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毎日の暮らしの中にある大好きなもの、こと、出合(会)いなどについての気まま日記

神様のカルテ

2011-06-21 08:55:43 | 読書

続編が書店に並んでいて、この本が大変人気だったことを知り読んでみた。
医学生が医者になる道は、大きく分けて二種類ある。
ひとつは大学病院の医局に所属する道、もうひとつはどこかの病院に勤務する道。

夏目漱石「草枕」を愛読書とする栗原先生は、24時間・365日対応を看板とする本庄病院に勤務する「変人」と噂される5年目の内科医だ。
彼が救急部当直の日は重症患者が多い、いわゆる「引く医者」として周りから迷惑がられている。
作者も信州大医学部を卒業後地域医療に従事しているということで、慢性的医師不足の医療現場の大変さが非常にリアルだ。
最先端医療と一般医療、命の意味・生きるということ。
問われていることは重いけれど、ちょっと古風でずれている栗原一止先生を取り巻く人々に和む。
一に止まると書いて正しいと読む。
(武田鉄也さんは偶然にも、今朝の番組で菅さんに関連してフリーズと表現してましたが)
足元の宝に気付きもせず、前へ前へと進むことだけが正しいと吹聴されるような世の中に、いつの間になったのだろう。
思い苦悩した時にこそ立ち止まらねばならぬ。
今この言葉に出合ったことに意味がある気がして読み終える。

「神様のカルテ」 夏川 草介