生~4年生は全部4年生薬学部である。全体の3割は、研究職への進学希望(大学院研究科)なのかもしれない。6年制になり、薬剤師養成をメインにした薬科教育。こんなに増えて平気なのか。
6年間になり、倍率が一気に下がった大学もある。卒業までに1500万円ではきかない近い学費。実は薬の研究をしたい人間だってもっといるんじゃないのかな。。。 数年後、心理学系の学部で起きたことが起きるんじゃないかな。そんな気がする。