■最近仕入れた本の中から。
『近代日本文學における外國文學の影響(近代日本文學講座II)』(昭和28年 河出書房)中身は以下の通り。
ヨーロッパ系文学との接触初期 / 太田三郎
消化吸収時代第1 / 竹内英之助
消化吸収時代第2 / 太田三郎
同時代的影響の展開第1 / 中島健蔵
同時代的影響の展開第2 / 吉田精一
近代市民文学の成熟とその危機 / 本多秋五
西洋文学の日本文体に及ぼした影響 / 山本正秀
外国文学摂取の回想 / 小宮豊隆
第一次大戦後 / 中橋一夫
外国文学の新しい理解 / 中村光夫
第二次大戦前 / 野間宏
実存主義文学の影響 / 矢内原伊作
レジスタンス文学の影響 / 渡辺淳
「大河小説」・「連鎖小説」 / 白井浩司
アメリカ文学の問題と影響 / 高村勝治
中国との文学交流 / さねとう・けいしゅう
欧米諸国と日本文学 / 久松潜一
将来の問題 / 中島健蔵
53年前の本。あまり翻訳とは関係のない論考が多く、見るべきものがあるのは山本正秀ほか数人か。いわゆる戦後文学最盛期の認識と水準を見るのにはいいかもしれない。それにしても紙質が悪い。保存状態も多少は関係があるかもしれないが、昭和初期の雑誌にくらべても明らかに落ちる。戦争に負けるとはこういうことかと思う。昭和28年で定価340円というのはかなり高かったのではないだろうか。
■三宅雅明(1986)『翻訳の表現(表現学大系 各論篇第25巻)』(教育出版センター)
一応学術書なのかもしれないが、ここまで「翻訳論」を無視する記述というのもいっそすがすがしいというべきか。表現学って何なのだろうか。文献の引用も極めて少ない。