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毎日の暮らしの中にある大好きなもの、こと、出合(会)いなどについての気まま日記

翼とざして

2007-12-14 12:43:45 | 読書
恩田陸さんのエッセイ集のなかに、山田正紀さんのことが出ていた。
名前は聞いたことがあるけれど、読んだことはない。
図書館で「翼をとざして」という本を見つけたので、さっそく借りて読んでみた。

時代は1972年。
右翼青年グループ「魁別動隊」が、中国、台湾、日本が領有権を主張している南洋の島「鳥迷島」に上陸をする。
目的は、日本の領土であることを広く関係諸国に知らせるために、簡単な灯台を設置するというものだった。
ただそれだけのことだったはずが、無人島で7人の仲間が次々殺されていく。
犯人は一体誰なのか・・・

わたしはわたしだ。
わたしはわたしではない。
テーマとなっているアイデンティティの揺らぎは、読んでいるうち頭がくらくらしてくる。
わたしがわたしから抜け出していたのだ・・・
うーん、なんだか変な方向に進んでいるけど、この本はオカルトじゃなかったはず。
くらくらしたまま読み進んでいるうちに、後半から趣が変わってきた。
作者の後書きにあるように、サスペンススリラーから本格ミステリーへと。
解明は、ちょっと満足のいくものではなかったけれど、軽い船酔いの感触が残っているような話だった。

「翼とざして」 山田 正紀