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tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

あんこ猫たち@大島

2016-08-25 20:48:07 | 大島笑顔100プロジェクト

こゝは、實に素朴な風景です。村へ降りて行く石の段々の上に立つて、村の屋根を見てゐるとナポリの漁師町と似たところがあつて、とても、心愉しいものでした。
 太格子ふとがうしの障子の裏からは眠たげな女の聲で大島節が聞えて來て、雨の中ながら、四人ともたちどまつて聽いたものです。
「こゝには繪描きさんがよく見えます」と運轉手が云つてゐましたが、晴天の日の此岡田村の風景を空想したゞけでも描きたくなりませう。
 一泊のつもりならば、元村なぞに泊るよりも長驅して此岡田村に來た方がいゝと思ひます。
 マチィスの描いたやうななぎさのきはに、岡田と云ふ宿屋があります。二階の雨戸をあけると眼の下が海と砂濱で、眉に迫つて乳ヶ崎の半島が突き出てゐて、こゝへ來て始めて大島へ來た感じでした。
(林芙美子 大島行より)

写真展の会場から、表の通りを眺めてたあんこ猫たち。
林芙美子の「大島行」は、初出が1976(昭和51)年8月1日初版発行。
つまり、1965年(昭和40年)1月11日、島西部の集落・元町の中心部が壊滅した大島の大火の後、彼女は大島を訪れたわけだ。

元村(元町)なぞに泊まるよりも・・・おそらくは、大火の復興により家々が新築されたころのこと。となれば、わずか10年そこらで元町は復活を遂げたことになるのかも。

今回もお世話になった岡田の古民家を改造したゲストハウス。
島のおじさんに言わせると、たしかにあの辺に昔の待合茶屋(今でいうと連れ込み旅館?)があったなあと。それじゃないと思いつつも、若い女性の前でそんな話をされると、連れ込みに泊まってるとか誤解されそうでやだ。
でも年代から考えると、岡田には林芙美子が観ていた景色がそのまま残っているのかも。。

「何でもいゝから御飯をたべさせて下さい」
わざと、元村で食事して來なかつたので、時間はづれの一人前の晝食を頼むと、「しけで何にもないのですが」と云つて、それでも、島の宿らしい簡素な膳をとゝのへてくれました。珍らしく三杯もお變りして四拾錢。連れの女客連は、草餅を頼んで、火鉢で燒いて食べてゐました。此宿は階下が駄菓子屋で二階が宿屋なのでせう」(林芙美子 大島行より)


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